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第三章 上級編開始
第556話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下二十一階のフレームグリフォニア戦
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早速ブリーザラーを唱えたサツキは、今日も後衛だ。ブリーザラーの効果をなるべく一箇所に集中させる為、昨日よりも前衛と後衛の距離は近い。同じ呪文でも、範囲を狭めると効果がより強く出るとユラが教えてくれたからだ。実際その通りだったので、昨日までは少し距離を開けて歩いていたのは、上の階はそこまで気温も暑くはなく、出てくるモンスターも似通ったモンスターばかりで危険度が低かった為だろう。
地下二十一階で初めて出会ったモンスターは、それまでに見たことのないモンスターだった。鷲の頭に獅子の身体。大きな翼が生えている。その目は赤く炎を揺らめかせ、身体の内部に炎を宿しているのが皮膚を通して見えた。なんていうんだっけ、ええと。
すると、アールが目を輝かせて言った。
「フレームグリフォニアじゃないか! うおー!! 格好いい!」
そうそう、グリフォンだグリフォン。あのメガネの魔法使いの坊やが割り振られた班もそんな感じの名前だった。所謂王道まっしぐらの象徴みたいなので、常に脇役だったサツキにとっては、少し遠慮したくなるタイプだ。カーストで言ったら上位の人が割り振られる様なやつである。
「バリアーラ!」
ユラがバリアーラを唱えると、白い粒子の様な光がサアッと四人を覆う。
「ユラ! 俺あの子が欲しい!」
アールは滅茶苦茶はしゃいでいる。そうか、アールはああいういかにもなモンスターがお好みらしい。でも可哀想に、その横で須藤さんがしょげているじゃないの。
「ユラ、須藤さんが可哀想だよ」
サツキが小声でユラに言うと、ユラも須藤さんのその様子に気が付いたらしい。
「アール、須藤さんのことをちゃんと考えてやれよ!」
取ってつけた感は否めないが、ユラはサツキの意図を汲んでくれた。
「須藤さん……」
アールが足元でアールを見上げる須藤さんを見下ろした。そして、がばっと抱いた。
「ごめん! 俺、お前に酷いことをするところだった!」
須藤さんがこくこくと頷いている。よかったよかった。
「アール! 感動的な抱擁は後にして!」
横でウルスラが怒鳴った。フレームグリフォニアはすでに攻撃を開始しており、バリアーラに爪の痕が数本走っているじゃないか。ウルスラはそれがいつ破られるかとハラハラしている様だった。
アールが須藤さんを離すと、「須藤さん下がってろ!」と勇ましく言い、ウルスラと並んで構えた。
「ていうかこれ地下三十何階にいたんだけど!」
アールが叫びながら、バリアーラを抜け出てフレームグリフォニアに襲いかかった。
「ちょっと行くなら何か言ってよ! もうアールってば!」
ウルスラも大慌てでバリアーラの壁を通り過ぎると、フレームグリフォニアに向けて剣を繰り出した。アールはとにかく身軽で、まるで軽業師の様だ。ウルスラの剣技は緩やかでも力強く、まるで舞っている様だった。
「フレームグリフォニアの弱点は目だ! 逃げられない様に翼を先にやれ!」
ユラがアドバイスする。
「うおっ!」
フレームグリフォニアの爪が、アールの太ももを抉った。
「アール!」
ウルスラが叫ぶ。
「ウルスラ! アールを連れ戻せ!」
「了解!」
転がるようにバリアーラの中に戻ってきた二人を、ユラが急いで治療する。
「ここは私が!」
サツキが一歩前に出ようとしたその時。
ラムがぐい、とサツキを後ろに引っ張ると、自分が前に出た。
地下二十一階で初めて出会ったモンスターは、それまでに見たことのないモンスターだった。鷲の頭に獅子の身体。大きな翼が生えている。その目は赤く炎を揺らめかせ、身体の内部に炎を宿しているのが皮膚を通して見えた。なんていうんだっけ、ええと。
すると、アールが目を輝かせて言った。
「フレームグリフォニアじゃないか! うおー!! 格好いい!」
そうそう、グリフォンだグリフォン。あのメガネの魔法使いの坊やが割り振られた班もそんな感じの名前だった。所謂王道まっしぐらの象徴みたいなので、常に脇役だったサツキにとっては、少し遠慮したくなるタイプだ。カーストで言ったら上位の人が割り振られる様なやつである。
「バリアーラ!」
ユラがバリアーラを唱えると、白い粒子の様な光がサアッと四人を覆う。
「ユラ! 俺あの子が欲しい!」
アールは滅茶苦茶はしゃいでいる。そうか、アールはああいういかにもなモンスターがお好みらしい。でも可哀想に、その横で須藤さんがしょげているじゃないの。
「ユラ、須藤さんが可哀想だよ」
サツキが小声でユラに言うと、ユラも須藤さんのその様子に気が付いたらしい。
「アール、須藤さんのことをちゃんと考えてやれよ!」
取ってつけた感は否めないが、ユラはサツキの意図を汲んでくれた。
「須藤さん……」
アールが足元でアールを見上げる須藤さんを見下ろした。そして、がばっと抱いた。
「ごめん! 俺、お前に酷いことをするところだった!」
須藤さんがこくこくと頷いている。よかったよかった。
「アール! 感動的な抱擁は後にして!」
横でウルスラが怒鳴った。フレームグリフォニアはすでに攻撃を開始しており、バリアーラに爪の痕が数本走っているじゃないか。ウルスラはそれがいつ破られるかとハラハラしている様だった。
アールが須藤さんを離すと、「須藤さん下がってろ!」と勇ましく言い、ウルスラと並んで構えた。
「ていうかこれ地下三十何階にいたんだけど!」
アールが叫びながら、バリアーラを抜け出てフレームグリフォニアに襲いかかった。
「ちょっと行くなら何か言ってよ! もうアールってば!」
ウルスラも大慌てでバリアーラの壁を通り過ぎると、フレームグリフォニアに向けて剣を繰り出した。アールはとにかく身軽で、まるで軽業師の様だ。ウルスラの剣技は緩やかでも力強く、まるで舞っている様だった。
「フレームグリフォニアの弱点は目だ! 逃げられない様に翼を先にやれ!」
ユラがアドバイスする。
「うおっ!」
フレームグリフォニアの爪が、アールの太ももを抉った。
「アール!」
ウルスラが叫ぶ。
「ウルスラ! アールを連れ戻せ!」
「了解!」
転がるようにバリアーラの中に戻ってきた二人を、ユラが急いで治療する。
「ここは私が!」
サツキが一歩前に出ようとしたその時。
ラムがぐい、とサツキを後ろに引っ張ると、自分が前に出た。
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