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第三章 上級編開始
第590話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下三十二階へ
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サツキの魔力が満タンになったところで、一行は地下三十二階への階段に向かった。
階段に辿り着いたところで、アールが鼻をくんくんとさせた後、顔を歪ませた。
「何か、臭くね?」
すると、サツキの横を歩いているラムが、思い切り嫌そうな顔をして、言った。
「これ、食べられてる匂い」
ウルスラとアールが、バッとラムを振り返った。
「ラム、食べられてるって……どういうこと? 何? ちょっと何なに?」
ウルスラが気持ち悪そうな顔になった。サツキはユラを見たが、ユラは肩を竦めただけだ。それを確認すると、サツキはラムに尋ねることにした。
「ラムちゃん、食べられてるものに匂いがあるって、どういうこと?」
「そのまんま。多分、あの蜘蛛が食べられてる最中」
「え……あんなにいっぱいいた蜘蛛を食べる程強いモンスターがいるってこと?」
「ラム分かんない」
そうか、ラムは元々は初級ダンジョンのかなり上の方にいたモンスターだ。今は合体したりレベルアップしたりして段々強くはなったが、ダンジョンの下層のことについては知らないことの方が多いのかもしれない。
「とりあえず用心しろってことだな」
ユラは真剣な眼差しでそう言うと、バリアーラを唱えた。そして、鞄の中を漁り、石をサツキに手渡した。魔力増強効果のある魔石だった。
「ユラ、これ今使っちゃ拙いんじゃないの?」
確かこれはボス戦に取っておく予定だったんじゃなかったか。サツキがそう尋ねると、ユラは首を横に振った。
「読めねえんだ。だから、持ってて欲しい」
これまでも複数のダンジョンを潜った経験のあるユラですら読めないことがあるのだ。読めない様なことが、今起こりつつあるのだ。その事実にサツキは気付くと、思わずぶるっと震えてしまった。
「悪い、脅すつもりじゃなかった」
途端、済まなそうにユラが言うが、危険ならば言ってもらった方がいいに決まっている。だからサツキは敢えて笑顔を浮かべて言った。
「ううん、言ってくれてありがとう。今のは武者震いよ」
「……サツキ、俺から離れるなよ」
「うん、約束する」
そう言って、ユラに心からの笑顔を見せた。もうユラにあんな表情はさせたくなかった。あんな悲痛な声を出させたくはなかった。だからサツキは、ユラの隣で戦うのだ。
「いい!? 行くわよ!」
ウルスラが、緊張した声で皆に言った。
「おう」
アールは剣の柄に手を添えた。
「サツキ」
「うん」
サツキは手の中に魔石を掴んだまま、ユラの手を握った。これで魔石の力を二人で分け合える。
「須藤さんはラムと一緒に」
アールの後ろを歩いていた須藤さんに、アールが指示を出す。須藤さんは慌ててラムの元に駆け寄ると、ラムは須藤さんと固く手を繋いだ。
前衛二人が先に階段を降り切ると、ウルスラが口をぱっと手で押さえた。アールは、腕で鼻の下を押さえている。
「どうした?」
ユラが声を掛けると、前衛の二人はチラリと後ろを振り返った後、即座に前に向き直ると剣をスラリと抜いた。
ユラとサツキが階段を降り切ると、目に飛び込んできたのはとんでもない醜悪な光景だった。
階段に辿り着いたところで、アールが鼻をくんくんとさせた後、顔を歪ませた。
「何か、臭くね?」
すると、サツキの横を歩いているラムが、思い切り嫌そうな顔をして、言った。
「これ、食べられてる匂い」
ウルスラとアールが、バッとラムを振り返った。
「ラム、食べられてるって……どういうこと? 何? ちょっと何なに?」
ウルスラが気持ち悪そうな顔になった。サツキはユラを見たが、ユラは肩を竦めただけだ。それを確認すると、サツキはラムに尋ねることにした。
「ラムちゃん、食べられてるものに匂いがあるって、どういうこと?」
「そのまんま。多分、あの蜘蛛が食べられてる最中」
「え……あんなにいっぱいいた蜘蛛を食べる程強いモンスターがいるってこと?」
「ラム分かんない」
そうか、ラムは元々は初級ダンジョンのかなり上の方にいたモンスターだ。今は合体したりレベルアップしたりして段々強くはなったが、ダンジョンの下層のことについては知らないことの方が多いのかもしれない。
「とりあえず用心しろってことだな」
ユラは真剣な眼差しでそう言うと、バリアーラを唱えた。そして、鞄の中を漁り、石をサツキに手渡した。魔力増強効果のある魔石だった。
「ユラ、これ今使っちゃ拙いんじゃないの?」
確かこれはボス戦に取っておく予定だったんじゃなかったか。サツキがそう尋ねると、ユラは首を横に振った。
「読めねえんだ。だから、持ってて欲しい」
これまでも複数のダンジョンを潜った経験のあるユラですら読めないことがあるのだ。読めない様なことが、今起こりつつあるのだ。その事実にサツキは気付くと、思わずぶるっと震えてしまった。
「悪い、脅すつもりじゃなかった」
途端、済まなそうにユラが言うが、危険ならば言ってもらった方がいいに決まっている。だからサツキは敢えて笑顔を浮かべて言った。
「ううん、言ってくれてありがとう。今のは武者震いよ」
「……サツキ、俺から離れるなよ」
「うん、約束する」
そう言って、ユラに心からの笑顔を見せた。もうユラにあんな表情はさせたくなかった。あんな悲痛な声を出させたくはなかった。だからサツキは、ユラの隣で戦うのだ。
「いい!? 行くわよ!」
ウルスラが、緊張した声で皆に言った。
「おう」
アールは剣の柄に手を添えた。
「サツキ」
「うん」
サツキは手の中に魔石を掴んだまま、ユラの手を握った。これで魔石の力を二人で分け合える。
「須藤さんはラムと一緒に」
アールの後ろを歩いていた須藤さんに、アールが指示を出す。須藤さんは慌ててラムの元に駆け寄ると、ラムは須藤さんと固く手を繋いだ。
前衛二人が先に階段を降り切ると、ウルスラが口をぱっと手で押さえた。アールは、腕で鼻の下を押さえている。
「どうした?」
ユラが声を掛けると、前衛の二人はチラリと後ろを振り返った後、即座に前に向き直ると剣をスラリと抜いた。
ユラとサツキが階段を降り切ると、目に飛び込んできたのはとんでもない醜悪な光景だった。
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