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第三章 上級編開始
第422話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン・フルミネシュトルム
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その光景は、まるで嵐の中を飛んでいるかの様に感じた。
「やっぱりサツキが唱えると迫力が違うなー」
ユラが目の上に手を翳して、呑気に言った。
「魔石の所為もあるんじゃない?」
「あ、それもあるか。にしてもやっぱ規模がでかいよ」
「そういうものなんだ」
「そういうものなんだよ」
バリバリバリ!! と物凄い音を立てて辺りが一瞬真っ白に染まった後、ふ、と雷雲が消え、視界が元に戻った。大蜘蛛の姿はどこにもなく、代わりに落ちていたのは赤いキラキラとした丸い石の様な物だった。それがジャラジャラ転がっている。
ユラがそれに近づき翳して見た。目を近付けたり遠ざけたりして確認している様だ。そしてウルスラを振り返った。
「ウルスラ、これ売れるんじゃねえか? ファイヤースパイダーの目って確か宝石として高値で売れなかったか?」
するとウルスラが猛スピードで走ってくると、地面に落ちている赤い物を掻き集めつつサツキを嬉々とした顔で見上げた。
「でかしたわサツキ! これは通称太陽の石! 冷え性の女性に大人気の石よ!」
「冷え性」
「アイスの魔法や剣だと落とさないアイテムだったみたいね!」
「雷効果がもしかしたら影響してるのかもしれねえなあ」
ユラが言った。ウルスラが人差し指をユラに向けた。
「きっとそれよ!」
「水はどうなんだろうな? でもこれだけ複数で出てくるなら、フルミネ連発よりもフルミネシュトロムの方が効率は良さそうだけど」
ユラはそう言うと、じいっとサツキを見つめ始めた。きっとあれだ、魔力残量を見ているのだろう。暫くすると、ユラが頷いて言った。
「まだまだあるな。回復はぎりぎりでやれば、温泉階までこの調子でいけるかもしれない」
「よーし! バンバンゲットするわよサツキ! ほらアール! 拾うのを手伝って!」
「はーい!」
ウルスラは鞄から瓶を取り出すと、アールと手分けして瓶に詰め出した。
それを眺めていたユラが、目を擦りながらサツキにぴったりくっついているユラなラムに話しかけた。
「そこ近い。――今サツキがやってみせたのが嵐ってやつだ。どうだ、あれで感覚は掴めたか?」
「うーん、多分」
「お前が戦力になるとサツキが楽になるからな、頑張れよ」
「――うん!!」
ユラなラムがキラキラと目を輝かせて満面の笑みを見せた。うおおお。新鮮、可愛い! サツキは興奮した。ユラは頷いたラムを見て頷くと、サツキに言った。
「ほら、さっさとイルミナ・フィンを掛けろよ」
「え? だって折角お喋り出来る様になったのに」
「俺の姿でベタベタしやがって、俺が嫌なんだよ」
「じゃあ見なきゃいいじゃない」
「そういう問題じゃねえよ。ほら早く。俺がイルミナ・フィンを掛けるとおかしなことになるかもだぞ」
サツキとラムは顔を見合わせると、名残を惜しむ様に手を繋いだ。
「また今度話そうね、ラムちゃん」
「うん!」
「いいから」
「分かったってば。イルミナ・フィン!」
サツキが呪文を唱えると、朗らかなユラの姿は消え失せ、いつものラムがそこに立っていたのだった。
「やっぱりサツキが唱えると迫力が違うなー」
ユラが目の上に手を翳して、呑気に言った。
「魔石の所為もあるんじゃない?」
「あ、それもあるか。にしてもやっぱ規模がでかいよ」
「そういうものなんだ」
「そういうものなんだよ」
バリバリバリ!! と物凄い音を立てて辺りが一瞬真っ白に染まった後、ふ、と雷雲が消え、視界が元に戻った。大蜘蛛の姿はどこにもなく、代わりに落ちていたのは赤いキラキラとした丸い石の様な物だった。それがジャラジャラ転がっている。
ユラがそれに近づき翳して見た。目を近付けたり遠ざけたりして確認している様だ。そしてウルスラを振り返った。
「ウルスラ、これ売れるんじゃねえか? ファイヤースパイダーの目って確か宝石として高値で売れなかったか?」
するとウルスラが猛スピードで走ってくると、地面に落ちている赤い物を掻き集めつつサツキを嬉々とした顔で見上げた。
「でかしたわサツキ! これは通称太陽の石! 冷え性の女性に大人気の石よ!」
「冷え性」
「アイスの魔法や剣だと落とさないアイテムだったみたいね!」
「雷効果がもしかしたら影響してるのかもしれねえなあ」
ユラが言った。ウルスラが人差し指をユラに向けた。
「きっとそれよ!」
「水はどうなんだろうな? でもこれだけ複数で出てくるなら、フルミネ連発よりもフルミネシュトロムの方が効率は良さそうだけど」
ユラはそう言うと、じいっとサツキを見つめ始めた。きっとあれだ、魔力残量を見ているのだろう。暫くすると、ユラが頷いて言った。
「まだまだあるな。回復はぎりぎりでやれば、温泉階までこの調子でいけるかもしれない」
「よーし! バンバンゲットするわよサツキ! ほらアール! 拾うのを手伝って!」
「はーい!」
ウルスラは鞄から瓶を取り出すと、アールと手分けして瓶に詰め出した。
それを眺めていたユラが、目を擦りながらサツキにぴったりくっついているユラなラムに話しかけた。
「そこ近い。――今サツキがやってみせたのが嵐ってやつだ。どうだ、あれで感覚は掴めたか?」
「うーん、多分」
「お前が戦力になるとサツキが楽になるからな、頑張れよ」
「――うん!!」
ユラなラムがキラキラと目を輝かせて満面の笑みを見せた。うおおお。新鮮、可愛い! サツキは興奮した。ユラは頷いたラムを見て頷くと、サツキに言った。
「ほら、さっさとイルミナ・フィンを掛けろよ」
「え? だって折角お喋り出来る様になったのに」
「俺の姿でベタベタしやがって、俺が嫌なんだよ」
「じゃあ見なきゃいいじゃない」
「そういう問題じゃねえよ。ほら早く。俺がイルミナ・フィンを掛けるとおかしなことになるかもだぞ」
サツキとラムは顔を見合わせると、名残を惜しむ様に手を繋いだ。
「また今度話そうね、ラムちゃん」
「うん!」
「いいから」
「分かったってば。イルミナ・フィン!」
サツキが呪文を唱えると、朗らかなユラの姿は消え失せ、いつものラムがそこに立っていたのだった。
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