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第三章 上級編開始
第517話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略二日目の午後開始
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祐介の役割。成程、リアムが絆と受け取った一連の件を、祐介は自分の役割と認識したらしい。
「僕がこうして君にくっつくと、君は僕を見てくれる。そうすると、ああここにいるなって思うんだよね」
「祐介、それはいつ頃からそう思っていたのだ?」
リアムが尋ねると、祐介はうーん? と暫く考えた後、笑顔で答えた。
「始めから」
「え?」
「今思えば、だけど」
「そうだったのか」
「そうだね。だからドライヤーだって」
「ドライヤー?」
「あ、いや何でもない」
「何だ、はっきり言え」
「あ、誰か来るよサツキちゃん」
祐介がリアムからぱっと離れると、直後に潮崎と木佐ちゃんが執務エリアに入ってきた。潮崎は額に汗をかいている。祐介といるリアムに気付くと、ははは、と笑った。
「野原さん、あそこまで女子しかいないお店だと、さすがに僕でも目立っちゃうよ」
「すまぬ。まさかああいう割合の店とは知らず」
潮崎は今度は祐介を見て話し始めた。
「だから店の前で張ってたんだけど、羽田さんはいなかったよ。一応二人がエレベーターに乗るまでは見守って、その後立ち食い蕎麦を掻っ込んで来たら汗かいちゃった」
「潮崎さん、本当にありがとうございました」
祐介が深々と頭を下げた。潮崎は人の良さそうな顔で笑う。
「いやいいっていいって、そもそも羽田さんは一応僕の部下だし、部下の管理は上司の責任でしょ。あの人が他の社員に迷惑をかけてるんだったら、それを注意するのは僕の本来の仕事でもあるし」
「まああやつは相当滅茶苦茶だがな」
リアムが思わず口を挟むと、潮崎があははと楽しそうに続けた。
「僕もなかなか部下のプライベートな部分にまで踏み込むのはなあ、と思って放っておいたのがいけなかった。あの人が社長の大学の先輩なことも僕は知ってたし、そういう意味で傍観して正そうとしなかった僕の落ち度だよ」
「潮崎さん、部下の為人の責任まで上司が負う必要はないと思うぞ」
「でもさ、注意したら理解出来る場合だってあるからね」
潮崎はそう言うと、隣の木佐ちゃんに「ね?」と微笑みかける。それを穏やかに頷きで返す木佐ちゃんは、何だか長年連れ添った夫婦の様に見えてしまった。
「で、そちらの首尾はどうだったの、野原さん」
「金曜日の夜までは待機になった」
「金曜日の夜? 何があるの?」
「その件については、祐介と相談が必要なのだ」
「ん? 僕?」
リアムはこくりと頷くと、先程の勝負の内容を祐介に告げた。すると案の定、祐介の顔が思い切り歪んでしまった。
「吐くまでが勝負って、何その滅茶苦茶な勝負」
「仕方あるまい、あちらからの提案だ」
「早川さんが提案してきたの? もうそんなに打ち解けたんだ」
「まだ信用出来ないとは言われたがな」
「まあ、頼まれなくても行くけどね、うわーそうしたら僕、二人も酔っ払いを介抱するのか」
「私のは慣れておろう?」
「まあね」
祐介はリアムを見てそう言うと、頭をぽん、と撫でて笑った。
「いずれにせよご苦労様。初回任務完了ってとこだね」
「ふふ、なかなか楽しかったぞ」
リアムと祐介は、拳同士をコツンと軽く合わせると、今度は大きく笑いあったのだった。
「僕がこうして君にくっつくと、君は僕を見てくれる。そうすると、ああここにいるなって思うんだよね」
「祐介、それはいつ頃からそう思っていたのだ?」
リアムが尋ねると、祐介はうーん? と暫く考えた後、笑顔で答えた。
「始めから」
「え?」
「今思えば、だけど」
「そうだったのか」
「そうだね。だからドライヤーだって」
「ドライヤー?」
「あ、いや何でもない」
「何だ、はっきり言え」
「あ、誰か来るよサツキちゃん」
祐介がリアムからぱっと離れると、直後に潮崎と木佐ちゃんが執務エリアに入ってきた。潮崎は額に汗をかいている。祐介といるリアムに気付くと、ははは、と笑った。
「野原さん、あそこまで女子しかいないお店だと、さすがに僕でも目立っちゃうよ」
「すまぬ。まさかああいう割合の店とは知らず」
潮崎は今度は祐介を見て話し始めた。
「だから店の前で張ってたんだけど、羽田さんはいなかったよ。一応二人がエレベーターに乗るまでは見守って、その後立ち食い蕎麦を掻っ込んで来たら汗かいちゃった」
「潮崎さん、本当にありがとうございました」
祐介が深々と頭を下げた。潮崎は人の良さそうな顔で笑う。
「いやいいっていいって、そもそも羽田さんは一応僕の部下だし、部下の管理は上司の責任でしょ。あの人が他の社員に迷惑をかけてるんだったら、それを注意するのは僕の本来の仕事でもあるし」
「まああやつは相当滅茶苦茶だがな」
リアムが思わず口を挟むと、潮崎があははと楽しそうに続けた。
「僕もなかなか部下のプライベートな部分にまで踏み込むのはなあ、と思って放っておいたのがいけなかった。あの人が社長の大学の先輩なことも僕は知ってたし、そういう意味で傍観して正そうとしなかった僕の落ち度だよ」
「潮崎さん、部下の為人の責任まで上司が負う必要はないと思うぞ」
「でもさ、注意したら理解出来る場合だってあるからね」
潮崎はそう言うと、隣の木佐ちゃんに「ね?」と微笑みかける。それを穏やかに頷きで返す木佐ちゃんは、何だか長年連れ添った夫婦の様に見えてしまった。
「で、そちらの首尾はどうだったの、野原さん」
「金曜日の夜までは待機になった」
「金曜日の夜? 何があるの?」
「その件については、祐介と相談が必要なのだ」
「ん? 僕?」
リアムはこくりと頷くと、先程の勝負の内容を祐介に告げた。すると案の定、祐介の顔が思い切り歪んでしまった。
「吐くまでが勝負って、何その滅茶苦茶な勝負」
「仕方あるまい、あちらからの提案だ」
「早川さんが提案してきたの? もうそんなに打ち解けたんだ」
「まだ信用出来ないとは言われたがな」
「まあ、頼まれなくても行くけどね、うわーそうしたら僕、二人も酔っ払いを介抱するのか」
「私のは慣れておろう?」
「まあね」
祐介はリアムを見てそう言うと、頭をぽん、と撫でて笑った。
「いずれにせよご苦労様。初回任務完了ってとこだね」
「ふふ、なかなか楽しかったぞ」
リアムと祐介は、拳同士をコツンと軽く合わせると、今度は大きく笑いあったのだった。
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