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第三章 上級編開始
第480話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十階の朝風呂へ
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その日はさすがにもうユラもそれ以上は手を出してこなかったので、サツキはほっとした様な少し寂しい様な複雑な心境のまま、布団に潜った。
ログハウスの二階部分の四隅に設置された例の繭の様なベッドは、中がふかふかで安心する。ラムが足元に転がってさあ寝ようと思ったその時、ユラが入り口からひょっこり顔を覗かせた。
「サツキ、忘れ物」
「え?」
ユラの手招きに招かれ、サツキが這ってユラの元に行くと。
「おやすみ」
ユラはそう言って、ちゅ、と軽いキスをした。すぐに顔を上げ、手をひらひらして去って行った。
「お、おやすみ……」
こういうところだよ、ユラさん! サツキは心の中でシャウトした。貴方ドラマに出てくるイケメン俳優ですか? みたいな行動をさり気なく取られると、サツキの心臓が飛び跳ねるのだ。
ラムが、どうしたの? といった表情を浮かべサツキの袖を引っ張った。
「あ、うん、何でもないよ。……寝ようか」
ラムがにこりと笑って頷くと、サツキは再び寝転んで布団を被った。寝られるかな。そう思ったが、睡魔は思ったよりもすぐに襲ってきた。
◇
「サツキ」
肩を揺さぶる温かい手。囁き声だ。誰だろう。
「……ユラ?」
「何でユラなのよ。サツキ、起きて。お風呂行きましょ」
「あ、ウルスラ。おはよう」
サツキのベッドに入り込みサツキの横に窮屈そうに座ったウルスラが、不満げにサツキを見下ろしていた。
「やーっぱりユラとサツキ、やけに距離が近くなったわよね」
「慣れただけだよ、慣れ慣れ」
「本当? あいつに何かされたらすぐ私に言いなさいよ。首絞めてやるんだから!」
「はは、ありがとうウルスラ」
実はもうすでに散々やられていて、昨日はサツキが首を絞めて殺しかけたなんて口が裂けてもウルスラには言えなかった。本当にユラが殺されかねない。
ウルスラが、ベッドの外に這って行きながら言う。
「昨日はすっかり酔っ払っちゃって、いつ寝たかも覚えてないのよね。ご飯も食べてない筈なのに空腹感そこまでじゃないし。私、ご飯食べてた?」
「アールに食べさせてもらってたよ」
すると、ウルスラがピタリと止まった。
「……アールに?」
「うん。雛鳥みたいに口開けて食べてたよ」
「やだ嘘でしょ」
ウルスラが外へ出た。
「本当だよ。最後はアールの膝枕で寝てたから、アールが抱っこして連れて行ってくれてたよ」
昨晩のアールはなかなかしっかり者という印象だった。
「アールも案外しっかりしてたんだね。見直しちゃった」
サツキが後を追う様に這いずって外に出ると、ラムが手を振って挨拶をしてくれた。相手がユラでないと、ラムは素直に送り出してくれるらしい。新たな発見だった。やっぱりあの二人はライバルなんだろうか。何のかは分からないが。
まだ男性二人は寝ているらしく、ベッドの入り口から足が見えた。アールは仰向け、ユラは横向きだ。そういえばユラはいつも横向きかもしれない。起きるといつも目の前に顔があるところを見ると、サツキも横向き派なのだろうか。
掛けておいたタオルを取り、鞄から着替えを取り出す。
「さ、じゃあのんびり入りましょ!」
ウルスラがそう言って腕を組んできたので、サツキもにっこりして頷いた。
ログハウスの二階部分の四隅に設置された例の繭の様なベッドは、中がふかふかで安心する。ラムが足元に転がってさあ寝ようと思ったその時、ユラが入り口からひょっこり顔を覗かせた。
「サツキ、忘れ物」
「え?」
ユラの手招きに招かれ、サツキが這ってユラの元に行くと。
「おやすみ」
ユラはそう言って、ちゅ、と軽いキスをした。すぐに顔を上げ、手をひらひらして去って行った。
「お、おやすみ……」
こういうところだよ、ユラさん! サツキは心の中でシャウトした。貴方ドラマに出てくるイケメン俳優ですか? みたいな行動をさり気なく取られると、サツキの心臓が飛び跳ねるのだ。
ラムが、どうしたの? といった表情を浮かべサツキの袖を引っ張った。
「あ、うん、何でもないよ。……寝ようか」
ラムがにこりと笑って頷くと、サツキは再び寝転んで布団を被った。寝られるかな。そう思ったが、睡魔は思ったよりもすぐに襲ってきた。
◇
「サツキ」
肩を揺さぶる温かい手。囁き声だ。誰だろう。
「……ユラ?」
「何でユラなのよ。サツキ、起きて。お風呂行きましょ」
「あ、ウルスラ。おはよう」
サツキのベッドに入り込みサツキの横に窮屈そうに座ったウルスラが、不満げにサツキを見下ろしていた。
「やーっぱりユラとサツキ、やけに距離が近くなったわよね」
「慣れただけだよ、慣れ慣れ」
「本当? あいつに何かされたらすぐ私に言いなさいよ。首絞めてやるんだから!」
「はは、ありがとうウルスラ」
実はもうすでに散々やられていて、昨日はサツキが首を絞めて殺しかけたなんて口が裂けてもウルスラには言えなかった。本当にユラが殺されかねない。
ウルスラが、ベッドの外に這って行きながら言う。
「昨日はすっかり酔っ払っちゃって、いつ寝たかも覚えてないのよね。ご飯も食べてない筈なのに空腹感そこまでじゃないし。私、ご飯食べてた?」
「アールに食べさせてもらってたよ」
すると、ウルスラがピタリと止まった。
「……アールに?」
「うん。雛鳥みたいに口開けて食べてたよ」
「やだ嘘でしょ」
ウルスラが外へ出た。
「本当だよ。最後はアールの膝枕で寝てたから、アールが抱っこして連れて行ってくれてたよ」
昨晩のアールはなかなかしっかり者という印象だった。
「アールも案外しっかりしてたんだね。見直しちゃった」
サツキが後を追う様に這いずって外に出ると、ラムが手を振って挨拶をしてくれた。相手がユラでないと、ラムは素直に送り出してくれるらしい。新たな発見だった。やっぱりあの二人はライバルなんだろうか。何のかは分からないが。
まだ男性二人は寝ているらしく、ベッドの入り口から足が見えた。アールは仰向け、ユラは横向きだ。そういえばユラはいつも横向きかもしれない。起きるといつも目の前に顔があるところを見ると、サツキも横向き派なのだろうか。
掛けておいたタオルを取り、鞄から着替えを取り出す。
「さ、じゃあのんびり入りましょ!」
ウルスラがそう言って腕を組んできたので、サツキもにっこりして頷いた。
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