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第三章 上級編開始
第477話 魔術師リアムの上級編、触れる理由
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触れるとここにいるなと思う。祐介は確かにそう言った。リアムが元の世界を懐かしんだり、戻ろうかと思うといなくなったと思い祐介が怖がる。
これらから導き出される答えは、接触だ。要は、触れているとリアムはこの世界に強く留められ、触れられずにいる時に元の世界のことを思い出すと、意識があちらに戻ろうとするのではないだろうか。
だが、これでようやく腑に落ちた。祐介がやたらと手を繋ごうとしてきたり抱きついてきたりするのは、本人が自覚しないままリアムをこの世界に留めておこうとしているからなのではないか。
つまり、祐介にとってリアムがサツキであろうがなかろうが、好きであろうがなかろうが、実はあまり関係ないのではないか。ただし嫌いな相手に触れようとは思わぬだろうから、まあその程度には好かれている……と言えるのではないか。
リアムが考え込んでいると、リアムを自分の上に乗せて抱き締め続けている祐介が、リアムの顔を覗き込んで言った。
「また難しい顔して一人で考え込んでる。今度は何考えてるの?」
「いや、祐介は私に触れると安心するのか、と思ってな」
まだ考察の段階で、祐介にあれこれと先入観を与えたくはない。リアムが適当に誤魔化せる言葉を告げると。
「そうなんだよ! 僕も自分で言って気が付いたけど、安心するんだ。だから一緒に寝よう。ね?」
「そんなに一緒にいたいのか?」
「うん。僕さ、夜中に不安になったら寝呆けて魔法陣使ってサツキちゃんの布団に潜り込むかも。起きていきなり僕がいたら怖くない?」
ぐいぐい来る。そしてさすがにそれは勘弁してもらいたい。だが、まあこれも、離れると不安に感じるという効果の所為だと分かれば可愛いものだ。
リアムはふ、と笑うと答えた。
「仕方ないな」
すると、祐介がほっとした笑顔になった。その表情を見て、やはり祐介はまだ不安が拭えていないのが分かった。本人も、これまで理由が分からず、相当不安だったに違いない。
やはり少しずつ、解明出来たことから説明が必要になりそうだった。そして準備をせねばならない。祐介がいつか好きな相手が出来た時に、手放すことになる絆があると理解させ、傷付かない様にする下準備を。
「僕、シャワー浴びてくるから待ってて」
「歯磨きをしたり明日の準備をしておく」
「そっか、魔法陣あるもんね。分かった」
羽田に警戒することなく部屋を行き来出来るのは、かなり便利だ。
「でも、もうちょっと」
祐介はそう言うと、リアムの頭を自分の胸に押し付け、頭に頬を付けた。
「絶対、思い出さないでね」
泣きそうな声で言われ、リアムは目を閉じながら幾度も幾度も頷いたのだった。
これらから導き出される答えは、接触だ。要は、触れているとリアムはこの世界に強く留められ、触れられずにいる時に元の世界のことを思い出すと、意識があちらに戻ろうとするのではないだろうか。
だが、これでようやく腑に落ちた。祐介がやたらと手を繋ごうとしてきたり抱きついてきたりするのは、本人が自覚しないままリアムをこの世界に留めておこうとしているからなのではないか。
つまり、祐介にとってリアムがサツキであろうがなかろうが、好きであろうがなかろうが、実はあまり関係ないのではないか。ただし嫌いな相手に触れようとは思わぬだろうから、まあその程度には好かれている……と言えるのではないか。
リアムが考え込んでいると、リアムを自分の上に乗せて抱き締め続けている祐介が、リアムの顔を覗き込んで言った。
「また難しい顔して一人で考え込んでる。今度は何考えてるの?」
「いや、祐介は私に触れると安心するのか、と思ってな」
まだ考察の段階で、祐介にあれこれと先入観を与えたくはない。リアムが適当に誤魔化せる言葉を告げると。
「そうなんだよ! 僕も自分で言って気が付いたけど、安心するんだ。だから一緒に寝よう。ね?」
「そんなに一緒にいたいのか?」
「うん。僕さ、夜中に不安になったら寝呆けて魔法陣使ってサツキちゃんの布団に潜り込むかも。起きていきなり僕がいたら怖くない?」
ぐいぐい来る。そしてさすがにそれは勘弁してもらいたい。だが、まあこれも、離れると不安に感じるという効果の所為だと分かれば可愛いものだ。
リアムはふ、と笑うと答えた。
「仕方ないな」
すると、祐介がほっとした笑顔になった。その表情を見て、やはり祐介はまだ不安が拭えていないのが分かった。本人も、これまで理由が分からず、相当不安だったに違いない。
やはり少しずつ、解明出来たことから説明が必要になりそうだった。そして準備をせねばならない。祐介がいつか好きな相手が出来た時に、手放すことになる絆があると理解させ、傷付かない様にする下準備を。
「僕、シャワー浴びてくるから待ってて」
「歯磨きをしたり明日の準備をしておく」
「そっか、魔法陣あるもんね。分かった」
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「でも、もうちょっと」
祐介はそう言うと、リアムの頭を自分の胸に押し付け、頭に頬を付けた。
「絶対、思い出さないでね」
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