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第三章 上級編開始
第417話 魔術師リアムの上級編初日の就寝
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言葉通り、祐介はすぐに来た。成程、こういって準備が出来たら呼び出せばいいのであれば、電話というものも使い様によっては便利なものだと思った。
「えーと、こんばんは」
祐介が、目を泳がせながら入ってきた。明日の服らしき着替えも一式持ってきていて、準備のいいことだ。
「祐介、頭が冷えてきてしまったのだ、早めに頼む」
「あ、うん。ごめんね待たせちゃって」
「いや、元はといえば私が自分で出来ないのが問題なのだが」
「これは僕の仕事だから取らないで」
祐介はそう言うとベッドの上に腰掛け、床に座ったリアムを膝の間に挟んだ。ドライヤーの電源が入り、温かい風が冷えていた頭皮を温めていく。祐介が指を髪の間に入れ梳く瞬間が、リアムは堪らなく好きだった。
「溶けてしまいそうな位気持ちいいぞ」
「僕も溶けそう」
「何故祐介が溶けるのだ」
「さあ何ででしょう」
「さっぱり分からん」
祐介はドライヤーをかけることに快感を覚える種類の人間なのだろうか。そして不意に思った。
「祐介、手は洗ったか?」
「……普通聞く? そういうこと」
「いや、あまりにもすぐに来たので洗ったのかどうかが気になり」
「洗いましたよ」
「安心した」
「人を何だと思ってんの」
「いや、だから禁欲がな」
「禁欲の話はもういいって。こうやって自分で何とかしてるから」
「……それは失礼した」
祐介が苦笑しつつ言った。何だか逆に気を使わせてしまった様だ。確かにこの話は敏感な話である。あまりしつこく言うのも失礼なのかもしれないので、この辺りで止めた方がよさそうではあった。
「はい、出来上がり」
「もう終わってしまったのか」
「はは、本当に好きだね、これ」
「好きだぞ」
「僕も好き」
祐介はドライヤーをテーブルの上に置くと、リアムを背後から抱き締めた。いつもの髪の毛の匂いを確認する時間なのだろう。
「僕も、大好きだよ」
リアムの髪に顔を埋めた祐介が、言った。その瞬間、リアムの心臓がどくん! と跳ね上がり、明らかに鼓動の速度が上がった。いかん、これではドキドキしてしまっていることがばれるではないか! リアムは焦った。
「は、ははは、祐介はシャンプーの匂いが本当に好きだな!」
「うん」
「そろそろ、ね、寝ようと思うのだが」
「うん、寝ようか」
「で、では、先に祐介が横になれ!」
「サツキちゃん大丈夫? 挙動不審だよ。まあいつも割とそうか」
「何か言ったか」
「すみません何でもないです」
祐介はクス、と笑うと、ベッドの奥に移動していった。リアムはテレビの電源を切り、照明を暗くして祐介を振り返ると、にこにこして腕を広げて待っている祐介がいた。
「ほら、おいで」
好きな男が腕を広げておいでと言っているのに、行かない理由があろうか。来いと言われているのだ、行かなければ魔術師の名も廃るに違いない。
だから、リアムは祐介の胸に飛び込んだ。祐介は、そんなリアムを優しく抱き止めてくれる。
一生、ここにいたい。
そう願いながら、リアムは静かに目を瞑った。
「えーと、こんばんは」
祐介が、目を泳がせながら入ってきた。明日の服らしき着替えも一式持ってきていて、準備のいいことだ。
「祐介、頭が冷えてきてしまったのだ、早めに頼む」
「あ、うん。ごめんね待たせちゃって」
「いや、元はといえば私が自分で出来ないのが問題なのだが」
「これは僕の仕事だから取らないで」
祐介はそう言うとベッドの上に腰掛け、床に座ったリアムを膝の間に挟んだ。ドライヤーの電源が入り、温かい風が冷えていた頭皮を温めていく。祐介が指を髪の間に入れ梳く瞬間が、リアムは堪らなく好きだった。
「溶けてしまいそうな位気持ちいいぞ」
「僕も溶けそう」
「何故祐介が溶けるのだ」
「さあ何ででしょう」
「さっぱり分からん」
祐介はドライヤーをかけることに快感を覚える種類の人間なのだろうか。そして不意に思った。
「祐介、手は洗ったか?」
「……普通聞く? そういうこと」
「いや、あまりにもすぐに来たので洗ったのかどうかが気になり」
「洗いましたよ」
「安心した」
「人を何だと思ってんの」
「いや、だから禁欲がな」
「禁欲の話はもういいって。こうやって自分で何とかしてるから」
「……それは失礼した」
祐介が苦笑しつつ言った。何だか逆に気を使わせてしまった様だ。確かにこの話は敏感な話である。あまりしつこく言うのも失礼なのかもしれないので、この辺りで止めた方がよさそうではあった。
「はい、出来上がり」
「もう終わってしまったのか」
「はは、本当に好きだね、これ」
「好きだぞ」
「僕も好き」
祐介はドライヤーをテーブルの上に置くと、リアムを背後から抱き締めた。いつもの髪の毛の匂いを確認する時間なのだろう。
「僕も、大好きだよ」
リアムの髪に顔を埋めた祐介が、言った。その瞬間、リアムの心臓がどくん! と跳ね上がり、明らかに鼓動の速度が上がった。いかん、これではドキドキしてしまっていることがばれるではないか! リアムは焦った。
「は、ははは、祐介はシャンプーの匂いが本当に好きだな!」
「うん」
「そろそろ、ね、寝ようと思うのだが」
「うん、寝ようか」
「で、では、先に祐介が横になれ!」
「サツキちゃん大丈夫? 挙動不審だよ。まあいつも割とそうか」
「何か言ったか」
「すみません何でもないです」
祐介はクス、と笑うと、ベッドの奥に移動していった。リアムはテレビの電源を切り、照明を暗くして祐介を振り返ると、にこにこして腕を広げて待っている祐介がいた。
「ほら、おいで」
好きな男が腕を広げておいでと言っているのに、行かない理由があろうか。来いと言われているのだ、行かなければ魔術師の名も廃るに違いない。
だから、リアムは祐介の胸に飛び込んだ。祐介は、そんなリアムを優しく抱き止めてくれる。
一生、ここにいたい。
そう願いながら、リアムは静かに目を瞑った。
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