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第三章 上級編開始
第497話 魔術師リアムの上級編・早川ユメ攻略初日の夕食
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祐介が作る料理はどれも美味い。
ホカホカの食事を堪能しながらリアムが祐介を手放しで褒めると、祐介は満更でもなさそうな笑顔で教えてくれた。
「僕は味付けとかよく分からないから、味付きの調味料をすぐ使っちゃうんだよ。だからまああんまり失敗はしないかもね」
そういえば、肉じゃがにも麺つゆなる物を投入していた。
「煮物や出汁巻き玉子作る時は白だし使うし、あの出汁入り味噌っていうのだけはちょっとないかなって思うけど、出来るだけ簡略化してるんだ」
「成程、適材適所というやつだな」
「何か微妙に違う気もするけど、まあそうだね」
リアムが祐介に促されて祐介の指に付いたマヨネーズを口に含んだ後は、祐介の機嫌は直った。始めに会った頃は、祐介がこんなに感情豊かな男だとは思わなかったが、今ではどうだ。笑う、怒る、拗ねる、甘える、泣く。一人の人間にここまで色んな感情を見せられたことなどなかったリアムは、正直祐介に正面から感情をぶつけられてもどう対応すべきかが分からなかった。
そんな祐介は、リアムの食べっぷりを見て満足したらしく、にこにこしながら口を拭いている。
「どれが一番気に入った?」
「この小魚が一番好みだった。特に祐介が言っていたこのマヨネーズに七味なる物を混ぜたのは美味いな」
「酒好きの意見だよね」
「つくづくこの身体が酒に弱いのが惜しまれる」
「それはノンアルコールビールとかで我慢しよう」
「何か妙案はないか」
「まだ諦めてないの?」
呆れた様に笑う祐介だったが、これまで長年酒を嗜んで来たリアムからすれば青天の霹靂である。
「普通は飲めないと飲みたくなくなるみたいだけど、元が飲めるとこうなっちゃうんだね」
祐介が憐れみの目で見た。それを見て、思わずリアムの口が尖る。
「どうせなら祐介になっていたらよかったのかもしれん」
「それだと僕、サツキちゃんに会えなかったじゃない」
「その代わり私の世界でバンバン魔法が使えたぞ?」
「サツキちゃんがいない場所に行ったってつまんないし」
祐介がどんどん不貞腐れていく。この話題もあまりよろしくなかった様だ。
「……今日も一緒に寝る」
祐介はリアムににじり寄ると、後ろから腰に腕を回してリアムを抱き寄せた。
「明日も一緒に寝る。明後日も一緒に寝る。ずっと一緒に寝るから」
これではまるで駄々っ子だ。頭にかかる息に少しくらくらしつつも、リアムは気を引き締め祐介にあくまで軽い口調で言った。
「祐介は甘えん坊だな。末っ子は皆そういうものなのか?」
「僕は確かに末っ子だけどさ、これまでこんなに誰かを構い続けたことなんてないよ」
髪の中で、祐介がもそもそと喋る。
「だから、強引過ぎたら教えて。加減が分かんないから」
人を強引に抱き寄せながら、祐介が言った。
「嫌われたくないもん」
「祐介……」
祐介のこの態度は、ただリアムをこの世界に留めようとする為のものなのか。だが、それを祐介に直接尋ねる勇気は、今のリアムにはまだなかった。
ホカホカの食事を堪能しながらリアムが祐介を手放しで褒めると、祐介は満更でもなさそうな笑顔で教えてくれた。
「僕は味付けとかよく分からないから、味付きの調味料をすぐ使っちゃうんだよ。だからまああんまり失敗はしないかもね」
そういえば、肉じゃがにも麺つゆなる物を投入していた。
「煮物や出汁巻き玉子作る時は白だし使うし、あの出汁入り味噌っていうのだけはちょっとないかなって思うけど、出来るだけ簡略化してるんだ」
「成程、適材適所というやつだな」
「何か微妙に違う気もするけど、まあそうだね」
リアムが祐介に促されて祐介の指に付いたマヨネーズを口に含んだ後は、祐介の機嫌は直った。始めに会った頃は、祐介がこんなに感情豊かな男だとは思わなかったが、今ではどうだ。笑う、怒る、拗ねる、甘える、泣く。一人の人間にここまで色んな感情を見せられたことなどなかったリアムは、正直祐介に正面から感情をぶつけられてもどう対応すべきかが分からなかった。
そんな祐介は、リアムの食べっぷりを見て満足したらしく、にこにこしながら口を拭いている。
「どれが一番気に入った?」
「この小魚が一番好みだった。特に祐介が言っていたこのマヨネーズに七味なる物を混ぜたのは美味いな」
「酒好きの意見だよね」
「つくづくこの身体が酒に弱いのが惜しまれる」
「それはノンアルコールビールとかで我慢しよう」
「何か妙案はないか」
「まだ諦めてないの?」
呆れた様に笑う祐介だったが、これまで長年酒を嗜んで来たリアムからすれば青天の霹靂である。
「普通は飲めないと飲みたくなくなるみたいだけど、元が飲めるとこうなっちゃうんだね」
祐介が憐れみの目で見た。それを見て、思わずリアムの口が尖る。
「どうせなら祐介になっていたらよかったのかもしれん」
「それだと僕、サツキちゃんに会えなかったじゃない」
「その代わり私の世界でバンバン魔法が使えたぞ?」
「サツキちゃんがいない場所に行ったってつまんないし」
祐介がどんどん不貞腐れていく。この話題もあまりよろしくなかった様だ。
「……今日も一緒に寝る」
祐介はリアムににじり寄ると、後ろから腰に腕を回してリアムを抱き寄せた。
「明日も一緒に寝る。明後日も一緒に寝る。ずっと一緒に寝るから」
これではまるで駄々っ子だ。頭にかかる息に少しくらくらしつつも、リアムは気を引き締め祐介にあくまで軽い口調で言った。
「祐介は甘えん坊だな。末っ子は皆そういうものなのか?」
「僕は確かに末っ子だけどさ、これまでこんなに誰かを構い続けたことなんてないよ」
髪の中で、祐介がもそもそと喋る。
「だから、強引過ぎたら教えて。加減が分かんないから」
人を強引に抱き寄せながら、祐介が言った。
「嫌われたくないもん」
「祐介……」
祐介のこの態度は、ただリアムをこの世界に留めようとする為のものなのか。だが、それを祐介に直接尋ねる勇気は、今のリアムにはまだなかった。
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