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第四章 アルティメット編開始
第603話 魔術師リアムのアルティメット編・正体をばらした日の夜
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リアムと祐介は帰宅すると、祐介がさっとスパゲッティの夜食を作ってくれた。余っていたキャベツとベーコンを使い、ほんのりピリッとしたペペロンチーノなる物だ。
「美味い! 祐介は私の好みを完璧に理解しているな!」
魔力を使い果たして腹ペコになっていたリアムは、大喜びでそれを食した。祐介も食べているが、夢中で食べているリアムをにこにこと眺めながらの為、進みは遅い。
「大分分かってきたよ。これからも任せて。絶対満足させてみせるから」
「頼もしいな! 私は幸せ者だ!」
「……餌付け作戦成功かも」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、何も。僕の分も食べる?」
「欲しいは欲しいが、祐介も足りぬであろう?」
「じゃあ半分あげる」
祐介はそう言うと、リアムの皿に半分程度を分けて入れてくれた。有難いのひと言である。
「そういえば、すっかり酔いが醒めてない?」
祐介が聞いてきた。そういえばそうだ。元々全体的に酒が薄かった気がしていたのでそこまで酔わなかったが、公園から帰る頃には足取りもしっかりとしている。飲んでいる時は陽気でも、その後に響くのがサツキの身体なのに、一体何故だろうか。
「……もしかしたら、ヒールライトを唱えたからかもしれないぞ」
「え、あれって酔っ払いにも効果あるの?」
リアムは、いつも酒をどれだけ飲んでも翌日にはケロッとしていたユラを思い出していた。
確かあいつは、二日酔いで翌日使い物にならないアールを見て、語っていた。自分は僧侶の適性が強い所為で、飲み過ぎると勝手に体内で浄化されてしまうと。だから二日酔いになったことがないと。確かそう言った後、出世払いだからな、とアールに言いながらヒールライトをかけていた。ユラのヒールライトはあまり状態異常解除の効果が多くないそうで、完全にとはいかなかった様だが。
「はっ! 私のヒールライトは、回復の効果は薄いが、代わりに状態異常解除効果が強いということか……?」
「また一人で何か納得してない?」
「たった一度のヒールライトで酔いが醒めたのだ、そう考えるのが妥当かもしれぬ」
「ねえってば」
「祐介!」
「はいはい……」
苦笑している祐介に、リアムは興奮気味で持論を語った。
「ヒールライトを唱えれば、二日酔いは回避出来るかもしれないのだ!」
「そこまでして飲みたい?」
「何故なら、好きだからだ!」
リアムはぐっと拳を握り締めて力説した。
「祐介の冷蔵庫に、ビールの在庫が隠されているのは知っている!」
「……あれ、僕のこっそりお楽しみ用なんだけど」
「魔術師ならば、まずは実験だ! そうは思わぬか祐介!」
「飲みたいだけでしょ?」
祐介が呆れ顔になった。しまった、あっさりと見破られてしまったではないか。考えろリアム、何か、何か祐介が喜んで飛びつく様なものはないか。前はキスを許可したところ飛んできたが、あれはさすがに拙いのはもう理解している。
リアムは素直に祐介に尋ねることにした。
「では、祐介は私に何をして欲しい? 何をしたら一本飲ませてもらえるか?」
「ええ……何が何でも飲む気だな……。じゃあ、キスマーク付けさせて」
「へ?」
予想外の返答に、リアムの目は大きく見開かれた。
「美味い! 祐介は私の好みを完璧に理解しているな!」
魔力を使い果たして腹ペコになっていたリアムは、大喜びでそれを食した。祐介も食べているが、夢中で食べているリアムをにこにこと眺めながらの為、進みは遅い。
「大分分かってきたよ。これからも任せて。絶対満足させてみせるから」
「頼もしいな! 私は幸せ者だ!」
「……餌付け作戦成功かも」
「ん? 何か言ったか?」
「ううん、何も。僕の分も食べる?」
「欲しいは欲しいが、祐介も足りぬであろう?」
「じゃあ半分あげる」
祐介はそう言うと、リアムの皿に半分程度を分けて入れてくれた。有難いのひと言である。
「そういえば、すっかり酔いが醒めてない?」
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「……もしかしたら、ヒールライトを唱えたからかもしれないぞ」
「え、あれって酔っ払いにも効果あるの?」
リアムは、いつも酒をどれだけ飲んでも翌日にはケロッとしていたユラを思い出していた。
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「はっ! 私のヒールライトは、回復の効果は薄いが、代わりに状態異常解除効果が強いということか……?」
「また一人で何か納得してない?」
「たった一度のヒールライトで酔いが醒めたのだ、そう考えるのが妥当かもしれぬ」
「ねえってば」
「祐介!」
「はいはい……」
苦笑している祐介に、リアムは興奮気味で持論を語った。
「ヒールライトを唱えれば、二日酔いは回避出来るかもしれないのだ!」
「そこまでして飲みたい?」
「何故なら、好きだからだ!」
リアムはぐっと拳を握り締めて力説した。
「祐介の冷蔵庫に、ビールの在庫が隠されているのは知っている!」
「……あれ、僕のこっそりお楽しみ用なんだけど」
「魔術師ならば、まずは実験だ! そうは思わぬか祐介!」
「飲みたいだけでしょ?」
祐介が呆れ顔になった。しまった、あっさりと見破られてしまったではないか。考えろリアム、何か、何か祐介が喜んで飛びつく様なものはないか。前はキスを許可したところ飛んできたが、あれはさすがに拙いのはもう理解している。
リアムは素直に祐介に尋ねることにした。
「では、祐介は私に何をして欲しい? 何をしたら一本飲ませてもらえるか?」
「ええ……何が何でも飲む気だな……。じゃあ、キスマーク付けさせて」
「へ?」
予想外の返答に、リアムの目は大きく見開かれた。
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