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第三章 上級編開始
第564話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下二十二階へ
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一行は地下二十二階へと足を踏み入れた。下るにつれて益々暑くなってくるが、これは一体何によるものなのか。
ブリーザラーの効果は僅か数分だ。どこまで持つか不安はあるが、今は先へと進むしかない。そしてブリーザラーを連発する以上は、なるべく素早く移動する必要があった。
地下二十二階に出て来たのは、フレイムグリフォニアと、フレイムボアキングという野生のお姫様が出てくるあの映画に出てくる猪の祟り神の様な大きさの猪だった。どちらとも、集中をした上で初級魔法のアイスで四回で倒せたが、その分時間を取られた。
そろそろ地下二十三階への階段が見えてこようかという所で、ユラが言った。
「もう次からはアイスナでいこう。最悪、アールの魔力をエレ・ドレインで吸っちまえばいいし」
「アールってどの位魔力あるの?」
「俺の半分位だな。だから上級は唱えられない。そもそも適性もねえし」
すると、アールが膨れた。
「何だよー! へっぽこ剣士で悪かったな」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
ユラがアールの肩をポン、と叩く。やはりユラはアールには優しい。でもユラの抱えている想いを思うと、切なくなった。
どうしたら、全員が幸せになれるんだろう。
サツキがそんなことを考えて二人を見ていると、二人は魔力について話し続けていた。
「いいかアール、お前の魔力は保険だからな、俺もサツキも駄目になったら、近くにいる方に『エレ・イリカ・ヴェール』だぞ」
ユラが言うが、アールは首を傾げている。
「それって何だっけ?」
「しょっちゅうリアムにやってただろうが! もうどうしてお前は肝心なことを見てないんだよ」
ユラは苛々し始めた。アールは頭をぽりぽり掻きながら言い訳をする。
「前衛にいる時は後衛のことは忘れちゃうんだよ」
ユラはこれ以上言っても無駄だと思ったのか、苛々を顔に出しながらも説明を始めた。
「ちっ仕方ねえな。いいか? エレ・イリカ・ヴェールってのは相手に魔力を分け与える呪文だ。相手に接触する程効果は上がるから、まあサツキにでも手を握るまでは許してやる」
「ん、分かった」
アールは素直に頷いた。というか、何故ユラの許可制になっているのか。
「俺とサツキはエレ・イリカ・ヴェールでもエレ・ドレインでもどっちでも互いに埋め合えるからな」
「エレ・ドレインて何だっけ?」
「いやだから、魔力を吸い取るやつだって言ってんだろ」
「んー、まあ俺には関係ないやつだな!」
「……まあそれでいいよもう」
ユラがそこで話を打ち切った。はあ、とわざとらしい溜息をついているが、何だかんだ言ってアールと話せて嬉しい癖に、とちょっと意地悪なサツキが心の中で呟く。
あ、今自分は嫌な奴だ。そう気付き、嫌悪感が溢れ出た。
ユラがサツキの肩をぐいっと掴んで優しい笑顔で顔を覗き込んでくる。
「サツキ? どうした?」
何も言えなくなり、サツキはただ無言でユラの服の裾を摘んだ。寄り掛からなくても、少しでも近付きたくて。
ユラはそれ以上何も聞かず、サツキの頭にスリ、と頬を擦り付けた。
ブリーザラーの効果は僅か数分だ。どこまで持つか不安はあるが、今は先へと進むしかない。そしてブリーザラーを連発する以上は、なるべく素早く移動する必要があった。
地下二十二階に出て来たのは、フレイムグリフォニアと、フレイムボアキングという野生のお姫様が出てくるあの映画に出てくる猪の祟り神の様な大きさの猪だった。どちらとも、集中をした上で初級魔法のアイスで四回で倒せたが、その分時間を取られた。
そろそろ地下二十三階への階段が見えてこようかという所で、ユラが言った。
「もう次からはアイスナでいこう。最悪、アールの魔力をエレ・ドレインで吸っちまえばいいし」
「アールってどの位魔力あるの?」
「俺の半分位だな。だから上級は唱えられない。そもそも適性もねえし」
すると、アールが膨れた。
「何だよー! へっぽこ剣士で悪かったな」
「誰もそんなこと言ってないだろ」
ユラがアールの肩をポン、と叩く。やはりユラはアールには優しい。でもユラの抱えている想いを思うと、切なくなった。
どうしたら、全員が幸せになれるんだろう。
サツキがそんなことを考えて二人を見ていると、二人は魔力について話し続けていた。
「いいかアール、お前の魔力は保険だからな、俺もサツキも駄目になったら、近くにいる方に『エレ・イリカ・ヴェール』だぞ」
ユラが言うが、アールは首を傾げている。
「それって何だっけ?」
「しょっちゅうリアムにやってただろうが! もうどうしてお前は肝心なことを見てないんだよ」
ユラは苛々し始めた。アールは頭をぽりぽり掻きながら言い訳をする。
「前衛にいる時は後衛のことは忘れちゃうんだよ」
ユラはこれ以上言っても無駄だと思ったのか、苛々を顔に出しながらも説明を始めた。
「ちっ仕方ねえな。いいか? エレ・イリカ・ヴェールってのは相手に魔力を分け与える呪文だ。相手に接触する程効果は上がるから、まあサツキにでも手を握るまでは許してやる」
「ん、分かった」
アールは素直に頷いた。というか、何故ユラの許可制になっているのか。
「俺とサツキはエレ・イリカ・ヴェールでもエレ・ドレインでもどっちでも互いに埋め合えるからな」
「エレ・ドレインて何だっけ?」
「いやだから、魔力を吸い取るやつだって言ってんだろ」
「んー、まあ俺には関係ないやつだな!」
「……まあそれでいいよもう」
ユラがそこで話を打ち切った。はあ、とわざとらしい溜息をついているが、何だかんだ言ってアールと話せて嬉しい癖に、とちょっと意地悪なサツキが心の中で呟く。
あ、今自分は嫌な奴だ。そう気付き、嫌悪感が溢れ出た。
ユラがサツキの肩をぐいっと掴んで優しい笑顔で顔を覗き込んでくる。
「サツキ? どうした?」
何も言えなくなり、サツキはただ無言でユラの服の裾を摘んだ。寄り掛からなくても、少しでも近付きたくて。
ユラはそれ以上何も聞かず、サツキの頭にスリ、と頬を擦り付けた。
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