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第三章 上級編開始
第404話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョンでの諍い
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ファイヤーゴーストの火種は、パーティーのリーダーであるウルスラが保管することになった。火種入りの瓶を受け取る際、ウルスラはユラの腕を見て顔を顰めた。
「こんな採取方法しかなかったの?」
ユラの腕にはもう火傷の跡は残ってはいないが、黒焦げた煤の様な物は残ってこびりついていた。これも元はユラの皮膚だと思うと、サツキもゾッとしてしまった。ファイヤーゴーストの体内に手を突っ込んでいる限り、常に燃やされ激痛が走る状態だった筈なのに、何でこの人はそれでも先にサツキにキスをしたんだろうか。
余程キスが好きなのに違いない、というのがサツキの結論だった。
「他の採取方法もあるかもしれないけど、俺はこれしか知らない」
ユラがあっさりとウルスラにそう回答をした。だがウルスラはまだ言い足りないらしい。
「だったらやる前に言ってよ」
「言ったら止めろって言ってただろ? 特にサツキが」
ユラがそう言うとサツキを見下ろした。いきなり自分の話題が出て来た。
「え? 私?」
「そう、お前だ。現に止めようとしただろ」
「止めようと……した、ね」
火傷するから離れてと言った。確かに言った。だが、こんな状況だったら誰でも止めるんじゃないか? サツキは少し足掻いてみる。
「言ってくれたら止めなかったかもよ」
「いーや。お前は絶対止める。で、自分がやるとか言い出すに決まってる」
「え? 言わないよ、そんな痛そうなの」
「よく言うぜ。あの時だって、結局お前は自分に注意を向けようとしてたじゃねえか」
ユラが言った。ウルスラの前で。ウルスラの片眉が上がった。
「あの時って、何?」
あの時。シーフに狙われたラムを逃がす為に注意を自分に向けた時の話だ。そしてこの話は面倒なので、ウルスラ達にはしていない。
すると、ユラが何でもないことの様にいつもの表情でさらっと返した。
「ちょっとしたバトルがあったんだよ。その時の話だ」
「何、ちょっとしたバトルって。いつあったの、そんなの」
「大したことはねえ、気にすんな」
「ちょっと、言いなさいよ」
「うっせえよゴリラ女」
「なんですってえ!!」
「うっせえもんはうっせえんだよ! 俺とサツキの問題だ、放っておけばいいだろうが!」
「何であんたはすぐにそうやってどうでもいいことを隠そうとするのよ!」
「どうでもいいことなら知らなくていいだろうが!」
「ああもう! 腹立つわこの男!」
ウルスラが怒ってユラに詰め寄る。サツキはどうしたらいいだろうかと辺りを見回すと、アールがにこにこして須藤さんを持ち上げた。おお、アール、ちゃんと心得てるじゃないの。
アールが須藤さんをさっと二人の足元に置くと、須藤さんがぴょんぴょんし始め、空中で一回転した。この一回転は一体どういう意味があるんだろう。気合いだろうか。
キラキラ、と緑の光が降ってきたかと思うと、二人の喧嘩が止んだ。すると。
須藤さんの身体がぱあっと光り始めた。アールがサツキの肩を掴んでがくがく振る。
「サツキ! これってもしかしてあれじゃねえか!?」
「レベルアップっぽいね!」
ガクンガクンいいながらサツキが返答すると、一同は固唾を呑んで須藤さんの光が落ち着くのを見守った。
「こんな採取方法しかなかったの?」
ユラの腕にはもう火傷の跡は残ってはいないが、黒焦げた煤の様な物は残ってこびりついていた。これも元はユラの皮膚だと思うと、サツキもゾッとしてしまった。ファイヤーゴーストの体内に手を突っ込んでいる限り、常に燃やされ激痛が走る状態だった筈なのに、何でこの人はそれでも先にサツキにキスをしたんだろうか。
余程キスが好きなのに違いない、というのがサツキの結論だった。
「他の採取方法もあるかもしれないけど、俺はこれしか知らない」
ユラがあっさりとウルスラにそう回答をした。だがウルスラはまだ言い足りないらしい。
「だったらやる前に言ってよ」
「言ったら止めろって言ってただろ? 特にサツキが」
ユラがそう言うとサツキを見下ろした。いきなり自分の話題が出て来た。
「え? 私?」
「そう、お前だ。現に止めようとしただろ」
「止めようと……した、ね」
火傷するから離れてと言った。確かに言った。だが、こんな状況だったら誰でも止めるんじゃないか? サツキは少し足掻いてみる。
「言ってくれたら止めなかったかもよ」
「いーや。お前は絶対止める。で、自分がやるとか言い出すに決まってる」
「え? 言わないよ、そんな痛そうなの」
「よく言うぜ。あの時だって、結局お前は自分に注意を向けようとしてたじゃねえか」
ユラが言った。ウルスラの前で。ウルスラの片眉が上がった。
「あの時って、何?」
あの時。シーフに狙われたラムを逃がす為に注意を自分に向けた時の話だ。そしてこの話は面倒なので、ウルスラ達にはしていない。
すると、ユラが何でもないことの様にいつもの表情でさらっと返した。
「ちょっとしたバトルがあったんだよ。その時の話だ」
「何、ちょっとしたバトルって。いつあったの、そんなの」
「大したことはねえ、気にすんな」
「ちょっと、言いなさいよ」
「うっせえよゴリラ女」
「なんですってえ!!」
「うっせえもんはうっせえんだよ! 俺とサツキの問題だ、放っておけばいいだろうが!」
「何であんたはすぐにそうやってどうでもいいことを隠そうとするのよ!」
「どうでもいいことなら知らなくていいだろうが!」
「ああもう! 腹立つわこの男!」
ウルスラが怒ってユラに詰め寄る。サツキはどうしたらいいだろうかと辺りを見回すと、アールがにこにこして須藤さんを持ち上げた。おお、アール、ちゃんと心得てるじゃないの。
アールが須藤さんをさっと二人の足元に置くと、須藤さんがぴょんぴょんし始め、空中で一回転した。この一回転は一体どういう意味があるんだろう。気合いだろうか。
キラキラ、と緑の光が降ってきたかと思うと、二人の喧嘩が止んだ。すると。
須藤さんの身体がぱあっと光り始めた。アールがサツキの肩を掴んでがくがく振る。
「サツキ! これってもしかしてあれじゃねえか!?」
「レベルアップっぽいね!」
ガクンガクンいいながらサツキが返答すると、一同は固唾を呑んで須藤さんの光が落ち着くのを見守った。
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