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第三章 上級編開始
第437話 魔術師リアムの上級編二日目のお昼へ
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どれ位の間、祐介と口づけを交わしていただろうか。
祐介はリアムを膝の上に乗せたまま一向に離そうとせず、まるで恋い焦がれる相手かの様に繰り返しリアムの唇を繰り返し奪い、これは今一体何が起きているのかもうリアムには理解の範疇を超えていた。
もう、力が入らない。
息も絶え絶えになっていると、ようやく祐介が顔を離した。祐介の顔は見事に火照っているが、興奮も見て取れる。
「大丈夫?」
祐介が上気した顔でにっこりと笑った。
「し、心臓が」
耳にまで響いてくる激しい鼓動に、リアムは息をするのもやっとだ。
「立てる?」
ようやく解放してくれる気になったらしい。だが、この先どういう顔で祐介を見ればいいのか、リアムは正直分からなくなってしまっていた。
思わずリアムが目を逸らすと、祐介が少し悲しそうな口調で言った。
「……予想はしてたけどさ」
「……え?」
「目、逸らさないでよ。悲しいよ」
「す、すまぬ、つい」
祐介がリアムを抱きかかえた状態で立ち上がった。ゆっくりとリアムの脇の下から腕をどかし、リアムが立てるのか確認をしている様だ。
「さっき約束したから、安心して」
約束。次はリアムからしない限りはもうしないという約束だ。祐介がそうだというのであれば、絶対守るのだろう。祐介はそういう男だ。
「だから、目を逸らさないでよ、いつもみたいに僕を見て」
切なそうにそう言われてしまい、リアムは最大限の努力を以ってゆっくりと視線を祐介に戻した。すると、祐介がほっとした様に微笑んだ。
「ご飯、行こう?」
「あ、ああ」
祐介がそっと玄関の扉を開けると、顔を出して辺りの様子を窺った。
「手を、繋ごうよ」
祐介が狂おしそうな表情を浮かべ、リアムに手を差し伸べた。祐介はこんなにもリアムを見てくれているのに、リアムと来たら羞恥で及び腰になってしまっている。偉大な魔術師は一体どこへ行ってしまったのか。我ながら情けなくなった。
リアムは、顔をぐっと上げて祐介を見た。とんでもないキスをしてしまったが、少なくとも祐介に多少なりとも好かれていなかればあれは存在し得ない出来事である。
その事実が、リアムの背中を押した。
リアムは祐介に手を伸ばすと、自ら指を絡めて握ってみたのだ。祐介が、はっと息を呑んだ後、嬉しそうに顔を赤らめにこにこ笑顔になった。だからそれを見て、リアムも笑った。
やはり好きだ。祐介が好きだ。その想いが、次から次へと溢れ出る。
祐介の意図は分からない。気持ちも分からない。何を求め、何を待っているのかも分からないし、きっと聞いても答えてはくれぬ。だからせめてリアムは、リアムが祐介の隣にいたいと思っていることが分かる様、態度に示していきたい。
初めてそう思った。
正直、祐介に拒否されるのは怖い。怖いが、先程の余りにも熱い口づけがリアムに勇気をくれたから、だから少し頑張ってみようかと思う。
まずはこの羞恥と、すぐそれから逃げ出そうとしてしまう心の強化が必要な様だ。そう考え、リアムは大きく一つ頷いてみせたのだった。
祐介はリアムを膝の上に乗せたまま一向に離そうとせず、まるで恋い焦がれる相手かの様に繰り返しリアムの唇を繰り返し奪い、これは今一体何が起きているのかもうリアムには理解の範疇を超えていた。
もう、力が入らない。
息も絶え絶えになっていると、ようやく祐介が顔を離した。祐介の顔は見事に火照っているが、興奮も見て取れる。
「大丈夫?」
祐介が上気した顔でにっこりと笑った。
「し、心臓が」
耳にまで響いてくる激しい鼓動に、リアムは息をするのもやっとだ。
「立てる?」
ようやく解放してくれる気になったらしい。だが、この先どういう顔で祐介を見ればいいのか、リアムは正直分からなくなってしまっていた。
思わずリアムが目を逸らすと、祐介が少し悲しそうな口調で言った。
「……予想はしてたけどさ」
「……え?」
「目、逸らさないでよ。悲しいよ」
「す、すまぬ、つい」
祐介がリアムを抱きかかえた状態で立ち上がった。ゆっくりとリアムの脇の下から腕をどかし、リアムが立てるのか確認をしている様だ。
「さっき約束したから、安心して」
約束。次はリアムからしない限りはもうしないという約束だ。祐介がそうだというのであれば、絶対守るのだろう。祐介はそういう男だ。
「だから、目を逸らさないでよ、いつもみたいに僕を見て」
切なそうにそう言われてしまい、リアムは最大限の努力を以ってゆっくりと視線を祐介に戻した。すると、祐介がほっとした様に微笑んだ。
「ご飯、行こう?」
「あ、ああ」
祐介がそっと玄関の扉を開けると、顔を出して辺りの様子を窺った。
「手を、繋ごうよ」
祐介が狂おしそうな表情を浮かべ、リアムに手を差し伸べた。祐介はこんなにもリアムを見てくれているのに、リアムと来たら羞恥で及び腰になってしまっている。偉大な魔術師は一体どこへ行ってしまったのか。我ながら情けなくなった。
リアムは、顔をぐっと上げて祐介を見た。とんでもないキスをしてしまったが、少なくとも祐介に多少なりとも好かれていなかればあれは存在し得ない出来事である。
その事実が、リアムの背中を押した。
リアムは祐介に手を伸ばすと、自ら指を絡めて握ってみたのだ。祐介が、はっと息を呑んだ後、嬉しそうに顔を赤らめにこにこ笑顔になった。だからそれを見て、リアムも笑った。
やはり好きだ。祐介が好きだ。その想いが、次から次へと溢れ出る。
祐介の意図は分からない。気持ちも分からない。何を求め、何を待っているのかも分からないし、きっと聞いても答えてはくれぬ。だからせめてリアムは、リアムが祐介の隣にいたいと思っていることが分かる様、態度に示していきたい。
初めてそう思った。
正直、祐介に拒否されるのは怖い。怖いが、先程の余りにも熱い口づけがリアムに勇気をくれたから、だから少し頑張ってみようかと思う。
まずはこの羞恥と、すぐそれから逃げ出そうとしてしまう心の強化が必要な様だ。そう考え、リアムは大きく一つ頷いてみせたのだった。
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