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第三章 上級編開始
第521話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略二日目の帰宅
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その夜は、鶏肉の生姜焼き、茄子の味噌汁に、厚揚げをカラッとグリルで焼いたものに醤油と生姜を乗せたものが晩飯になった。
リアムのほっぺたは、今にも落ちそうだった。
「祐介は天才だ!」
毎日美味いものが是非とも食べたいリアムとしては、作ってくれる祐介を褒めるに限ると判断した。褒めて褒めて、もっと色々な料理を是非食べさせてもらいたいものだ。この世界の食べ物は、色味は薄いが味は多岐に渡り非常に興味深いものがある。
「えへへ、ありがとう」
祐介は満更でもなさそうに笑った。
「一般的には生姜焼きは豚肉を使うんだけど、鶏肉もまた合うんだよね」
「それにしても今日は生姜尽くしだな」
「サツキちゃん、ここのところ冷えてるから。ちょっと調べ始めたんだけどさ、生理が始まると、女の人って体温がぐっと下がるんだって」
「ほお」
リアムが調べたいと言っていたことを、祐介はしっかりと覚えていてくれたらしい。しかも、祐介が率先して学ぼうとするこの姿勢。やはり祐介はリアムが認めた男だ。佐川を牽制しようとするなど、多少性格に難があろうが、いい男であることに間違いはない。
「で、この生姜が身体の冷えに効くって言われているそうだよ」
「それで私の為に?」
「勿論。サツキちゃんが辛そうなのは僕だって嫌だし」
「祐介……いつもすまぬな」
「僕が好きでやってるから」
二人は互いに笑顔で見つめ合った。ここのところ祐介は少し心配性気味であったが、ここにきてようやく落ち着いてきた様だ。もしかしたら、あれからはリアムの気配が濃いままのかもしれない。とすると、原因は美味い食事であろう。
食に惹かれて気配が濃くなると考えると自分の卑しさにやや恥ずかしさを覚えるが、でもこれが祐介作だからという可能性だってある。
二人は食事を終えると、さっさと風呂に入った。食事は調理器具や調味料が揃った祐介宅で取るのが当たり前になってきており、ベッドも祐介の家の物の方が大きいので今日もこちらで共に寝ることになっている。従ってリアムは殆どの時間を祐介の家で過ごしている為、何かある時は自分の家に戻らないとならない。
その点、魔法陣は非常に便利で、何の心配もなく家の間を移動出来るので、これの存在を思い出して本当によかったとリアムは自分を内心褒めた。魔術師たるもの、やはり経験が大事なのである。
風呂の後、恒例の祐介によるドライヤーと背後からの抱擁を受けた。昼間にドライヤー云々と言っていた件について尋ねてみたが、「んー」という返事がリアムの髪の中から返ってきただけだった。言いたくないということであろう。
そして今夜は、祐介が「アニメといえばやっぱりこれでしょう!」と力説していた、肩に黄色い縞々の小動物を乗せた青い服の女性のDVDを観ることになった。部屋の電気を暗くし、祐介の胸にもたれかかり立てた膝の間に挟まって観始める。これも慣れてしまえば非常に安心感のある体勢だ。リアムは祐介の片膝の上に腕を乗せると、そこに寄りかかって画面へと意識を集中するのだった。
リアムのほっぺたは、今にも落ちそうだった。
「祐介は天才だ!」
毎日美味いものが是非とも食べたいリアムとしては、作ってくれる祐介を褒めるに限ると判断した。褒めて褒めて、もっと色々な料理を是非食べさせてもらいたいものだ。この世界の食べ物は、色味は薄いが味は多岐に渡り非常に興味深いものがある。
「えへへ、ありがとう」
祐介は満更でもなさそうに笑った。
「一般的には生姜焼きは豚肉を使うんだけど、鶏肉もまた合うんだよね」
「それにしても今日は生姜尽くしだな」
「サツキちゃん、ここのところ冷えてるから。ちょっと調べ始めたんだけどさ、生理が始まると、女の人って体温がぐっと下がるんだって」
「ほお」
リアムが調べたいと言っていたことを、祐介はしっかりと覚えていてくれたらしい。しかも、祐介が率先して学ぼうとするこの姿勢。やはり祐介はリアムが認めた男だ。佐川を牽制しようとするなど、多少性格に難があろうが、いい男であることに間違いはない。
「で、この生姜が身体の冷えに効くって言われているそうだよ」
「それで私の為に?」
「勿論。サツキちゃんが辛そうなのは僕だって嫌だし」
「祐介……いつもすまぬな」
「僕が好きでやってるから」
二人は互いに笑顔で見つめ合った。ここのところ祐介は少し心配性気味であったが、ここにきてようやく落ち着いてきた様だ。もしかしたら、あれからはリアムの気配が濃いままのかもしれない。とすると、原因は美味い食事であろう。
食に惹かれて気配が濃くなると考えると自分の卑しさにやや恥ずかしさを覚えるが、でもこれが祐介作だからという可能性だってある。
二人は食事を終えると、さっさと風呂に入った。食事は調理器具や調味料が揃った祐介宅で取るのが当たり前になってきており、ベッドも祐介の家の物の方が大きいので今日もこちらで共に寝ることになっている。従ってリアムは殆どの時間を祐介の家で過ごしている為、何かある時は自分の家に戻らないとならない。
その点、魔法陣は非常に便利で、何の心配もなく家の間を移動出来るので、これの存在を思い出して本当によかったとリアムは自分を内心褒めた。魔術師たるもの、やはり経験が大事なのである。
風呂の後、恒例の祐介によるドライヤーと背後からの抱擁を受けた。昼間にドライヤー云々と言っていた件について尋ねてみたが、「んー」という返事がリアムの髪の中から返ってきただけだった。言いたくないということであろう。
そして今夜は、祐介が「アニメといえばやっぱりこれでしょう!」と力説していた、肩に黄色い縞々の小動物を乗せた青い服の女性のDVDを観ることになった。部屋の電気を暗くし、祐介の胸にもたれかかり立てた膝の間に挟まって観始める。これも慣れてしまえば非常に安心感のある体勢だ。リアムは祐介の片膝の上に腕を乗せると、そこに寄りかかって画面へと意識を集中するのだった。
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