467 / 731
第三章 上級編開始
第465話 魔術師リアムの上級編の魔法陣作成本番開始
しおりを挟む
今宵も共に布団で寝たいと言われ、リアムはさてどうしようかと考えた。
「祐介は今晩は処理しなくて大丈夫なのか?」
リアムがそう尋ねると、祐介が思い切りむせた。
「鼻、鼻に入った……っ」
そう言うと、ティッシュで鼻をかんでから少し涙が滲んでしまった瞳でリアムを見た。
「もうそれはいいから」
「いや、どうもまだ足りなさそうだったのでな」
「僕そんなに飢えてる感じに見えるの?」
「大分な」
「……」
昨晩寝る時は人の下腹部に手を当てながらぴったりと身体をくっつけて寝てきたし、朝はこれでもかという位激しいキスを繰り返され、ようやく落ち着いたと思ったら今度は首や肩や背中に唇で触れまくり、最後にはキスマークを付けている。これら全てが一日で為されている。これはどう考えても溜まっているとしか思えなかった。
「無理せずとも、私の腹はもう痛くないぞ」
「いや、無理してるつもりは全くないけど」
「明日から化粧もあるから当面は早起きが続く。各々しっかりと寝ておいた方がよかろう」
「……分かった」
祐介は、リアムの体調不良を気遣ってこれを提案したのだろう。だがこんな興奮状態では寝れるものも寝れまい。どうも今日祐介の様子がおかしいのは、それが原因に違いなかった。
そうと分かれば対処のしようもあるのだ。
「しかし若さとは羨ましいものだな。ははは」
「はははって……。今ので何となくサツキちゃんの思考回路が読めたよ」
「洞察力も魔術師には必要な要素だぞ祐介」
「僕は魔術師じゃないけどね」
祐介がふ、と笑うと、大きな紙を床に広げ始めた。
「魔法陣、描くんでしょ? 手伝うよ」
「おお、助かるぞ祐介」
正直、リアムは線を真っ直ぐに描いたりするのが比較的苦手である。祐介はその点器用そうなので、祐介が手伝ってくれれば百人力だ。
全く何もない所から描けと言われると祐介もきつかろうが、今は手元に先程効果を確認したお手本がある。リアムがキュポッと油性ペンの蓋を取ったその瞬間、祐介がリアムの手首をガッ! と掴んだ。
「待って待って待って、今直接まんまいこうとしたよね!?」
「そうだが、それがどうした」
祐介は、リアムがもう片方の手に持っていた蓋を奪うと、油性ペンも手から奪い蓋をしてしまった。何か問題だっただろうか。
「サツキちゃん、ただでさえこっちの小さいお手本の方の円だってすっごい歪なのに、もっと大きな紙にいきなり本番描くとかやったら、それ絶対失敗するやつだから!」
「歪……」
リアムは、お手本の二枚を見た。まあ、確かに綺麗な円ではない。だが、歪とはあまりな言い様ではなかろうか。
「多少歪んでおろうが、円がきっちりと閉じていれば効果は問題ないと聞いたが」
「いや多分この大きさだと円にすらならない気がする!」
「お前も時折失礼だな」
「そもそもさ、下書きしようよ! ね!?」
「下書き……?」
すると、祐介が頭をガシガシ掻いた。
「あああああもうっ」
祐介のこれも久々だ。
「僕がやる! 大丈夫! 僕器用だから!」
これも前に聞いた覚えがあるな、と思いながら、邪魔扱いされたリアムはベッドの上に追いやられたのだった。
「祐介は今晩は処理しなくて大丈夫なのか?」
リアムがそう尋ねると、祐介が思い切りむせた。
「鼻、鼻に入った……っ」
そう言うと、ティッシュで鼻をかんでから少し涙が滲んでしまった瞳でリアムを見た。
「もうそれはいいから」
「いや、どうもまだ足りなさそうだったのでな」
「僕そんなに飢えてる感じに見えるの?」
「大分な」
「……」
昨晩寝る時は人の下腹部に手を当てながらぴったりと身体をくっつけて寝てきたし、朝はこれでもかという位激しいキスを繰り返され、ようやく落ち着いたと思ったら今度は首や肩や背中に唇で触れまくり、最後にはキスマークを付けている。これら全てが一日で為されている。これはどう考えても溜まっているとしか思えなかった。
「無理せずとも、私の腹はもう痛くないぞ」
「いや、無理してるつもりは全くないけど」
「明日から化粧もあるから当面は早起きが続く。各々しっかりと寝ておいた方がよかろう」
「……分かった」
祐介は、リアムの体調不良を気遣ってこれを提案したのだろう。だがこんな興奮状態では寝れるものも寝れまい。どうも今日祐介の様子がおかしいのは、それが原因に違いなかった。
そうと分かれば対処のしようもあるのだ。
「しかし若さとは羨ましいものだな。ははは」
「はははって……。今ので何となくサツキちゃんの思考回路が読めたよ」
「洞察力も魔術師には必要な要素だぞ祐介」
「僕は魔術師じゃないけどね」
祐介がふ、と笑うと、大きな紙を床に広げ始めた。
「魔法陣、描くんでしょ? 手伝うよ」
「おお、助かるぞ祐介」
正直、リアムは線を真っ直ぐに描いたりするのが比較的苦手である。祐介はその点器用そうなので、祐介が手伝ってくれれば百人力だ。
全く何もない所から描けと言われると祐介もきつかろうが、今は手元に先程効果を確認したお手本がある。リアムがキュポッと油性ペンの蓋を取ったその瞬間、祐介がリアムの手首をガッ! と掴んだ。
「待って待って待って、今直接まんまいこうとしたよね!?」
「そうだが、それがどうした」
祐介は、リアムがもう片方の手に持っていた蓋を奪うと、油性ペンも手から奪い蓋をしてしまった。何か問題だっただろうか。
「サツキちゃん、ただでさえこっちの小さいお手本の方の円だってすっごい歪なのに、もっと大きな紙にいきなり本番描くとかやったら、それ絶対失敗するやつだから!」
「歪……」
リアムは、お手本の二枚を見た。まあ、確かに綺麗な円ではない。だが、歪とはあまりな言い様ではなかろうか。
「多少歪んでおろうが、円がきっちりと閉じていれば効果は問題ないと聞いたが」
「いや多分この大きさだと円にすらならない気がする!」
「お前も時折失礼だな」
「そもそもさ、下書きしようよ! ね!?」
「下書き……?」
すると、祐介が頭をガシガシ掻いた。
「あああああもうっ」
祐介のこれも久々だ。
「僕がやる! 大丈夫! 僕器用だから!」
これも前に聞いた覚えがあるな、と思いながら、邪魔扱いされたリアムはベッドの上に追いやられたのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる