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第三章 上級編開始
第500話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十一階から再開
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一行は支度を済ませると、ログハウス内を綺麗に片付けたのを最終確認した後、地下十一階へと出発した。
今日はウルスラとアールが前衛からのスタートだ。
「この階は所謂普通のモンスターが生息してたから、剣で行けるだけ行きたい」
「バリアーラはよろしくね」
「分かってるよ」
ユラは面倒くさそうに言うと、一緒に後衛を歩くサツキを優しい目で見た。こういう温度差が女性を振り回す要因の一つになると思うんだけどな、と思ったが、そんなのユラに言える訳がない。言ったら最後、サツキは俺に振り回されてるんだとか言って喜ぶのが目に見えているから。
「サツキの魔力を極力温存したいんだよ」
「分かったわ。じゃあなるべく大物以外はサツキは待機! いいわねサツキ!」
「はい!」
すると、ユラがすすっと寄って来て、小声で言った。
「まあ、俺が指示するから」
「よろしくお願いします」
「任せろ」
正直、どのモンスターに何が効いて、どのタイミングからサツキが前に出た方がいいのかもまださっぱり分からない。ドラゴンを退治したダンジョンも攻略したパーティーではあるが、魔法に関して咄嗟に指示が出来るのは今はユラしかいない。
どうせ転生したなら、少し位リアムの記憶があってもよかったのにな。そう思ったが、だがよく考えてみたらリアムの記憶があったらそもそも今のサツキが成り立つか、と言われると分からない。アルテラの呪文の様に、他人の記憶をも取り込むということは、その後の考え方や生活習慣全てに影響を及ぼしてしまうのではないか。
だったらやはり、ショートカットなど考えず、ただ愚直にひとつずつ経験を積み重ねていくしかないのかもしれない。
「私もちゃんと覚えないとね」
ユラにそう笑いかけると、ユラは一瞬真顔になり、前を確認し、更にサツキの服の裾を摘むラムを見。
それからちゅ、と素早いキスをした。
不意打ち過ぎて、反応が一切出来なかった。ユラが周囲を確認し出したらこう来るだろうということは分かっていた筈なのに。
「……どーしてこういうタイミングでするかな?」
「表情緩んでる状態で言われても説得力はねえな」
「緩んでないし!」
「嬉しい癖に」
「うううう……」
サツキが真っ赤になって唸ると、ユラがケラケラと笑った。
「お前が前向きなことを言うようになったから、俺も嬉しくなったんだよ」
さらっとそういう臭い台詞をクールビューティーな顔で言われてしまい、サツキはもう何も言い返せなくなってしまった。もう一体何回ユラとキスをしたのか、数えられなくなってしまった。
サツキはハア、と溜息をつくと、ユラを恨めしそうな目で見た。
「何だよその目」
「いや……本当に好きだよねと思って」
するとユラがパアッと笑顔になった。
「お! 分かってくれたか? そうなんだよ、本当に好きなんだよ」
「昔からそんなにキス魔だったの?」
「お? ……あー、なんだ。そっちか」
「え?」
「キスはまあ、好きだな。その瞬間は俺のことしか見えないからな」
「そ、そうなんだ……」
サツキが顔を引き攣らせていると。
「ユラ!」
ウルスラが大声を上げた。ユラの顔つきが一瞬で代わり、ユラは手を前方に翳して唱えた。
「バリアーラ!」
魔石は使っていない筈なのに、ユラが唱えたバリアーラははっきりと出ていた。
今日はウルスラとアールが前衛からのスタートだ。
「この階は所謂普通のモンスターが生息してたから、剣で行けるだけ行きたい」
「バリアーラはよろしくね」
「分かってるよ」
ユラは面倒くさそうに言うと、一緒に後衛を歩くサツキを優しい目で見た。こういう温度差が女性を振り回す要因の一つになると思うんだけどな、と思ったが、そんなのユラに言える訳がない。言ったら最後、サツキは俺に振り回されてるんだとか言って喜ぶのが目に見えているから。
「サツキの魔力を極力温存したいんだよ」
「分かったわ。じゃあなるべく大物以外はサツキは待機! いいわねサツキ!」
「はい!」
すると、ユラがすすっと寄って来て、小声で言った。
「まあ、俺が指示するから」
「よろしくお願いします」
「任せろ」
正直、どのモンスターに何が効いて、どのタイミングからサツキが前に出た方がいいのかもまださっぱり分からない。ドラゴンを退治したダンジョンも攻略したパーティーではあるが、魔法に関して咄嗟に指示が出来るのは今はユラしかいない。
どうせ転生したなら、少し位リアムの記憶があってもよかったのにな。そう思ったが、だがよく考えてみたらリアムの記憶があったらそもそも今のサツキが成り立つか、と言われると分からない。アルテラの呪文の様に、他人の記憶をも取り込むということは、その後の考え方や生活習慣全てに影響を及ぼしてしまうのではないか。
だったらやはり、ショートカットなど考えず、ただ愚直にひとつずつ経験を積み重ねていくしかないのかもしれない。
「私もちゃんと覚えないとね」
ユラにそう笑いかけると、ユラは一瞬真顔になり、前を確認し、更にサツキの服の裾を摘むラムを見。
それからちゅ、と素早いキスをした。
不意打ち過ぎて、反応が一切出来なかった。ユラが周囲を確認し出したらこう来るだろうということは分かっていた筈なのに。
「……どーしてこういうタイミングでするかな?」
「表情緩んでる状態で言われても説得力はねえな」
「緩んでないし!」
「嬉しい癖に」
「うううう……」
サツキが真っ赤になって唸ると、ユラがケラケラと笑った。
「お前が前向きなことを言うようになったから、俺も嬉しくなったんだよ」
さらっとそういう臭い台詞をクールビューティーな顔で言われてしまい、サツキはもう何も言い返せなくなってしまった。もう一体何回ユラとキスをしたのか、数えられなくなってしまった。
サツキはハア、と溜息をつくと、ユラを恨めしそうな目で見た。
「何だよその目」
「いや……本当に好きだよねと思って」
するとユラがパアッと笑顔になった。
「お! 分かってくれたか? そうなんだよ、本当に好きなんだよ」
「昔からそんなにキス魔だったの?」
「お? ……あー、なんだ。そっちか」
「え?」
「キスはまあ、好きだな。その瞬間は俺のことしか見えないからな」
「そ、そうなんだ……」
サツキが顔を引き攣らせていると。
「ユラ!」
ウルスラが大声を上げた。ユラの顔つきが一瞬で代わり、ユラは手を前方に翳して唱えた。
「バリアーラ!」
魔石は使っていない筈なのに、ユラが唱えたバリアーラははっきりと出ていた。
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