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第三章 上級編開始
第571話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略四日目勝負後のユメの告白
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ビールが来ると、リアムは念の為祐介を見た。祐介は仕方なさそうに笑ってくれた。よし。とりあえずひと口含んでみる。幸せだ。
「じゃあ話すけど、他の奴らには話さないでよ」
「承知した」
「……あんたもよ」
早川ユメは、祐介を軽く睨みつけて言った。
「はいはい」
「うわー軽……」
早川ユメは、祐介の相手をするのは早々に諦めた様だ。それにしても、祐介の過去の話といい早川ユメへの雑な態度といい、リアムが知っている祐介とはかけ離れている。どちらが本物の祐介なのか、気になるところである。
だが、リアムに甘えまくったり泣いたりする祐介の全てが演技とも思いにくい。とすれば、違いは対象への興味のあるなしに関係するのかもしれない。
それは、自分に興味があると思いたいだけなのかもしれないが、でも、なかなか悪くない考えである。
「ふふ」
リアムは酔っていた。そう、気持ちよくほろ酔いなのだ。だからまあ、多少のことは大目に見てもらいたい。
リアムは、背後に立つ祐介にぽてんと寄りかかり、祐介を見上げた。
「寄りかかっていいか?」
「是非」
祐介がにっこりと笑うと、リアムの身体を片手で支えた。
「……いちゃいちゃと……まあいいわ」
早川ユメは呆れた様にリアム達を見た。そして、話し始めた。
「さっきショウちゃんが言ってた通り、私は元々キャバ嬢をやってたのよ。毎晩飲んで吐いて、起きたらお客さんに営業メールして同伴して、毎日毎日その繰り返し。お金は入るけど、ご覧の通りお酒が弱いじゃない? だから身体がきつくて」
早川ユメは、次の水に口を付けた。
「そんなある日、羽田さんがうちの店に来たのよ。何か人相悪いし偉ぶってるし腹も出てるし払いもよくないし、まあ貧乏な普通の客よね。毎回違う女の子と話してるし、何ていうか女の子と楽しく会話しに来てる感じがしなくて、ちょっと変な人って印象だったのよ」
羽田との出会いは偶然だったということか。リアムは小さく頷いた。
「それで、とうとうある日私の番が来た訳よ。でも会話は弾まないし、やたらと人の働いてる事情を聞きたがったりってちょっと嫌な雰囲気だったから、他の指名も入ったし適当にあしらってバイバイしたのよ。そうしたらさ」
早川ユメが、嫌そうに顔を顰める。
「仕事が終わって外に出たら、いたのよ」
「待ち伏せされたのか?」
「そう。ちょっとキモくない?」
あの羽田が仕事終わりに自分を待っていたら、確かにいい気分はしない。リアムは素直に頷いた。
「で、やっぱり声掛けてきてね。ラーメン食べないかって。丁度その日はアフターもなかったし、奢ってもらえるならタダ飯だしと思って付いていったらさ」
「付いて行ってしまったのか」
「だってラーメンよ?」
だっての意味が不明だったが、要は腹が減っていたのでタダ飯に惹かれたということか。なかなかに直情的な人間である。
「そこで、金儲けの話を持ちかけられたのよ」
「金儲け……」
早川ユメは語る。
「あいつ、あちこちのキャバクラに行っては、お金に本当に困ってる女の子を探してたんだって。でもホスト狂いとかだと調整が面倒だから、単純に生活に困ってて基本真面目な私みたいな女の子がよかったみたいなんだけど」
自分で真面目と言い切る早川ユメ。さすがは我が好敵手だ。
「そうしたら、とんでもない話だったのよ」
早川ユメはそう言うと、水を一口飲んだ。
「じゃあ話すけど、他の奴らには話さないでよ」
「承知した」
「……あんたもよ」
早川ユメは、祐介を軽く睨みつけて言った。
「はいはい」
「うわー軽……」
早川ユメは、祐介の相手をするのは早々に諦めた様だ。それにしても、祐介の過去の話といい早川ユメへの雑な態度といい、リアムが知っている祐介とはかけ離れている。どちらが本物の祐介なのか、気になるところである。
だが、リアムに甘えまくったり泣いたりする祐介の全てが演技とも思いにくい。とすれば、違いは対象への興味のあるなしに関係するのかもしれない。
それは、自分に興味があると思いたいだけなのかもしれないが、でも、なかなか悪くない考えである。
「ふふ」
リアムは酔っていた。そう、気持ちよくほろ酔いなのだ。だからまあ、多少のことは大目に見てもらいたい。
リアムは、背後に立つ祐介にぽてんと寄りかかり、祐介を見上げた。
「寄りかかっていいか?」
「是非」
祐介がにっこりと笑うと、リアムの身体を片手で支えた。
「……いちゃいちゃと……まあいいわ」
早川ユメは呆れた様にリアム達を見た。そして、話し始めた。
「さっきショウちゃんが言ってた通り、私は元々キャバ嬢をやってたのよ。毎晩飲んで吐いて、起きたらお客さんに営業メールして同伴して、毎日毎日その繰り返し。お金は入るけど、ご覧の通りお酒が弱いじゃない? だから身体がきつくて」
早川ユメは、次の水に口を付けた。
「そんなある日、羽田さんがうちの店に来たのよ。何か人相悪いし偉ぶってるし腹も出てるし払いもよくないし、まあ貧乏な普通の客よね。毎回違う女の子と話してるし、何ていうか女の子と楽しく会話しに来てる感じがしなくて、ちょっと変な人って印象だったのよ」
羽田との出会いは偶然だったということか。リアムは小さく頷いた。
「それで、とうとうある日私の番が来た訳よ。でも会話は弾まないし、やたらと人の働いてる事情を聞きたがったりってちょっと嫌な雰囲気だったから、他の指名も入ったし適当にあしらってバイバイしたのよ。そうしたらさ」
早川ユメが、嫌そうに顔を顰める。
「仕事が終わって外に出たら、いたのよ」
「待ち伏せされたのか?」
「そう。ちょっとキモくない?」
あの羽田が仕事終わりに自分を待っていたら、確かにいい気分はしない。リアムは素直に頷いた。
「で、やっぱり声掛けてきてね。ラーメン食べないかって。丁度その日はアフターもなかったし、奢ってもらえるならタダ飯だしと思って付いていったらさ」
「付いて行ってしまったのか」
「だってラーメンよ?」
だっての意味が不明だったが、要は腹が減っていたのでタダ飯に惹かれたということか。なかなかに直情的な人間である。
「そこで、金儲けの話を持ちかけられたのよ」
「金儲け……」
早川ユメは語る。
「あいつ、あちこちのキャバクラに行っては、お金に本当に困ってる女の子を探してたんだって。でもホスト狂いとかだと調整が面倒だから、単純に生活に困ってて基本真面目な私みたいな女の子がよかったみたいなんだけど」
自分で真面目と言い切る早川ユメ。さすがは我が好敵手だ。
「そうしたら、とんでもない話だったのよ」
早川ユメはそう言うと、水を一口飲んだ。
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