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第三章 上級編開始
第498話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十階の朝食終了
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フレイムボアの肉は硬そうに思えたが、実際はかなり柔らかく、少し野性味のある味ではあったが、非常に美味しかった。
「半分は昼に取っておこうな」
「いいわね」
ウルスラが賛同した。ウルスラは基本モンスター飯が大好物だ。昨夜あまり沢山食べなかった所為だろう、今朝は本当によく食べていた。
アールがぐぐっと伸びをすると言った。
「よおし! 行くか!」
「目指せ地下ニ十階でいいのよね?」
ウルスラの質問に、ユラは地図を広げながら頷いた。
「あそこの温泉は滅茶苦茶良かったからな。出来れば通常階の安全地帯じゃない場所で寝たいし」
「あのー」
サツキが挙手をすると、ユラが「ん?」という顔をした。
「どうした?」
「転移魔法陣って各階にあるよね?」
「そうだな」
「そうしたら、温泉階に辿り着かなかったら、行った階の転移魔法陣でこの階に来ればいいんじゃないの?」
ユラとウルスラの目が見開かれた。アールはそもそも理解していない様だ。
「で、次はその階に飛んだらいきなり危ない階に行くこともないし、すぐに続きが始められると思うんだけど……」
「サツキ!」
ユラが両肩をがっと掴んだ。
「お前、天才だな!」
「え……」
ウルスラもうんうん頷いている。まじか。
「いやー今までその発想はなかったぜ!」
「やっぱサツキは頭の作りが違うわよね!」
「本気で言ってるの?」
「勿論よ!」
まさか、今まで誰も気付いていなかったとは。先に進んだら戻れない何かがあるのかな、と始めは思っていたが、今回、食料調達で二回も先の階に足を踏み入れ戻ってきている。だから薄々おかしいな、とは思っていたのだが。
「初級ダンジョンだと、他のパーティーとカチ合わせすることも多いから基本皆先に進むだけなのよ。それか一気に外に出ちゃうか」
「あ、成程」
経験則に基づく行動だった訳だ。一瞬こいつら馬鹿じゃなかろうかと思ってしまったので、サツキは反省することにした。
「それに慣れちゃってたから、中級ダンジョンは殆ど人と会わないことを忘れてたわ」
「他のパーティーの人とは、一緒に行動とかはしないのが常識なの?」
それについてはユラが教えてくれた。
「今回の子蜘蛛は特別だけど、モンスターの落とすアイテムが少ないなってサツキは思わなかったか?」
「そういえば……殆ど落とさないよね」
前にレア物のぬりかべが出て来た時も、結局何も手に入れられなかった。
「つまり違うパーティーが一緒に行動すると、モンスターが落としたアイテムを奪い合うことになるだろ?」
「うん」
「気のいい奴らもいるけど、中には冒険者が持ってるアイテム狙いのパーティーもいる。シーフがメンバーにいるパーティーとかは、その確率が高い」
シーフ。思い出したくもないあの出来事が脳裏に蘇った。確かにあんなのがメンバーにいたら、やりたい放題だろう。
「だから基本、ダンジョンで他のパーティーを見かけたら、近寄らない。これが鉄則だ」
「そうなんだ……」
「サツキも気をつけろよ」
「うん、そうする」
この世界は、やはりサツキが思っていたものよりも厳しい世界なのだ。そんな中、このパーティーに受け入れられている今の状況はとても幸運なものだったのだと思えた。
「半分は昼に取っておこうな」
「いいわね」
ウルスラが賛同した。ウルスラは基本モンスター飯が大好物だ。昨夜あまり沢山食べなかった所為だろう、今朝は本当によく食べていた。
アールがぐぐっと伸びをすると言った。
「よおし! 行くか!」
「目指せ地下ニ十階でいいのよね?」
ウルスラの質問に、ユラは地図を広げながら頷いた。
「あそこの温泉は滅茶苦茶良かったからな。出来れば通常階の安全地帯じゃない場所で寝たいし」
「あのー」
サツキが挙手をすると、ユラが「ん?」という顔をした。
「どうした?」
「転移魔法陣って各階にあるよね?」
「そうだな」
「そうしたら、温泉階に辿り着かなかったら、行った階の転移魔法陣でこの階に来ればいいんじゃないの?」
ユラとウルスラの目が見開かれた。アールはそもそも理解していない様だ。
「で、次はその階に飛んだらいきなり危ない階に行くこともないし、すぐに続きが始められると思うんだけど……」
「サツキ!」
ユラが両肩をがっと掴んだ。
「お前、天才だな!」
「え……」
ウルスラもうんうん頷いている。まじか。
「いやー今までその発想はなかったぜ!」
「やっぱサツキは頭の作りが違うわよね!」
「本気で言ってるの?」
「勿論よ!」
まさか、今まで誰も気付いていなかったとは。先に進んだら戻れない何かがあるのかな、と始めは思っていたが、今回、食料調達で二回も先の階に足を踏み入れ戻ってきている。だから薄々おかしいな、とは思っていたのだが。
「初級ダンジョンだと、他のパーティーとカチ合わせすることも多いから基本皆先に進むだけなのよ。それか一気に外に出ちゃうか」
「あ、成程」
経験則に基づく行動だった訳だ。一瞬こいつら馬鹿じゃなかろうかと思ってしまったので、サツキは反省することにした。
「それに慣れちゃってたから、中級ダンジョンは殆ど人と会わないことを忘れてたわ」
「他のパーティーの人とは、一緒に行動とかはしないのが常識なの?」
それについてはユラが教えてくれた。
「今回の子蜘蛛は特別だけど、モンスターの落とすアイテムが少ないなってサツキは思わなかったか?」
「そういえば……殆ど落とさないよね」
前にレア物のぬりかべが出て来た時も、結局何も手に入れられなかった。
「つまり違うパーティーが一緒に行動すると、モンスターが落としたアイテムを奪い合うことになるだろ?」
「うん」
「気のいい奴らもいるけど、中には冒険者が持ってるアイテム狙いのパーティーもいる。シーフがメンバーにいるパーティーとかは、その確率が高い」
シーフ。思い出したくもないあの出来事が脳裏に蘇った。確かにあんなのがメンバーにいたら、やりたい放題だろう。
「だから基本、ダンジョンで他のパーティーを見かけたら、近寄らない。これが鉄則だ」
「そうなんだ……」
「サツキも気をつけろよ」
「うん、そうする」
この世界は、やはりサツキが思っていたものよりも厳しい世界なのだ。そんな中、このパーティーに受け入れられている今の状況はとても幸運なものだったのだと思えた。
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