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第三章 上級編開始
第573話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略四日目勝負後のユメの告白その2
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早川ユメの喋りは舌っ足らずではあるが、言い方がはっきりとしている為甘えた様には聞こえない。もしかしたらこれも、舐められない為に本人が編み出した処世術なのかもしれないな、とふと思った。
「久住社長の愛人にならないかっていう話だったわ」
はは、と大して面白くもなさそうに早川ユメは笑った。
「お金になるって。社長を誘惑して、奥さんと別れさせたらそれで終わるからって言われたのよ。毎日飲んでは吐く生活の代わりに、会社に秘書として雇って貰えばいいって。総務も人事も空いてるから、それも皆やってることにすれば給料もガンガン貰えるし、それに愛人手当も貰えばいいって」
「麗子さんと別れさせる? それが羽田さんの目的だったの?」
祐介が驚いた様に早川ユメに尋ねた。早川ユメは、深く頷いた。
「そう言ってたわよ。あいつに麗子さんは勿体ない、だけどあいつは麗子さんからもらった資本金の所為で麗子さんを解放しないんだーっとか言ってた。何だただの三角関係じゃないと思ってさ、断った訳よ」
「断ったのか」
意外だった。始めから乗り気だった訳ではなかったのか。
「当たり前でしょー? だあれが社長だからって好きでもないおっさんの愛人をしないといけないのよ。愛人になったら身体を売る様なもんじゃない。一応ね、私はそれまでは好きな男としかしない人生を送ってきてたのよ?」
でも、と早川ユメが遠い目をした。彼女を見守るショウちゃんの眼差しは、慈愛に満ちたものだった。恐らく、彼は全て事情を知っているに違いない。リアムにはそう思えた。
「でもあいつ、私がそろそろ首が回らなくなってきてることをもう知っちゃってたから、そこから店への嫌がらせが始まって」
「嫌がらせ……?」
「違法行為をしてるって警察に通報したり、店の看板にペンキぶちまけたり、私のことを名指しで止めさせたらもうしないって電話してきたり」
完全に狙われてしまった訳だ。ラーメン一杯の所為で。
「たかが女の子一人じゃない? それにキャバクラをやりたい女の子なんて探せばいくらでも出てくるし、私は残念ながらちょっと年齢もいってたしナンバーワンにはなれてなかったし」
「ユメちゃん、人気あったよ」
慰める様にショウちゃんが言ったが、早川ユメは一蹴した。
「上客はいなかったじゃない。皆ろくに転売出来る様なバッグもアクセサリーもくれないし、やっぱり貧乏人には貧乏人臭が染み付いててお仲間には分かっちゃうのかなとか思ったもんよ」
早川ユメは、何故そこまで金に困っているのか。変な趣味がある様には見えないが、それもいずれ語られるだろうか。
「で、そこそこの年数を務めてた私を、あの恩知らずの店はバッサリと切っちゃった訳ですよ」
早川ユメは、手をひらひらとさせながら笑った。だが、その目はちっとも笑ってなかった。
「何人かのお客さんからは来たわよ? 結婚して一緒に暮らそうとかさ。でもキャバ嬢にはまる様な奴と一緒になっても、あいつら私がおばさんになったら絶対別の若い女になびくだろうし、それに男に頼って生きるのなんて真っ平御免だったから」
早川ユメが、言った。
「だから、羽田さんと手を組むことにしたの」
「久住社長の愛人にならないかっていう話だったわ」
はは、と大して面白くもなさそうに早川ユメは笑った。
「お金になるって。社長を誘惑して、奥さんと別れさせたらそれで終わるからって言われたのよ。毎日飲んでは吐く生活の代わりに、会社に秘書として雇って貰えばいいって。総務も人事も空いてるから、それも皆やってることにすれば給料もガンガン貰えるし、それに愛人手当も貰えばいいって」
「麗子さんと別れさせる? それが羽田さんの目的だったの?」
祐介が驚いた様に早川ユメに尋ねた。早川ユメは、深く頷いた。
「そう言ってたわよ。あいつに麗子さんは勿体ない、だけどあいつは麗子さんからもらった資本金の所為で麗子さんを解放しないんだーっとか言ってた。何だただの三角関係じゃないと思ってさ、断った訳よ」
「断ったのか」
意外だった。始めから乗り気だった訳ではなかったのか。
「当たり前でしょー? だあれが社長だからって好きでもないおっさんの愛人をしないといけないのよ。愛人になったら身体を売る様なもんじゃない。一応ね、私はそれまでは好きな男としかしない人生を送ってきてたのよ?」
でも、と早川ユメが遠い目をした。彼女を見守るショウちゃんの眼差しは、慈愛に満ちたものだった。恐らく、彼は全て事情を知っているに違いない。リアムにはそう思えた。
「でもあいつ、私がそろそろ首が回らなくなってきてることをもう知っちゃってたから、そこから店への嫌がらせが始まって」
「嫌がらせ……?」
「違法行為をしてるって警察に通報したり、店の看板にペンキぶちまけたり、私のことを名指しで止めさせたらもうしないって電話してきたり」
完全に狙われてしまった訳だ。ラーメン一杯の所為で。
「たかが女の子一人じゃない? それにキャバクラをやりたい女の子なんて探せばいくらでも出てくるし、私は残念ながらちょっと年齢もいってたしナンバーワンにはなれてなかったし」
「ユメちゃん、人気あったよ」
慰める様にショウちゃんが言ったが、早川ユメは一蹴した。
「上客はいなかったじゃない。皆ろくに転売出来る様なバッグもアクセサリーもくれないし、やっぱり貧乏人には貧乏人臭が染み付いててお仲間には分かっちゃうのかなとか思ったもんよ」
早川ユメは、何故そこまで金に困っているのか。変な趣味がある様には見えないが、それもいずれ語られるだろうか。
「で、そこそこの年数を務めてた私を、あの恩知らずの店はバッサリと切っちゃった訳ですよ」
早川ユメは、手をひらひらとさせながら笑った。だが、その目はちっとも笑ってなかった。
「何人かのお客さんからは来たわよ? 結婚して一緒に暮らそうとかさ。でもキャバ嬢にはまる様な奴と一緒になっても、あいつら私がおばさんになったら絶対別の若い女になびくだろうし、それに男に頼って生きるのなんて真っ平御免だったから」
早川ユメが、言った。
「だから、羽田さんと手を組むことにしたの」
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