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第三章 上級編開始
第455話 魔術師リアムの上級編、フルールについて
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珈琲の後、比較的近くに木々にぐるっと囲まれたいい公園を見つけ、そこで基本中の基本、フレイム、アイス、フルミネ、ウィンディーンを唱えてみた。何かあった時の為に、あと一回分は取っておくことにした。それに魔力が空になると恐ろしく腹が減る。
的がないと狙いにくい。その為、祐介に小枝を投げてもらい、それを狙った。
リアムが片時も離さなかった愛用の杖はもうこの手にはないが、代わりに人差し指を杖に見立てている。魔力の流れがこの指を通っていくのが一番想像し易いので、効果はそれなりにあるだろうと考えた。だが想像していたよりも更に効果の程は低く、フルミネに至っては小枝が焦げることすらなく、一番無難に使えるのではと思っていただけに悔しくなった。敵を目の前にしている訳ではないが為の集中力不足の可能性もあったので、こちらは明日も引き続き挑戦することにした。
思った程の結果が得られなかったリアムだったが、それでもリアムが繰り出す魔法が小枝に当たり弾けるのを見て、祐介は目を輝かせていた。その様が可愛らしくて、明日はどの技を出してやろうかとつい考えてしまうリアムだった。
魔法の試し打ちが終わった後は、祐介とスーパーに買い出しに行った。羽田が出社していないことで、祐介の警戒心はこれまで以上に強いものになっており、サツキ宅でも作れる物を、ということで焼きそばなる料理を作ることにしたらしい。これまで羽田は夜間に社宅に現れたことはなかったが、このまま出社してこない場合いつ何時訪れてくるかもう分からない。
「サツキちゃんちと僕んちの間の壁に穴開けちゃいたいよ」
祐介が焼きそばにかけた青のりを唇にくっつけながら、言った。
「サツキに魔力がもう少しあればそれも可能だったかもしれないがな」
リアムがそう言って笑うと、祐介が興味津々といった風に尋ねてきた。
「そういえばさ、始めの時に、魔法で移動出来るとか言ってたよね? それってあっちの世界の人は皆出来るの?」
フルールのことだ。リアムは首を横に振った。
「私の様な魔術師は自分で唱えて行ったことのある場所への移動が可能だが、それ以外の人間はフルールの羽根という移動用の魔具を使用したりして移動するな」
「羽根?」
「そうだ。正にフルール鳥というのがこの魔法のそもそもの語源でな、この鳥の羽根の効果を分析し、それを呪文に落とし込んだのがフルールだ」
「まんまだね」
「まあ捻りはないのは確かだな。だがこれの普及のお陰で、冒険者の移動は格段に楽になった」
「へえー」
祐介が興味深そうに頷いた。
「ダンジョン内では魔法陣が各階に用意されていてな、フルールの羽根が切れても帰れる様にはなっている。あれも一番始めに訪れたギルドからの派遣の者が敷いたものなのだろうと思うと、そういった仕事もなかなかに興味深いものだと思ったものだ」
「魔法陣? 一気に異世界っぽくなったね」
祐介がそう言ってにっこりと笑いつつ茶を口に含んだのを見て、リアムはハッと気が付いた。そうだ、魔法陣があるではないか。あれはこの世界でも有効なのだろうか?
リアムは祐介に尋ねた。
「祐介、壁に魔法陣は書いても問題ないか?」
祐介の目が見開かれた。
的がないと狙いにくい。その為、祐介に小枝を投げてもらい、それを狙った。
リアムが片時も離さなかった愛用の杖はもうこの手にはないが、代わりに人差し指を杖に見立てている。魔力の流れがこの指を通っていくのが一番想像し易いので、効果はそれなりにあるだろうと考えた。だが想像していたよりも更に効果の程は低く、フルミネに至っては小枝が焦げることすらなく、一番無難に使えるのではと思っていただけに悔しくなった。敵を目の前にしている訳ではないが為の集中力不足の可能性もあったので、こちらは明日も引き続き挑戦することにした。
思った程の結果が得られなかったリアムだったが、それでもリアムが繰り出す魔法が小枝に当たり弾けるのを見て、祐介は目を輝かせていた。その様が可愛らしくて、明日はどの技を出してやろうかとつい考えてしまうリアムだった。
魔法の試し打ちが終わった後は、祐介とスーパーに買い出しに行った。羽田が出社していないことで、祐介の警戒心はこれまで以上に強いものになっており、サツキ宅でも作れる物を、ということで焼きそばなる料理を作ることにしたらしい。これまで羽田は夜間に社宅に現れたことはなかったが、このまま出社してこない場合いつ何時訪れてくるかもう分からない。
「サツキちゃんちと僕んちの間の壁に穴開けちゃいたいよ」
祐介が焼きそばにかけた青のりを唇にくっつけながら、言った。
「サツキに魔力がもう少しあればそれも可能だったかもしれないがな」
リアムがそう言って笑うと、祐介が興味津々といった風に尋ねてきた。
「そういえばさ、始めの時に、魔法で移動出来るとか言ってたよね? それってあっちの世界の人は皆出来るの?」
フルールのことだ。リアムは首を横に振った。
「私の様な魔術師は自分で唱えて行ったことのある場所への移動が可能だが、それ以外の人間はフルールの羽根という移動用の魔具を使用したりして移動するな」
「羽根?」
「そうだ。正にフルール鳥というのがこの魔法のそもそもの語源でな、この鳥の羽根の効果を分析し、それを呪文に落とし込んだのがフルールだ」
「まんまだね」
「まあ捻りはないのは確かだな。だがこれの普及のお陰で、冒険者の移動は格段に楽になった」
「へえー」
祐介が興味深そうに頷いた。
「ダンジョン内では魔法陣が各階に用意されていてな、フルールの羽根が切れても帰れる様にはなっている。あれも一番始めに訪れたギルドからの派遣の者が敷いたものなのだろうと思うと、そういった仕事もなかなかに興味深いものだと思ったものだ」
「魔法陣? 一気に異世界っぽくなったね」
祐介がそう言ってにっこりと笑いつつ茶を口に含んだのを見て、リアムはハッと気が付いた。そうだ、魔法陣があるではないか。あれはこの世界でも有効なのだろうか?
リアムは祐介に尋ねた。
「祐介、壁に魔法陣は書いても問題ないか?」
祐介の目が見開かれた。
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