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第三章 上級編開始
第478話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下十階の酒盛り
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暫くすると、ユラがようやく降ろしてくれた。ユラにしては珍しく、顔が赤くなっている。もう散々キスを交わしてきた二人だが、それでも終わった瞬間の気恥ずかしさはどうしても残る。
サツキが魔法でユラの髪を乾かした後は、ユラがサツキの手を握り、ログハウスへと向かった。
そして言った。
「サツキの胸は破壊力抜群だな」
「ちょっと、どういう意味よ」
「あの位置でぎゅっとされるとさ、胸で首が圧迫されるんだよ。するとさ、柔らけえし何気に苦しいしでネジ吹っ飛びそうになった」
「それって首絞まって酸欠になってたんじゃ」
「俺、殺されかけてた?」
そのあっけらかんとした表情がおかしくて、少し前だったら恥ずかし過ぎて絶対笑うことなんて出来なかった話題なのに、サツキはぶっと吹き出してしまった。
「胸で喉絞められて死んじゃったら、恥ずかしくて死因なんか言えないね」
「いや、ある意味腹上死に続いて二番目にいい死に方かもしれねえ」
「腹上死……」
サツキは絶句した。
「サツキは知ってるか?」
「し、知ってるよ」
「あれってさー、女の方は溜まったもんじゃねえだろうなー」
「分かった、分かったから具体的なのは止めておこうか!」
「そうか? まあ止めておこうか、縁起でもねえもんな」
その言葉で、ユラが隙あらばまだやりたいと思っていることがよく分かった。こいつは、全く諦めてないらしい。
「なあサツキ」
「うん?」
「睡眠はしっかり取っておけよ。魔力回復には、何よりもまずは睡眠だからな」
確かに今日は魔法を使いまくった。集中力が増した所為だろうか、一発で倒せる様にはなってきていたが、あの親蜘蛛を逃してしまっている。
「あの蜘蛛、明日辺りにまた会うかな」
「可能性は高いな。大分弱ってはいたけど、あの大きさは厄介だ」
ログハウスに到着すると、ラムが嬉しそうに飛びついてきた。サツキはそんなラムをぎゅっと抱き締める。
「お待たせ!」
「さーサツキ! 酒盛りといこうぜ!」
「中……はうるさいか」
「多分爆睡してんじゃね? ま、ゴリラ女にうるせえって切れられるのも怖いし、ここで飲もうぜ」
「そのゴリラ女って止めようよ」
常に喧嘩の元になっている。
すると、ユラが首にスッと指を引いて、言った。
「ドラゴンの首を一刀両断する奴だぞ? それにサツキだって初めてあいつを見た時に、馬鹿力って言ってたじゃねえか」
言った。確かに言った。
ユラが風呂前に飲んでいたグラスに酒を注ぎ、サツキに渡してくれた。自分用にも入れ、乾杯風に掲げる。
「あいつもな、もう少しリーダーとしての自覚を持ってくれりゃあいいんだけど、指示が出来ないからな。なのに俺が指示を出すと勝手にやるなって顔をするし、なのに馬鹿にするからさ、やりにくいんだよ」
「そんな、馬鹿になんて」
「してたんだよ。だからルーンのダンジョンで俺は切れたんだからな」
だから、とユラが続ける。
「俺はやっぱりサツキは信じられるし、今後もずっと同じパーティーで冒険者をやりたいと思ってる」
何がだからなのかは分からなかったが、サツキは自分がユラに信用されていることだけは分かったのだった。
サツキが魔法でユラの髪を乾かした後は、ユラがサツキの手を握り、ログハウスへと向かった。
そして言った。
「サツキの胸は破壊力抜群だな」
「ちょっと、どういう意味よ」
「あの位置でぎゅっとされるとさ、胸で首が圧迫されるんだよ。するとさ、柔らけえし何気に苦しいしでネジ吹っ飛びそうになった」
「それって首絞まって酸欠になってたんじゃ」
「俺、殺されかけてた?」
そのあっけらかんとした表情がおかしくて、少し前だったら恥ずかし過ぎて絶対笑うことなんて出来なかった話題なのに、サツキはぶっと吹き出してしまった。
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「いや、ある意味腹上死に続いて二番目にいい死に方かもしれねえ」
「腹上死……」
サツキは絶句した。
「サツキは知ってるか?」
「し、知ってるよ」
「あれってさー、女の方は溜まったもんじゃねえだろうなー」
「分かった、分かったから具体的なのは止めておこうか!」
「そうか? まあ止めておこうか、縁起でもねえもんな」
その言葉で、ユラが隙あらばまだやりたいと思っていることがよく分かった。こいつは、全く諦めてないらしい。
「なあサツキ」
「うん?」
「睡眠はしっかり取っておけよ。魔力回復には、何よりもまずは睡眠だからな」
確かに今日は魔法を使いまくった。集中力が増した所為だろうか、一発で倒せる様にはなってきていたが、あの親蜘蛛を逃してしまっている。
「あの蜘蛛、明日辺りにまた会うかな」
「可能性は高いな。大分弱ってはいたけど、あの大きさは厄介だ」
ログハウスに到着すると、ラムが嬉しそうに飛びついてきた。サツキはそんなラムをぎゅっと抱き締める。
「お待たせ!」
「さーサツキ! 酒盛りといこうぜ!」
「中……はうるさいか」
「多分爆睡してんじゃね? ま、ゴリラ女にうるせえって切れられるのも怖いし、ここで飲もうぜ」
「そのゴリラ女って止めようよ」
常に喧嘩の元になっている。
すると、ユラが首にスッと指を引いて、言った。
「ドラゴンの首を一刀両断する奴だぞ? それにサツキだって初めてあいつを見た時に、馬鹿力って言ってたじゃねえか」
言った。確かに言った。
ユラが風呂前に飲んでいたグラスに酒を注ぎ、サツキに渡してくれた。自分用にも入れ、乾杯風に掲げる。
「あいつもな、もう少しリーダーとしての自覚を持ってくれりゃあいいんだけど、指示が出来ないからな。なのに俺が指示を出すと勝手にやるなって顔をするし、なのに馬鹿にするからさ、やりにくいんだよ」
「そんな、馬鹿になんて」
「してたんだよ。だからルーンのダンジョンで俺は切れたんだからな」
だから、とユラが続ける。
「俺はやっぱりサツキは信じられるし、今後もずっと同じパーティーで冒険者をやりたいと思ってる」
何がだからなのかは分からなかったが、サツキは自分がユラに信用されていることだけは分かったのだった。
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