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第三章 上級編開始
第534話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下二十階の休憩タイム
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一行が地下二十階の中心部分まで進んでいくと、ここにも地下十階と同じ様なログハウスがあった。今度は二棟あるところを見ると、やはりこのダンジョンの地下二十階の温泉は有名なのだろう。ユラ曰く、この階にもこのログハウスは前に来た時はなかったそうなので、全国温泉振興協会が頑張ってるんだな、とはユラの意見だった。
ログハウスの中は、冷却の魔法陣のお陰でひんやりとしている。一行はまずはそこで休憩することにした。
ユラが語り始める。
「勿論温泉そのものも魅力なんだけどさ、冒険者ってそもそもが死なない迄も怪我の多い職業だろ? ジュリアン曰く、年々志願者が減ってるらしいんだよな」
「まあリアムも焼け死んだしね」
サツキがそうコメントすると、ユラが苦笑いする。
「もう間違っても死ぬなよ。――でさ、ギルドはただこの状況を指を咥えて見ている訳にもいかねえんだ。モンスターが溢れて来ちまうからな」
定期的に退治して数を減らしていかないと、人間の住む場所がどんどん奪われていく。腐海の森に呑まれるあのアニメの様だな、と思った。
「でもだからって何で全国温泉振興協会が頑張るって話になるのよ」
と、これはウルスラの質問だ。
「ダンジョン内にこういった興味を引く施設を作ることで、冒険者達を呼び込めるだろ? 実際に、俺も三年前に温泉目的でここに来た」
成程、効果は確実にあるということか。
「ダンジョン付近の街からだけじゃなく、国からも援助金が出されてるらしいな」
「ユラって本当そういうの詳しいよなー」
アールが呑気な顔をしてそう言った。
「アール、情報は金になるんだぜ」
ユラの目が妖しく光った。そういえば、モンスターの習性についてもお金になると言っていた。日頃こうやってアンテナを張っているから、それで色々なことに詳しいのか。サツキは納得した。
ウルスラが椅子に深くもたれかかりながら、ユラに尋ねた。
「でも、そんなに必死になる程冒険者が減ってる様には思えないんだけど」
「古参の冒険者が、最近軒並み引退しちまったらしいんだよな」
「寄る年波には勝てないってか」
アールが笑いながら言う。だがユラの顔は真剣だ。
「長年冒険者をやっていたベテラン達は、やっぱり強いんだよ。戦い慣れてるしな。俺達のドラゴン退治だって、ベテランのリアムがいたから何とかいけたところが大きいだろ」
「本当、そうよねー」
ウルスラはうんうんと何度も頷いた。やはりリアムは凄い人だったのだ。その経験が皆奪われてしまったことは、この世界にとってもかなりの痛手なのかもしれない。
「ダンジョンは放っておくとモンスターも溢れるし、レベルもどんどん上がっていくからな、初級ダンジョンは初級の冒険者で何とかなっても、上級ダンジョンに行く冒険者がガッと減ったって話だ」
「てことは、私達って結構今波に乗ってる感じ?」
ウルスラが身を乗り出して目を輝かせると、ユラが頷いた。
「ドラゴンスレイヤーのパーティーなら、上級ダンジョンも入れる。モンスターは強いが、その分報酬もいい」
すると、ウルスラがばっと立ち上がった。
「じゃあ、フレイのダンジョンを出たらいよいよ上級ダンジョン開拓ね!」
「だな」
「そうと決まれば、明日も頑張って三十階まで降りて、明後日にボス戦ね!」
目標が立った。ユラがサツキを振り向く。
「サツキは、しっかりと今日休むこと。分かったな?」
「はい!」
サツキは元気に返事をした。
ログハウスの中は、冷却の魔法陣のお陰でひんやりとしている。一行はまずはそこで休憩することにした。
ユラが語り始める。
「勿論温泉そのものも魅力なんだけどさ、冒険者ってそもそもが死なない迄も怪我の多い職業だろ? ジュリアン曰く、年々志願者が減ってるらしいんだよな」
「まあリアムも焼け死んだしね」
サツキがそうコメントすると、ユラが苦笑いする。
「もう間違っても死ぬなよ。――でさ、ギルドはただこの状況を指を咥えて見ている訳にもいかねえんだ。モンスターが溢れて来ちまうからな」
定期的に退治して数を減らしていかないと、人間の住む場所がどんどん奪われていく。腐海の森に呑まれるあのアニメの様だな、と思った。
「でもだからって何で全国温泉振興協会が頑張るって話になるのよ」
と、これはウルスラの質問だ。
「ダンジョン内にこういった興味を引く施設を作ることで、冒険者達を呼び込めるだろ? 実際に、俺も三年前に温泉目的でここに来た」
成程、効果は確実にあるということか。
「ダンジョン付近の街からだけじゃなく、国からも援助金が出されてるらしいな」
「ユラって本当そういうの詳しいよなー」
アールが呑気な顔をしてそう言った。
「アール、情報は金になるんだぜ」
ユラの目が妖しく光った。そういえば、モンスターの習性についてもお金になると言っていた。日頃こうやってアンテナを張っているから、それで色々なことに詳しいのか。サツキは納得した。
ウルスラが椅子に深くもたれかかりながら、ユラに尋ねた。
「でも、そんなに必死になる程冒険者が減ってる様には思えないんだけど」
「古参の冒険者が、最近軒並み引退しちまったらしいんだよな」
「寄る年波には勝てないってか」
アールが笑いながら言う。だがユラの顔は真剣だ。
「長年冒険者をやっていたベテラン達は、やっぱり強いんだよ。戦い慣れてるしな。俺達のドラゴン退治だって、ベテランのリアムがいたから何とかいけたところが大きいだろ」
「本当、そうよねー」
ウルスラはうんうんと何度も頷いた。やはりリアムは凄い人だったのだ。その経験が皆奪われてしまったことは、この世界にとってもかなりの痛手なのかもしれない。
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「てことは、私達って結構今波に乗ってる感じ?」
ウルスラが身を乗り出して目を輝かせると、ユラが頷いた。
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すると、ウルスラがばっと立ち上がった。
「じゃあ、フレイのダンジョンを出たらいよいよ上級ダンジョン開拓ね!」
「だな」
「そうと決まれば、明日も頑張って三十階まで降りて、明後日にボス戦ね!」
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「はい!」
サツキは元気に返事をした。
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