435 / 731
第三章 上級編開始
第433話 魔術師リアムの上級編二日目の昼飯へ
しおりを挟む
リアムの狼狽ぶりに、祐介が我慢しきれなくなったのだろう。始めは静かに肩を揺らし、次第に大きく身体を揺らし始めた。笑い声が漏れ伝わる。
これは完全にからかわれたのだ。祐介のその震えを見て、リアムは察した。ああもう、まさかこんな若者に翻弄されるとは。
「祐介! からかうにも程度というものがあるだろう!」
「あはは、ごめんごめん、余りにも慌てるから、つい」
「つい、ではない!」
祐介はおかしそうに笑い続けながら、リアムの目尻を濡らす涙を手の腹で拭った。
「ごめんね」
「全くだ! 大体祐介は私を何だと思っているのだ!」
「慌てっぷりが可愛いなあと」
「そういうことではない!」
「ごめんごめん。まだ早かったみたいなのは分かったし」
「何が早いのだ?」
「えーと、お昼何食べたい?」
祐介が話題を一気に方向転換した。
「祐介、何が早……」
「温かい物がいいよね。あ、外に食べに行く? ついでに珈琲買おうよ」
「珈琲は欲しいぞ」
「じゃあ決まり。支度しようか」
「あ、ああ」
つい珈琲に反応してしまい、話題は逸れたままになってしまった。がしかし、もうこうなると祐介は言わないだろう。
リアムは大人しく支度をすることにした。服を選びながら、考える。
祐介の焦りとは何なのか。それに、リアムが寝ている祐介にしたことについて、察している様ではあるが、嫌がる素振りもない。更にまだ早いという言葉。分からなかった。祐介は一体何を隠しているのか。
リアムは更に深く考え始める。
それに頑なに呼ばないリアムの名前。先程も思ったが、祐介は何かの時期が来るのを待っているのではないか。何だろう。リアムに関することであるのは間違いがない様だが。
リアムは上を脱ぎ肌着一枚になると、ブラジャーを取り出した。
「さ、サツキちゃん」
「……いやしかし、それが一体どういったものなのかが分からぬ」
「サツキちゃん!!」
焦った様な祐介の呼び声に、リアムははっと気が付きベッドにいる祐介を振り返った。
祐介が、クッションを抱き抱えながら目だけを覗かせていた。
「あの、僕いるんですけど」
「あ」
リアムはノーブラにサラサラの肌着一枚を身に付けているだけの自分に付いている胸の谷間を見下ろした。しまった、つい考えに耽ってしまい、祐介がいることを忘れたまま着替えを始めてしまった。
「それとも、見てくれってことですか」
物凄く物欲しそうな目で言われても、である。リアムは何はともあれまずは謝罪することにした。
「済まぬ、考え事をしていたら無意識の内に脱いでいた」
「何考えてたの」
「祐介のことだ」
「ぼっ僕のこと? 脱ぎながら僕のこと?」
祐介は何かを勘違いしている様だ。
「まだ早いだの何だのを言っているのでな、一体何が祐介の心を煩わせているのかと」
「あ、それね」
途端がっかりした様な顔をする辺りは、やはり若さか。
「とりあえず着てしまうので後ろを向いていてくれ」
「はい」
祐介は素直に後ろを向いた。そして尋ねてきた。
「見ちゃ駄目?」
リアムは、ぶっと吹いた。
「ななななな何を言っておる! 駄目に決まっているだろう!」
「裸の背中は見たけど」
「駄目ったら駄目だ!」
「分かりました」
やはりあの時から祐介がやけに近い。早まるな祐介、お前には未来があるのだから。そう言いたかったが、心臓が高鳴り過ぎて無理だった。
これは完全にからかわれたのだ。祐介のその震えを見て、リアムは察した。ああもう、まさかこんな若者に翻弄されるとは。
「祐介! からかうにも程度というものがあるだろう!」
「あはは、ごめんごめん、余りにも慌てるから、つい」
「つい、ではない!」
祐介はおかしそうに笑い続けながら、リアムの目尻を濡らす涙を手の腹で拭った。
「ごめんね」
「全くだ! 大体祐介は私を何だと思っているのだ!」
「慌てっぷりが可愛いなあと」
「そういうことではない!」
「ごめんごめん。まだ早かったみたいなのは分かったし」
「何が早いのだ?」
「えーと、お昼何食べたい?」
祐介が話題を一気に方向転換した。
「祐介、何が早……」
「温かい物がいいよね。あ、外に食べに行く? ついでに珈琲買おうよ」
「珈琲は欲しいぞ」
「じゃあ決まり。支度しようか」
「あ、ああ」
つい珈琲に反応してしまい、話題は逸れたままになってしまった。がしかし、もうこうなると祐介は言わないだろう。
リアムは大人しく支度をすることにした。服を選びながら、考える。
祐介の焦りとは何なのか。それに、リアムが寝ている祐介にしたことについて、察している様ではあるが、嫌がる素振りもない。更にまだ早いという言葉。分からなかった。祐介は一体何を隠しているのか。
リアムは更に深く考え始める。
それに頑なに呼ばないリアムの名前。先程も思ったが、祐介は何かの時期が来るのを待っているのではないか。何だろう。リアムに関することであるのは間違いがない様だが。
リアムは上を脱ぎ肌着一枚になると、ブラジャーを取り出した。
「さ、サツキちゃん」
「……いやしかし、それが一体どういったものなのかが分からぬ」
「サツキちゃん!!」
焦った様な祐介の呼び声に、リアムははっと気が付きベッドにいる祐介を振り返った。
祐介が、クッションを抱き抱えながら目だけを覗かせていた。
「あの、僕いるんですけど」
「あ」
リアムはノーブラにサラサラの肌着一枚を身に付けているだけの自分に付いている胸の谷間を見下ろした。しまった、つい考えに耽ってしまい、祐介がいることを忘れたまま着替えを始めてしまった。
「それとも、見てくれってことですか」
物凄く物欲しそうな目で言われても、である。リアムは何はともあれまずは謝罪することにした。
「済まぬ、考え事をしていたら無意識の内に脱いでいた」
「何考えてたの」
「祐介のことだ」
「ぼっ僕のこと? 脱ぎながら僕のこと?」
祐介は何かを勘違いしている様だ。
「まだ早いだの何だのを言っているのでな、一体何が祐介の心を煩わせているのかと」
「あ、それね」
途端がっかりした様な顔をする辺りは、やはり若さか。
「とりあえず着てしまうので後ろを向いていてくれ」
「はい」
祐介は素直に後ろを向いた。そして尋ねてきた。
「見ちゃ駄目?」
リアムは、ぶっと吹いた。
「ななななな何を言っておる! 駄目に決まっているだろう!」
「裸の背中は見たけど」
「駄目ったら駄目だ!」
「分かりました」
やはりあの時から祐介がやけに近い。早まるな祐介、お前には未来があるのだから。そう言いたかったが、心臓が高鳴り過ぎて無理だった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる