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第三章 上級編開始
第479話 魔術師リアムの上級編、触れる理由判明の後
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祐介に余計な心配をさせると、驚く程の不安を見せる。それが分かったので、リアムはさっさと支度を済ませると、祐介の家に行き待機することにした。
さすがにまだ祐介は風呂から出てきておらず、シャワーの音が聞こえてきている。リアムは祐介のベッドにごろんと寝転がった。実は、結構心臓がバクバクいっていた。何故か。
触れられることに対し、されるべき理由が出来てしまったからである。触れることでこちらに留まれる一つの手段であることが分かった以上、今抱えている全ての問題が片付くまでは、積極的に触れていかねばならない。このリアムが、だ。
しかしこれは物理的なものなのか、心理的な要因もあるのか、今後はそこも検証せねばならないだろう。
「サツキちゃん、お待たせ」
リアムがゴロゴロしながら考えている間に、祐介が風呂から上がっていた。急いで拭いてきたのか、髪から水滴がポタポタ落ちてきている。リアムは起き上がると、笑いながら祐介を手招きした。
「髪が濡れてあるぞ」
「拭いてくれるの?」
「ああ」
祐介が嬉しそうにやってきたので、リアムはタオルでゴシゴシと頭を拭いてやる。ここのところ、頼りになる祐介というよりも甘える祐介という印象だったが、うん、まあそれも悪くはない。
何を言ったらいいか分からず、リアムは無言のまま拭き続けた。時折合う祐介の目は穏やかで、それを見ると、ああ、今自分は祐介を安心させられているのだと分かる。
「よし、終わったぞ。早めに乾かすんだぞ」
「うん」
祐介はそう返事をしたが、一向に動かない。
「どうした? 風邪を引くぞ」
祐介は何かを言いたそうな顔をしている。一体どうしたのだろうか。そして、暫くリアムを見つめた後、首を横にぶるぶると振った。
「ど、どうした祐介? 気でも触れたか?」
すると、とんでもない答えが返ってきた。
「そうかもしれない……どうしよう、さすがにちょっと僕やばいかも」
「何がだ!? どうした祐介!」
リアムが祐介に詰め寄ると。
「ドライヤー掛けてる間、膝の上に乗ってて欲しいな、なんて言いたくなっちゃった。あは、あはは」
リアムは絶句した。
すると、祐介が確認する様に、やや期待を込めた目でリアムを見る。
「駄目……だよね?」
それだけ、昨日今日と、リアムが祐介を不安にさせてしまったのだ。
「仕方ないな」
「え、いいの」
「不安なのであろう?」
「そういうことにしておいて」
「違うのか?」
「いや違くありません不安です」
祐介はそう言うと、さっと屈んでリアムを抱え上げた。
「こら祐介! 自分で歩くから!」
「いや、お願いしてるのはこちらなのでお運びします」
「やはり昨日今日とおかしいぞ!」
「自覚はあります」
「あるのか!」
「そりゃあね」
祐介はベッド脇のコンセント近くの床に座り込むと、胡座をかいてその上にすっぽりとリアムを納めてしまった。ドライヤーを手に取り電源を入れると、リアムを包み込む様にし、ドライヤーを掛けていく。
リアムにも温かい風が当たるのでそれを避けるべく顔を外に向けると、正面からドライヤーの風が当たったので祐介の方に顔を向けた。祐介の口角が上がっているのが見えた。こやつ、まさか今の風はわざとか。
その口が、声を出さずに小さく動いた。
リアム、と言っている様に見えたのは、きっとリアムの気の所為だろう。
さすがにまだ祐介は風呂から出てきておらず、シャワーの音が聞こえてきている。リアムは祐介のベッドにごろんと寝転がった。実は、結構心臓がバクバクいっていた。何故か。
触れられることに対し、されるべき理由が出来てしまったからである。触れることでこちらに留まれる一つの手段であることが分かった以上、今抱えている全ての問題が片付くまでは、積極的に触れていかねばならない。このリアムが、だ。
しかしこれは物理的なものなのか、心理的な要因もあるのか、今後はそこも検証せねばならないだろう。
「サツキちゃん、お待たせ」
リアムがゴロゴロしながら考えている間に、祐介が風呂から上がっていた。急いで拭いてきたのか、髪から水滴がポタポタ落ちてきている。リアムは起き上がると、笑いながら祐介を手招きした。
「髪が濡れてあるぞ」
「拭いてくれるの?」
「ああ」
祐介が嬉しそうにやってきたので、リアムはタオルでゴシゴシと頭を拭いてやる。ここのところ、頼りになる祐介というよりも甘える祐介という印象だったが、うん、まあそれも悪くはない。
何を言ったらいいか分からず、リアムは無言のまま拭き続けた。時折合う祐介の目は穏やかで、それを見ると、ああ、今自分は祐介を安心させられているのだと分かる。
「よし、終わったぞ。早めに乾かすんだぞ」
「うん」
祐介はそう返事をしたが、一向に動かない。
「どうした? 風邪を引くぞ」
祐介は何かを言いたそうな顔をしている。一体どうしたのだろうか。そして、暫くリアムを見つめた後、首を横にぶるぶると振った。
「ど、どうした祐介? 気でも触れたか?」
すると、とんでもない答えが返ってきた。
「そうかもしれない……どうしよう、さすがにちょっと僕やばいかも」
「何がだ!? どうした祐介!」
リアムが祐介に詰め寄ると。
「ドライヤー掛けてる間、膝の上に乗ってて欲しいな、なんて言いたくなっちゃった。あは、あはは」
リアムは絶句した。
すると、祐介が確認する様に、やや期待を込めた目でリアムを見る。
「駄目……だよね?」
それだけ、昨日今日と、リアムが祐介を不安にさせてしまったのだ。
「仕方ないな」
「え、いいの」
「不安なのであろう?」
「そういうことにしておいて」
「違うのか?」
「いや違くありません不安です」
祐介はそう言うと、さっと屈んでリアムを抱え上げた。
「こら祐介! 自分で歩くから!」
「いや、お願いしてるのはこちらなのでお運びします」
「やはり昨日今日とおかしいぞ!」
「自覚はあります」
「あるのか!」
「そりゃあね」
祐介はベッド脇のコンセント近くの床に座り込むと、胡座をかいてその上にすっぽりとリアムを納めてしまった。ドライヤーを手に取り電源を入れると、リアムを包み込む様にし、ドライヤーを掛けていく。
リアムにも温かい風が当たるのでそれを避けるべく顔を外に向けると、正面からドライヤーの風が当たったので祐介の方に顔を向けた。祐介の口角が上がっているのが見えた。こやつ、まさか今の風はわざとか。
その口が、声を出さずに小さく動いた。
リアム、と言っている様に見えたのは、きっとリアムの気の所為だろう。
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