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第三章 上級編開始
第589話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略四日目、店の外へ
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祐介が代表して会計を済まし三人が外に向かうと、ショウちゃんが店の外まで追いかけてきた。
「ごめん、中途半端になっちゃって!」
そう言って手を合わせた。
「仕事だもんね、大丈夫だよ」
ショウちゃんには優しい祐介が、笑顔で応えた。そんな祐介を胡散臭そうに見ている早川ユメに、ショウちゃんがはにかんだ笑顔で言った。
「ユメちゃん、終わったら電話していい?」
「……まあ、いいけど」
「返事は急がなくてもいいからさ。俺、再会してからもうずっと待ってたし、これが少し伸びても気にしないから」
「……ちゃんと、考えるから」
早川ユメは、そう言うと照れくさそうに手を振った。
「じゃ、じゃあまた」
「うん、後で。――あ、お二人もありがとう! また来てね!」
「うん、近い内に寄らせてもらうよ」
「世話になったな」
最後のリアムの言葉にショウちゃんは一瞬戸惑った様な表情を見せたが、そこはさすが客商売の人間だ、すぐに笑顔に戻って手を振った。
ショウちゃんが店の中に戻っていくと、リアムはリアムの手を握って離そうとしない祐介と、そんな祐介を呆れた様にチラ見している早川ユメを見て、言った。
「さて。私からの提案が一つあるのだが」
「え? もう今日は帰ろうよサツキちゃん」
「うるさいわねこいつ。――なに、提案て?」
祐介が若干面倒臭い。もう気にしていないと言ったというのに、どうもそわそわと落ち着きがない。恐らく、早川ユメと別れた途端に弁明が始まるのであろうことは大いに予想がついた。
恋人でもない、名前も呼ばないリアムに弁明してどうしたいというのか。そこまで考え、段々また腹が立ってきてしまったので、リアムは無理やり意識を早川ユメに向けた。
「見てもらいたいものがあるのだ」
「え? 何よ」
「ここでは見せられん。どこか人気のない公園があればそこがいいのだが」
リアムがそう言うと、祐介がリアムの手をぐいっと引っ張ったと思うと、リアムの耳元で小声で慌てた様に尋ねてきた。
「ちょっと、まさかばらすつもりじゃないよね!?」
「祐介、私にいい考えがあるのだ」
「あるのだって、何するつもりなの。またろくでもない思いつきなんじゃ」
祐介も大分言うようになったものだ。リアムはムッとして反論した。
「ろくでもないはないであろうが」
「あ、ごめん。つい本音が」
「……祐介?」
「すみません言い過ぎました」
「分かればいいのだ」
すると、ひそひそと話をしていた二人を見ていた早川ユメが、呆れた様に言った。
「あのさ、用がないなら怖いしタクシーでも拾って帰るから、今日はもういいかしら?」
リアムは急いで祐介の頬をぐいっと押し、早川ユメに向き直った。
「用はある。頼む、一緒に来てくれないか。――祐介!」
「はいはい、場所まで連れてけってことなんですよね」
すでに諦め顔の祐介が、苦笑いしつつそう言った。離したリアムの手をもう一度握り直すと、駅とは反対の方向に向かって歩き出す。
「こっち。家の方の、この間行った公園なら歩いた方が早いから」
そう、祐介は、なんだかんだで最後はちゃんとリアムの願いを叶えてくれるのだ。リアムが笑顔になると、祐介が突然リアムのおでこに軽いキスをした。
「ゆ、祐介! いきなり何を!」
「お駄賃」
「おだ、おだ、お駄賃?」
リアムがあたふたしていると、その様子をリアムの隣を歩きながら黙ってみていた早川ユメが、ぶふっと笑ったのだった。
「ごめん、中途半端になっちゃって!」
そう言って手を合わせた。
「仕事だもんね、大丈夫だよ」
ショウちゃんには優しい祐介が、笑顔で応えた。そんな祐介を胡散臭そうに見ている早川ユメに、ショウちゃんがはにかんだ笑顔で言った。
「ユメちゃん、終わったら電話していい?」
「……まあ、いいけど」
「返事は急がなくてもいいからさ。俺、再会してからもうずっと待ってたし、これが少し伸びても気にしないから」
「……ちゃんと、考えるから」
早川ユメは、そう言うと照れくさそうに手を振った。
「じゃ、じゃあまた」
「うん、後で。――あ、お二人もありがとう! また来てね!」
「うん、近い内に寄らせてもらうよ」
「世話になったな」
最後のリアムの言葉にショウちゃんは一瞬戸惑った様な表情を見せたが、そこはさすが客商売の人間だ、すぐに笑顔に戻って手を振った。
ショウちゃんが店の中に戻っていくと、リアムはリアムの手を握って離そうとしない祐介と、そんな祐介を呆れた様にチラ見している早川ユメを見て、言った。
「さて。私からの提案が一つあるのだが」
「え? もう今日は帰ろうよサツキちゃん」
「うるさいわねこいつ。――なに、提案て?」
祐介が若干面倒臭い。もう気にしていないと言ったというのに、どうもそわそわと落ち着きがない。恐らく、早川ユメと別れた途端に弁明が始まるのであろうことは大いに予想がついた。
恋人でもない、名前も呼ばないリアムに弁明してどうしたいというのか。そこまで考え、段々また腹が立ってきてしまったので、リアムは無理やり意識を早川ユメに向けた。
「見てもらいたいものがあるのだ」
「え? 何よ」
「ここでは見せられん。どこか人気のない公園があればそこがいいのだが」
リアムがそう言うと、祐介がリアムの手をぐいっと引っ張ったと思うと、リアムの耳元で小声で慌てた様に尋ねてきた。
「ちょっと、まさかばらすつもりじゃないよね!?」
「祐介、私にいい考えがあるのだ」
「あるのだって、何するつもりなの。またろくでもない思いつきなんじゃ」
祐介も大分言うようになったものだ。リアムはムッとして反論した。
「ろくでもないはないであろうが」
「あ、ごめん。つい本音が」
「……祐介?」
「すみません言い過ぎました」
「分かればいいのだ」
すると、ひそひそと話をしていた二人を見ていた早川ユメが、呆れた様に言った。
「あのさ、用がないなら怖いしタクシーでも拾って帰るから、今日はもういいかしら?」
リアムは急いで祐介の頬をぐいっと押し、早川ユメに向き直った。
「用はある。頼む、一緒に来てくれないか。――祐介!」
「はいはい、場所まで連れてけってことなんですよね」
すでに諦め顔の祐介が、苦笑いしつつそう言った。離したリアムの手をもう一度握り直すと、駅とは反対の方向に向かって歩き出す。
「こっち。家の方の、この間行った公園なら歩いた方が早いから」
そう、祐介は、なんだかんだで最後はちゃんとリアムの願いを叶えてくれるのだ。リアムが笑顔になると、祐介が突然リアムのおでこに軽いキスをした。
「ゆ、祐介! いきなり何を!」
「お駄賃」
「おだ、おだ、お駄賃?」
リアムがあたふたしていると、その様子をリアムの隣を歩きながら黙ってみていた早川ユメが、ぶふっと笑ったのだった。
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