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第四章 アルティメット編開始
第613話 魔術師リアムのアルティメット編・正体をばらした日の夜は終了
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互いに強く抱き締め合った後、祐介は自分の髪がリアムの肩まで濡らしてしまっていることに気付くと、そのままリアムを抱っこしてドライヤーをいつも掛けている場所に連れて行った。言った通り、胡座をかいた足の上にすっぽりとリアムを納める。
「先に僕がさっと乾かすから、ここにいて」
リアムは、こくりと頷くとそのまま祐介の胸にもたれかかって待った。時折かかる温かい風が気持ちいい。男同士何を、と思ったりもしないでもないが、いいのだ。今日はこうやって祐介の望みを叶えてやるのだから。
祐介は自分の髪を乾かし終わると、リアムのタオルを解いてそのままの体勢でリアムの髪を乾かし始めた。相変わらず気持ちいい。肩の濡れた部分を乾かす為に、腕の方から手を差し込んでパジャマを乾かしてもくれたが、時折二の腕に触れる指の感触すら愛おしいと思ってしまうのは、もう異常としか言いようがない。
一通り乾かし終わると、祐介はブラシで丁寧に髪を梳かし始めた。こんなにも甘えてしまっていいのだろうかと思うが、祐介にとってはこれがやりたいことにあたるらしい。祐介がブラシを置くと、リアムは自然と祐介にもたれかかった。何故なら、いつもならこの後は暫し祐介が髪の香りを楽しむ時間だからだ。
案の定、祐介はリアムを背後から抱き締めると頭に頬を寄せて深呼吸を始めた。髪の香りを嗅いでいる時の祐介の手はいつも、まるでリアムが自分の物だと言わんばかりに遠慮のない抱き方をする。始めこそ驚いたが、今はそれが嬉しい。たった今この瞬間は、祐介の腕の中にいるのは自分だけだから。
暫く香りを堪能した祐介は、ひょいとリアムを両腕で抱き上げると、そのままベッドに降ろした。リアムの頭を撫でて、少し照れくさそうに笑う。
「ちょっと待ってて」
そう言うと、冷蔵庫からビールを二本取り出した。一本をリアムに渡すと、リアムのすぐ横に腰掛けてまた笑顔になる。
「今日はもう、他の人の話はなし。お願いだよ」
リアムは素直に頷いた。祐介と過ごす二人のゆったりとした時間にいつも他人のことを持ち込むのは、リアムだ。祐介はそれが嫌だったのだというのが、このことで分かった。
そういえば、リアムは祐介のこれまでのことをろくに知らない。自分のことばかり語って、祐介に尋ねることすらしていなかったことに、今更ながら気が付いた。
プシュ、といい音を立て、祐介と乾杯し、ビールを口に含む。やはり美味い。
「では祐介、祐介の子供の頃の話を教えてくれ」
「え?」
祐介が驚いた様にリアムを見た。でも、顔が嬉しそうだった。
もっと早く聞けばよかったのだ。リアムは祐介に対し、非常に済まなく思った。祐介のことに興味があると、もっとはっきりと示してこなかったのはリアムの怠慢だ。祐介ばかりに気を遣わせて、リアムはいい大人だというのにこれでは祐介の方が余程大人である。
だからリアムははっきりと伝えることにした。
「祐介の話を、私はこれまで尋ねてこなかった。自分や周りのことばかりで、祐介に寄りかかりっ放しで甘えていたと思う」
「サツキちゃん……」
「だから、今日は祐介のことを教えて欲しい。私ももっと、祐介のことを知りたいのだ」
早川ユメから聞いた様な過去の祐介だって、祐介だ。他人から聞く祐介ではなく、ちゃんと本人から祐介のことを聞きたいから。
「なんか照れるけど」
祐介はそう言うと、楽しそうに自分のことを語り始めてくれたのだった。
「先に僕がさっと乾かすから、ここにいて」
リアムは、こくりと頷くとそのまま祐介の胸にもたれかかって待った。時折かかる温かい風が気持ちいい。男同士何を、と思ったりもしないでもないが、いいのだ。今日はこうやって祐介の望みを叶えてやるのだから。
祐介は自分の髪を乾かし終わると、リアムのタオルを解いてそのままの体勢でリアムの髪を乾かし始めた。相変わらず気持ちいい。肩の濡れた部分を乾かす為に、腕の方から手を差し込んでパジャマを乾かしてもくれたが、時折二の腕に触れる指の感触すら愛おしいと思ってしまうのは、もう異常としか言いようがない。
一通り乾かし終わると、祐介はブラシで丁寧に髪を梳かし始めた。こんなにも甘えてしまっていいのだろうかと思うが、祐介にとってはこれがやりたいことにあたるらしい。祐介がブラシを置くと、リアムは自然と祐介にもたれかかった。何故なら、いつもならこの後は暫し祐介が髪の香りを楽しむ時間だからだ。
案の定、祐介はリアムを背後から抱き締めると頭に頬を寄せて深呼吸を始めた。髪の香りを嗅いでいる時の祐介の手はいつも、まるでリアムが自分の物だと言わんばかりに遠慮のない抱き方をする。始めこそ驚いたが、今はそれが嬉しい。たった今この瞬間は、祐介の腕の中にいるのは自分だけだから。
暫く香りを堪能した祐介は、ひょいとリアムを両腕で抱き上げると、そのままベッドに降ろした。リアムの頭を撫でて、少し照れくさそうに笑う。
「ちょっと待ってて」
そう言うと、冷蔵庫からビールを二本取り出した。一本をリアムに渡すと、リアムのすぐ横に腰掛けてまた笑顔になる。
「今日はもう、他の人の話はなし。お願いだよ」
リアムは素直に頷いた。祐介と過ごす二人のゆったりとした時間にいつも他人のことを持ち込むのは、リアムだ。祐介はそれが嫌だったのだというのが、このことで分かった。
そういえば、リアムは祐介のこれまでのことをろくに知らない。自分のことばかり語って、祐介に尋ねることすらしていなかったことに、今更ながら気が付いた。
プシュ、といい音を立て、祐介と乾杯し、ビールを口に含む。やはり美味い。
「では祐介、祐介の子供の頃の話を教えてくれ」
「え?」
祐介が驚いた様にリアムを見た。でも、顔が嬉しそうだった。
もっと早く聞けばよかったのだ。リアムは祐介に対し、非常に済まなく思った。祐介のことに興味があると、もっとはっきりと示してこなかったのはリアムの怠慢だ。祐介ばかりに気を遣わせて、リアムはいい大人だというのにこれでは祐介の方が余程大人である。
だからリアムははっきりと伝えることにした。
「祐介の話を、私はこれまで尋ねてこなかった。自分や周りのことばかりで、祐介に寄りかかりっ放しで甘えていたと思う」
「サツキちゃん……」
「だから、今日は祐介のことを教えて欲しい。私ももっと、祐介のことを知りたいのだ」
早川ユメから聞いた様な過去の祐介だって、祐介だ。他人から聞く祐介ではなく、ちゃんと本人から祐介のことを聞きたいから。
「なんか照れるけど」
祐介はそう言うと、楽しそうに自分のことを語り始めてくれたのだった。
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