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第三章 上級編開始
第527話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略二日目は終了
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祐介に引き止められて、寝転がる祐介の上に乗り、リアムはただ祐介の頬を撫で続けた。祐介は何も言わず、ただリアムを見ているだけだ。
言葉が出てこない。何かを言わないと、ずっとこうしている訳にもいかない。リアムは考え考え、ようやく映画のことを思い出した。
「映画の最後の方を、観ないまま終えてしまった」
「明日また観ようよ」
「また祐介は寝るのではないか」
「だって君といると安心するんだもん」
「え? だから毎度毎度寝てしまうのか?」
「うん。ごめんね」
祐介のその言い方が優しかったので、リアムは安心して祐介の肩に耳を付けた。祐介の喉仏を見つめる。触れたくなったので、つい触れた。親指で首を撫でる。冷房の所為であろう、表面がひんやりと冷えてしまっていた。
すると、祐介が毛布を引っ張ってきてリアムの上に掛ける。
「このまま寝ると、重いぞ」
「別に重くないよ」
「祐介」
「うん?」
聞きたくなった。祐介はリアムをどういう風に見ているのかと。佐川に牽制したり、羽田から守ろうとしたりするのは、リアムに触れてこの世界にリアムを留めようとすることとはまた別の意図があるのではないかと思えたからだ。
何とか直接的でない言い方で聞けないか。
「嫉妬、とはどういうことだ?」
しまった、思い切り直接的な質問になってしまった。リアムは内心焦ったが、幸い祐介の顔は見えない。仕方ない、返事を待つしかなかろう。リアムは待った。
「嫉妬は嫉妬だよ。僕の彼女だって言ってるのに、佐川はサツキちゃんの手首を掴んでたよね?」
「……あれは呼び止めたかっただけのようだが」
「だからって普通しないよ。佐川の奴、何か他に言ってなかった?」
やはり祐介は気付いているのか。リアムが誤魔化していたことを。だが佐川が好きだったのはサツキでありリアムではない。だからリアムには本来は関わりのないことである。だがそれを祐介がどう受け取るか、それが分からなかったから言えなかったのだ。
祐介は、リアムをサツキとして見ているから。
「……サツキのことが気になっていた、とは言っていた」
祐介の返事は、なかった。
「儚い雰囲気がよかったそうだ。だから今の私には関わり合いのないことだ。だから祐介に言わなかった」
「前のサツキちゃんのことを?」
「だな」
リアムはもう言いたいことは言った。後は、リアムが伝えた内容に祐介がどう反応するのかだが。
祐介は、ひと言答えただけだった。
「……そっか」
そうだね、でもなく、そうじゃないでしょ、でもない中間の返答。
リアムはサツキではないと、今はっきりと祐介に述べた。それについて、祐介は何も思わなかったのだろうか。祐介はどう捉えているのだろうか。頭の中がもやもやして、不快だった。
「――寝る」
それ以外、もう何も言う気が失せてしまった。
暗闇の中ででもリアムといたいと言ったのは、何だったのか。祐介のあの言葉が引っかかっていて、だから割り切れないのかもしれなかった。
暫くの沈黙の後、祐介が囁いた。
「おやすみのキス、していい?」
どう答えるべきか、分からなくなったリアムは。
そのまま寝たふりをし、返事はしなかった。
言葉が出てこない。何かを言わないと、ずっとこうしている訳にもいかない。リアムは考え考え、ようやく映画のことを思い出した。
「映画の最後の方を、観ないまま終えてしまった」
「明日また観ようよ」
「また祐介は寝るのではないか」
「だって君といると安心するんだもん」
「え? だから毎度毎度寝てしまうのか?」
「うん。ごめんね」
祐介のその言い方が優しかったので、リアムは安心して祐介の肩に耳を付けた。祐介の喉仏を見つめる。触れたくなったので、つい触れた。親指で首を撫でる。冷房の所為であろう、表面がひんやりと冷えてしまっていた。
すると、祐介が毛布を引っ張ってきてリアムの上に掛ける。
「このまま寝ると、重いぞ」
「別に重くないよ」
「祐介」
「うん?」
聞きたくなった。祐介はリアムをどういう風に見ているのかと。佐川に牽制したり、羽田から守ろうとしたりするのは、リアムに触れてこの世界にリアムを留めようとすることとはまた別の意図があるのではないかと思えたからだ。
何とか直接的でない言い方で聞けないか。
「嫉妬、とはどういうことだ?」
しまった、思い切り直接的な質問になってしまった。リアムは内心焦ったが、幸い祐介の顔は見えない。仕方ない、返事を待つしかなかろう。リアムは待った。
「嫉妬は嫉妬だよ。僕の彼女だって言ってるのに、佐川はサツキちゃんの手首を掴んでたよね?」
「……あれは呼び止めたかっただけのようだが」
「だからって普通しないよ。佐川の奴、何か他に言ってなかった?」
やはり祐介は気付いているのか。リアムが誤魔化していたことを。だが佐川が好きだったのはサツキでありリアムではない。だからリアムには本来は関わりのないことである。だがそれを祐介がどう受け取るか、それが分からなかったから言えなかったのだ。
祐介は、リアムをサツキとして見ているから。
「……サツキのことが気になっていた、とは言っていた」
祐介の返事は、なかった。
「儚い雰囲気がよかったそうだ。だから今の私には関わり合いのないことだ。だから祐介に言わなかった」
「前のサツキちゃんのことを?」
「だな」
リアムはもう言いたいことは言った。後は、リアムが伝えた内容に祐介がどう反応するのかだが。
祐介は、ひと言答えただけだった。
「……そっか」
そうだね、でもなく、そうじゃないでしょ、でもない中間の返答。
リアムはサツキではないと、今はっきりと祐介に述べた。それについて、祐介は何も思わなかったのだろうか。祐介はどう捉えているのだろうか。頭の中がもやもやして、不快だった。
「――寝る」
それ以外、もう何も言う気が失せてしまった。
暗闇の中ででもリアムといたいと言ったのは、何だったのか。祐介のあの言葉が引っかかっていて、だから割り切れないのかもしれなかった。
暫くの沈黙の後、祐介が囁いた。
「おやすみのキス、していい?」
どう答えるべきか、分からなくなったリアムは。
そのまま寝たふりをし、返事はしなかった。
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