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第三章 上級編開始
第579話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略四日目勝負後のショウちゃん
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火の点いた煙草をカウンターの上に落としてしまった早川ユメは、それを拾うこともなく唖然としてショウちゃんを見ている。ショウちゃんはそんな早川ユメを苦笑いしつつ見ると、落ちた煙草を灰皿の上に立て掛けた。
「まさか気付いてなかったの? 俺、結構あからさまだったと思うんだけど」
基本人の色恋に鈍感であるという自覚があるリアムですら、ショウちゃんの早川ユメに対する好意は会ってすぐに感じ取ることが出来た。だからてっきり、早川ユメはその好意を知った上でショウちゃんに愚痴を零していたのだと思っていたのだが、案外こやつも鈍感らしい。
だから言ってやることにした。
「早川さん、さすがの私でもショウちゃん殿の好意は気が付いたぞ。いくらなんでも鈍感過ぎやしないか」
「あんた本当に失礼よね」
「話術はあまり得意ではない自覚はある」
「自覚あるならそういうことはそっと胸にしまっておきなさいよ」
「いやな、あまりにもショウちゃん殿が哀れに思い」
「ていうか何であんたちょいちょい男目線なのよ。さっきも言ってたじゃない、女を酷い風に振ったことはないとか何とか」
しまった。あまりにも早川ユメが自然体過ぎて、つい祐介と話していても普段通りにしてしまっていた。
「サツキちゃんのことは今はいいでしょ。それよりも二人の話でしょうが」
リアムが返答に困っていると、祐介が会話に割り込んできた。このままではリアムが何を話すか分かったものではないと判断したのであろう。懸命な判断である。
ショウちゃんが、祐介の言葉にこそばゆそうに笑った。
「ユメちゃん、俺さ、頼りないしユメちゃんは何でも一人で決めちゃうから俺は君の愚痴聞いてあげること位しか出来てなかったけど、そんな乱暴なことをする奴とは今すぐ離れた方がいいと思うんだ」
それはリアムも同意である。早川ユメに対し性的に乱暴はしたことはない様ではあるが、こんなに酷い痣が出来る程の暴行を受けているということは、もう次は何が起こるか分からないと考えた方がいいだろう。
「この人達も、あの羽田って人を何とかしたいって言ってるからここにいるんでしょ?」
「そうだ」
リアムはしっかりと頷いた。
「だからもう一人で抱えないで俺も頼ってよ」
早川ユメが、置きっ放しの煙草の火を揉み消した。
「……悪いことしてる人間に、情けをかけないでくれる?」
「ユメちゃんがお金に困ってるのは家と弟の所為じゃないか」
早川ユメが、ばっと顔を上げてショウちゃんを睨みつけた。
「黙ってよ!」
「俺さ、お金はないけど、でもユメちゃんの盾になることは出来るよ? だから、この人達に話そうよ」
「止めて!」
早川ユメは灰皿を上から握る様に掴みそれを振り上げたが、静かに早川ユメを見返すショウちゃんと目が合い、ゆっくりとそれを降ろした。
早川ユメの目から、涙がボロボロと流れ落ちた。
「……せ、折角ここまで意地張って頑張って来たのに……! 何で全部ぶっ壊すのよ!!」
「だから言っただろ、好きだからだよ」
ショウちゃんがそう言うと、早川ユメの手から灰皿をそっと奪い、彼女の手をおしぼりで拭き取った。そしてリアムと祐介に向き直る。
「ユメちゃんの親は、蒸発したんです」
ショウちゃんが言った。
「まさか気付いてなかったの? 俺、結構あからさまだったと思うんだけど」
基本人の色恋に鈍感であるという自覚があるリアムですら、ショウちゃんの早川ユメに対する好意は会ってすぐに感じ取ることが出来た。だからてっきり、早川ユメはその好意を知った上でショウちゃんに愚痴を零していたのだと思っていたのだが、案外こやつも鈍感らしい。
だから言ってやることにした。
「早川さん、さすがの私でもショウちゃん殿の好意は気が付いたぞ。いくらなんでも鈍感過ぎやしないか」
「あんた本当に失礼よね」
「話術はあまり得意ではない自覚はある」
「自覚あるならそういうことはそっと胸にしまっておきなさいよ」
「いやな、あまりにもショウちゃん殿が哀れに思い」
「ていうか何であんたちょいちょい男目線なのよ。さっきも言ってたじゃない、女を酷い風に振ったことはないとか何とか」
しまった。あまりにも早川ユメが自然体過ぎて、つい祐介と話していても普段通りにしてしまっていた。
「サツキちゃんのことは今はいいでしょ。それよりも二人の話でしょうが」
リアムが返答に困っていると、祐介が会話に割り込んできた。このままではリアムが何を話すか分かったものではないと判断したのであろう。懸命な判断である。
ショウちゃんが、祐介の言葉にこそばゆそうに笑った。
「ユメちゃん、俺さ、頼りないしユメちゃんは何でも一人で決めちゃうから俺は君の愚痴聞いてあげること位しか出来てなかったけど、そんな乱暴なことをする奴とは今すぐ離れた方がいいと思うんだ」
それはリアムも同意である。早川ユメに対し性的に乱暴はしたことはない様ではあるが、こんなに酷い痣が出来る程の暴行を受けているということは、もう次は何が起こるか分からないと考えた方がいいだろう。
「この人達も、あの羽田って人を何とかしたいって言ってるからここにいるんでしょ?」
「そうだ」
リアムはしっかりと頷いた。
「だからもう一人で抱えないで俺も頼ってよ」
早川ユメが、置きっ放しの煙草の火を揉み消した。
「……悪いことしてる人間に、情けをかけないでくれる?」
「ユメちゃんがお金に困ってるのは家と弟の所為じゃないか」
早川ユメが、ばっと顔を上げてショウちゃんを睨みつけた。
「黙ってよ!」
「俺さ、お金はないけど、でもユメちゃんの盾になることは出来るよ? だから、この人達に話そうよ」
「止めて!」
早川ユメは灰皿を上から握る様に掴みそれを振り上げたが、静かに早川ユメを見返すショウちゃんと目が合い、ゆっくりとそれを降ろした。
早川ユメの目から、涙がボロボロと流れ落ちた。
「……せ、折角ここまで意地張って頑張って来たのに……! 何で全部ぶっ壊すのよ!!」
「だから言っただろ、好きだからだよ」
ショウちゃんがそう言うと、早川ユメの手から灰皿をそっと奪い、彼女の手をおしぼりで拭き取った。そしてリアムと祐介に向き直る。
「ユメちゃんの親は、蒸発したんです」
ショウちゃんが言った。
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