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第三章 上級編開始
第428話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョンの地下九階へ
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サツキがまだ半ばぽーっとしながらもユラの後を付いていくと、階段の上でウルスラとアールが剣を構えて階下を見下ろしていた。それを見たユラの雰囲気が、瞬時に引き締まる。
「どうした」
視線は動かさないまま、ユラの質問にアールが答えた。
「何かどでかい物が下にいる」
「どでかい? 姿は見たのか?」
「一瞬な」
するとウルスラが青冷めた顔をしながら言った。
「多分だけど、親蜘蛛じゃないかと思う」
ユラがサツキを振り返った。サツキは、しっかりと頷いてみせた。ここはサツキとユラの出番だ。
「サツキ、掴まっとけ」
ユラが手を出してきたので、サツキは魔石を取り出し、それと共にしっかりと掴む。魔石があることに気付いたのだろう、ユラが猛る様に笑った。
ユラが前方に手を翳す。
「バリアーラ!」
途端、強固な白い粒子が、二人の前に現れた。ユラが即座に次の呪文を唱える。
「アグレッサ!!」
攻撃力増加魔法だ。赤い光がパーティーを覆い、染みていった。
「後衛の二人は、子蜘蛛を」
「了解!」
「任せろ!」
そしてユラがサツキを見上げ、言った。
「杖を構えろ。俺が指示する」
「分かった」
怖くはなかった。サツキの隣にユラがいるから。ユラがいれば、大丈夫。そう思えるから。
サツキは杖をしっかりと構えた。そして二人、ゆっくりと階段を一段ずつ降りて行く。地下九階の地面に炎の影が揺らめいている。明るい。これまでない程に。
階段を全て降り終えたサツキ達の目に入ってきたのは、身体から燃え盛る炎を放出している巨大な蜘蛛だった。身体は短い毛が覆い、サツキ達には注意を払っていない。よく見ると、その親蜘蛛の周りの壁一面にびっしりと子蜘蛛が張り付いていた。
その内の一匹がこちらに気付いたのか、カシャカシャと音を立て始めた。すると、波の様にその音が他の子蜘蛛達にも広がり、そして。
親蜘蛛がこちらに気付いた。
ユラが言った。
「サツキ、フルミネシュトルムだ!」
「フルミネシュトルム!!」
間髪入れずサツキは唱えた。まずはあの子蜘蛛達の数を減らさねば、そういうことと理解した。
黒雲が現れ、辺りを雷の激しい光が行き交う。バリバリバリ!! と凄まじい音が耳を通して頭の中に鳴り響いた。
カメラのフラッシュを見た後の様に、視界が光の強さにやられ、サツキは目を押さえた。すると、ユラが即座に回復をしてくれた。
「多いな」
ユラがボソリと言った。その言葉に、サツキは前方を確認すべく目をしっかりと開けてみる。すると、子蜘蛛のおおよそ半分は太陽の石となっていたが、残り半分は、何と母親の盾になっているではないか。
黒雲が去ったと分かったのだろう、子蜘蛛達が親蜘蛛から離れ、ジリジリとこちらに距離を縮めていく。親蜘蛛は、どうやら後退して行っている様だ。
「ユラ! 親蜘蛛が逃げちゃいそうだよ!」
サツキがユラを振り返ると、ユラが頷いた。
「だが前のこいつらを何とかしねえと駄目だな……サツキ、アンファンフロストだ!」
「分かった!」
サツキはどんどんカサカサと近付いて来る子蜘蛛の大群に目を向けると、ぎゅっとユラの手を握った。大丈夫、集中してサツキ。
ユラが強く握り返したその直後、サツキは集中力を高めつつ、声高に唱えた。
「アンファンフロスト!!」
辺りがふ、と暗くなった。
「どうした」
視線は動かさないまま、ユラの質問にアールが答えた。
「何かどでかい物が下にいる」
「どでかい? 姿は見たのか?」
「一瞬な」
するとウルスラが青冷めた顔をしながら言った。
「多分だけど、親蜘蛛じゃないかと思う」
ユラがサツキを振り返った。サツキは、しっかりと頷いてみせた。ここはサツキとユラの出番だ。
「サツキ、掴まっとけ」
ユラが手を出してきたので、サツキは魔石を取り出し、それと共にしっかりと掴む。魔石があることに気付いたのだろう、ユラが猛る様に笑った。
ユラが前方に手を翳す。
「バリアーラ!」
途端、強固な白い粒子が、二人の前に現れた。ユラが即座に次の呪文を唱える。
「アグレッサ!!」
攻撃力増加魔法だ。赤い光がパーティーを覆い、染みていった。
「後衛の二人は、子蜘蛛を」
「了解!」
「任せろ!」
そしてユラがサツキを見上げ、言った。
「杖を構えろ。俺が指示する」
「分かった」
怖くはなかった。サツキの隣にユラがいるから。ユラがいれば、大丈夫。そう思えるから。
サツキは杖をしっかりと構えた。そして二人、ゆっくりと階段を一段ずつ降りて行く。地下九階の地面に炎の影が揺らめいている。明るい。これまでない程に。
階段を全て降り終えたサツキ達の目に入ってきたのは、身体から燃え盛る炎を放出している巨大な蜘蛛だった。身体は短い毛が覆い、サツキ達には注意を払っていない。よく見ると、その親蜘蛛の周りの壁一面にびっしりと子蜘蛛が張り付いていた。
その内の一匹がこちらに気付いたのか、カシャカシャと音を立て始めた。すると、波の様にその音が他の子蜘蛛達にも広がり、そして。
親蜘蛛がこちらに気付いた。
ユラが言った。
「サツキ、フルミネシュトルムだ!」
「フルミネシュトルム!!」
間髪入れずサツキは唱えた。まずはあの子蜘蛛達の数を減らさねば、そういうことと理解した。
黒雲が現れ、辺りを雷の激しい光が行き交う。バリバリバリ!! と凄まじい音が耳を通して頭の中に鳴り響いた。
カメラのフラッシュを見た後の様に、視界が光の強さにやられ、サツキは目を押さえた。すると、ユラが即座に回復をしてくれた。
「多いな」
ユラがボソリと言った。その言葉に、サツキは前方を確認すべく目をしっかりと開けてみる。すると、子蜘蛛のおおよそ半分は太陽の石となっていたが、残り半分は、何と母親の盾になっているではないか。
黒雲が去ったと分かったのだろう、子蜘蛛達が親蜘蛛から離れ、ジリジリとこちらに距離を縮めていく。親蜘蛛は、どうやら後退して行っている様だ。
「ユラ! 親蜘蛛が逃げちゃいそうだよ!」
サツキがユラを振り返ると、ユラが頷いた。
「だが前のこいつらを何とかしねえと駄目だな……サツキ、アンファンフロストだ!」
「分かった!」
サツキはどんどんカサカサと近付いて来る子蜘蛛の大群に目を向けると、ぎゅっとユラの手を握った。大丈夫、集中してサツキ。
ユラが強く握り返したその直後、サツキは集中力を高めつつ、声高に唱えた。
「アンファンフロスト!!」
辺りがふ、と暗くなった。
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