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第三章 上級編開始
第502話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十一階のバトル
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前衛のウルスラとアールの前に現れた粒子の壁は、以前見た時よりもかなり濃い目だ。
「ユラ、あんたどうしたのよ!? 魔力が上がったの!?」
ウルスラが驚きの声を上げた。アールは何を思ったか、バリアーラの光を指で突いている。味方を弾く効果はないのか、指が通り抜けた。すると、向こう側から炎の攻撃が飛んできてアールが慌てて指を引っ込めた。キン! と金属の様な音を立てて、攻撃は遮られた。
「魔石って使ってないよね?」
「使ってねえな。何か俺、凄い?」
はは、とユラが笑っている。本人も原因が分からないのかもしれなかった。サツキだって、魔力量が増えていることには言われるまで気付かなかった。
ユラが前衛の二人に指示を飛ばす。
「相手はファイヤーウルフ二匹だ! アール、ウルスラ! 攻撃だ!」
「夜ご飯用はどうする!?」
と言ったのはアール。
「一匹の時に捕らえるから今回はいい!」
「了解! いくぜウルスラ!」
「任せて!」
二人がそれぞれ自分の前にいるファイヤーウルフに突進した。早い早い! 踏み込み振りかぶり振り切り、その勢いのまま回転しもう一度斬りつけるウルスラはさながら舞う軍神の様だ。
アールの方はというと、アールに向かって走ってきたファイヤーウルフの目の前でトン、とジャンプし、空中で一回転。アールを見失った敵の背後から一気に斬り上げた。
「あいつらも腕が上がって来てるな。……て、サツキ」
「うん?」
「ちょっとこっち見ろ」
「なになに」
ユラはサツキをじーっと見つめると、サツキの奥を見るような少し焦点の合わない目つきになった。あれだ、サツキの魔力量を見る時にするやつだ。
「……これ、お前の追加能力かもしれねえぞ」
「へ?」
「元々リュシカのところに行こうって話してたけどさ、これも見てもらった方がいいかもな」
「そうなの?」
「はっきりは見えねえけどな」
「……何か見えるの?」
「……あー、そいつはまた今度な」
また誤魔化された。多分あれだ、ユラの追加能力のことだろう。
「あー、だからさっきサツキが初級魔法一発で敵を倒したんだな。納得いった」
「あのイノシシ?」
「そうそう。魔法攻撃力上昇だろ? 防御力上昇だろ? それに物理攻撃力も上昇、あの感じだと運動能力も上昇してるから、全体値の上昇ってとこかもな」
「さすがリアム」
「ちげえよ、お前の力だ。お前が発動したんだからお前のもんだ。そこは取り違えんな」
ユラがきっぱりと言った。ユラは、いつもサツキに自信を付けさせてくれようとする。言い方はきついけど、これだってはっきりと自分を誇れと言っている。包み隠さないその言い方は、頑なだったサツキの心の中に遠慮なく飛び込んでくる。だからユラの言葉はサツキに届くのかもしれなかった。
「……ありがと」
「おう」
ユラが笑顔で答えるので、それを見たサツキもやっぱり笑顔になったのだった。
「ユラ、あんたどうしたのよ!? 魔力が上がったの!?」
ウルスラが驚きの声を上げた。アールは何を思ったか、バリアーラの光を指で突いている。味方を弾く効果はないのか、指が通り抜けた。すると、向こう側から炎の攻撃が飛んできてアールが慌てて指を引っ込めた。キン! と金属の様な音を立てて、攻撃は遮られた。
「魔石って使ってないよね?」
「使ってねえな。何か俺、凄い?」
はは、とユラが笑っている。本人も原因が分からないのかもしれなかった。サツキだって、魔力量が増えていることには言われるまで気付かなかった。
ユラが前衛の二人に指示を飛ばす。
「相手はファイヤーウルフ二匹だ! アール、ウルスラ! 攻撃だ!」
「夜ご飯用はどうする!?」
と言ったのはアール。
「一匹の時に捕らえるから今回はいい!」
「了解! いくぜウルスラ!」
「任せて!」
二人がそれぞれ自分の前にいるファイヤーウルフに突進した。早い早い! 踏み込み振りかぶり振り切り、その勢いのまま回転しもう一度斬りつけるウルスラはさながら舞う軍神の様だ。
アールの方はというと、アールに向かって走ってきたファイヤーウルフの目の前でトン、とジャンプし、空中で一回転。アールを見失った敵の背後から一気に斬り上げた。
「あいつらも腕が上がって来てるな。……て、サツキ」
「うん?」
「ちょっとこっち見ろ」
「なになに」
ユラはサツキをじーっと見つめると、サツキの奥を見るような少し焦点の合わない目つきになった。あれだ、サツキの魔力量を見る時にするやつだ。
「……これ、お前の追加能力かもしれねえぞ」
「へ?」
「元々リュシカのところに行こうって話してたけどさ、これも見てもらった方がいいかもな」
「そうなの?」
「はっきりは見えねえけどな」
「……何か見えるの?」
「……あー、そいつはまた今度な」
また誤魔化された。多分あれだ、ユラの追加能力のことだろう。
「あー、だからさっきサツキが初級魔法一発で敵を倒したんだな。納得いった」
「あのイノシシ?」
「そうそう。魔法攻撃力上昇だろ? 防御力上昇だろ? それに物理攻撃力も上昇、あの感じだと運動能力も上昇してるから、全体値の上昇ってとこかもな」
「さすがリアム」
「ちげえよ、お前の力だ。お前が発動したんだからお前のもんだ。そこは取り違えんな」
ユラがきっぱりと言った。ユラは、いつもサツキに自信を付けさせてくれようとする。言い方はきついけど、これだってはっきりと自分を誇れと言っている。包み隠さないその言い方は、頑なだったサツキの心の中に遠慮なく飛び込んでくる。だからユラの言葉はサツキに届くのかもしれなかった。
「……ありがと」
「おう」
ユラが笑顔で答えるので、それを見たサツキもやっぱり笑顔になったのだった。
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