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第三章 上級編開始
第514話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十二階での着替えの続き
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ユラは明らかに怒っていた。ユラに腿を持たれ、肩に乗る体勢にされているサツキは、ユラの肩に手を付き、身体を捻ってユラの顔を見ようとした。だが、ユラの横髪が邪魔で顔が見えない。
「ユラ、お願い降ろして」
ユラにそう言うが、ユラは振り向きもしない。
「お前さ、自分のひと言がどんだけサツキを傷付けたか分かんねえのかよ!」
すると、アールが戸惑った様な口調で弁明を始めた。
「え? さっきのことか? あんなのほんの冗談だろ」
「あれが冗談のつもりだったら、あったま悪い冗談だな!!」
ユラが怒っているのは、サツキの為だ。ユラはサツキの為に、好きな相手のアールにもこうやって噛みついているのだ。
猛烈な罪悪感が、サツキを襲った。
そんなことをさせる為にサツキはここにいるんじゃない。なのに、サツキが来てから、このパーティーはどんどんおかしくなっていっているんじゃないか。
「ユラ、いいから! 私は大丈夫だからっ」
「いい訳あるか!!」
ユラが泣きそうな顔でサツキを見上げてきた。どうしてそんな顔をユラがしなければならないんだろうか。それもこれも、サツキの心が弱い所為だ。
全部、サツキの所為だ。
サツキの裾の端を掴んでいたラムと目が合った。その瞬間、ラムの手がニョニョっとハンマーの形に変わったと思うと、くるりとアールを振り返る。自分をテイムした本来の主人に向けて、ハンマーを構えた。
すると、アールが驚いた様に一瞬身構え、それからくしゃっと髪を掻いた。その顔には申し訳なさそうな表情が浮かんでいる。やはりアールには悪気など全くなかったのだ。
「あの、ごめんサツキ」
「お前はもうサツキに近寄んじゃねえ!」
「謝る位はさせてよ」
「お前はもう喋るな!」
すると、それまで黙って様子を見ていたウルスラが、口を開いた。
「さっきのはアールが悪い。ラムが歯向かうのも分かるわ」
「ウルスラ、俺……」
「でも、多分意味が分かってないと思うのよね」
「……」
ユラの奥歯が、ギリッと嫌な音を立てた。サツキを抱える手には力が篭り、かなり痛い。
ウルスラがアールの横まで来ると、サツキににっこりと笑いかけた。
「リーダーの教育が足りなかったみたい。ごめんねサツキ」
「違うのウルスラ、さっきのは私が……っ」
「アールには、ちゃんと今から話す」
ウルスラが、アールの肩をぐっと掴んだ。
「だから悪いけどユラ、サツキと暫く席を外してくれない?」
「……分かった」
「頃合いを見て戻ってきて」
「ああ」
ユラはサツキを抱えたまま、スタスタと元来た道を戻り出した。
サツキはユラの顔を見ようと頑張って起き上がろうとすると、ユラがその背中を押さえつけてくる。だから更に抵抗すると、ユラがふっと手の力を抜いた。
「わっ」
後ろにひっくり返ったサツキを腕に抱き抱え直すと、至近距離でサツキの顔を覗き込んだ。
「ちゃんといるよな?」
「い、いるよ」
サツキがそう返事をすると、ユラはハアーッと長い息を吐きつつ、サツキの胸元に顔を埋めてしまった。サラサラの金髪が頬に触れて、くすぐったい。
「……死ぬかと思った」
ポツリと、胸元からユラの声が聞こえてきた。
「ユラ、お願い降ろして」
ユラにそう言うが、ユラは振り向きもしない。
「お前さ、自分のひと言がどんだけサツキを傷付けたか分かんねえのかよ!」
すると、アールが戸惑った様な口調で弁明を始めた。
「え? さっきのことか? あんなのほんの冗談だろ」
「あれが冗談のつもりだったら、あったま悪い冗談だな!!」
ユラが怒っているのは、サツキの為だ。ユラはサツキの為に、好きな相手のアールにもこうやって噛みついているのだ。
猛烈な罪悪感が、サツキを襲った。
そんなことをさせる為にサツキはここにいるんじゃない。なのに、サツキが来てから、このパーティーはどんどんおかしくなっていっているんじゃないか。
「ユラ、いいから! 私は大丈夫だからっ」
「いい訳あるか!!」
ユラが泣きそうな顔でサツキを見上げてきた。どうしてそんな顔をユラがしなければならないんだろうか。それもこれも、サツキの心が弱い所為だ。
全部、サツキの所為だ。
サツキの裾の端を掴んでいたラムと目が合った。その瞬間、ラムの手がニョニョっとハンマーの形に変わったと思うと、くるりとアールを振り返る。自分をテイムした本来の主人に向けて、ハンマーを構えた。
すると、アールが驚いた様に一瞬身構え、それからくしゃっと髪を掻いた。その顔には申し訳なさそうな表情が浮かんでいる。やはりアールには悪気など全くなかったのだ。
「あの、ごめんサツキ」
「お前はもうサツキに近寄んじゃねえ!」
「謝る位はさせてよ」
「お前はもう喋るな!」
すると、それまで黙って様子を見ていたウルスラが、口を開いた。
「さっきのはアールが悪い。ラムが歯向かうのも分かるわ」
「ウルスラ、俺……」
「でも、多分意味が分かってないと思うのよね」
「……」
ユラの奥歯が、ギリッと嫌な音を立てた。サツキを抱える手には力が篭り、かなり痛い。
ウルスラがアールの横まで来ると、サツキににっこりと笑いかけた。
「リーダーの教育が足りなかったみたい。ごめんねサツキ」
「違うのウルスラ、さっきのは私が……っ」
「アールには、ちゃんと今から話す」
ウルスラが、アールの肩をぐっと掴んだ。
「だから悪いけどユラ、サツキと暫く席を外してくれない?」
「……分かった」
「頃合いを見て戻ってきて」
「ああ」
ユラはサツキを抱えたまま、スタスタと元来た道を戻り出した。
サツキはユラの顔を見ようと頑張って起き上がろうとすると、ユラがその背中を押さえつけてくる。だから更に抵抗すると、ユラがふっと手の力を抜いた。
「わっ」
後ろにひっくり返ったサツキを腕に抱き抱え直すと、至近距離でサツキの顔を覗き込んだ。
「ちゃんといるよな?」
「い、いるよ」
サツキがそう返事をすると、ユラはハアーッと長い息を吐きつつ、サツキの胸元に顔を埋めてしまった。サラサラの金髪が頬に触れて、くすぐったい。
「……死ぬかと思った」
ポツリと、胸元からユラの声が聞こえてきた。
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