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第三章 上級編開始
第403話 魔術師リアムの上級編初日の至れり尽くせり
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電話を切った祐介が、薬局のビニール袋を更にガサゴソと漁り出した。
「顔を洗うのも辛いと思って、化粧落としのシートも買ってきたよ」
確かに顔には化粧が張り付いている感覚はあった。ファンデーションは塗っていないが、日焼け止めとパウダーなるものは塗っているので、皮膚に蓋をされた感じである。
「それはどうやって使うのだ?」
リアムが起き上がろうとすると、祐介がリアムの肩を押さえ戻した。
「僕がやる」
そう言うと、少し硬そうな袋の中から濡れたティッシュの様な物を取り出してリアムの顔に近付けた。
「目を瞑ってて」
「いや、しかしだな、これ位は」
「具合悪いでしょ。いいから大人しくしてて」
ピシャ、と言われてしまい、リアムは黙って目を瞑ることにした。祐介がこう言い出したらもうやらせるまで譲らないのは、分かっていた。
シートと祐介が呼んだ物がリアムの肌に触れると、思ったよりも冷たくてビクッとなってしまった。
「すぐ終わるから」
そう言うと、丁寧に拭き始める。特に目の辺りはしっかり目に対処していた様だ。
「あと化粧水と乳液を塗ります」
今度はコットンパフを持ってくると、トントンと塗り始める。気持ちはいい。気持ちはいいが、何故祐介はここまで奉仕してくれているのだろうか。どうしてリアムをここまで気にかけてくれるのだろう。これでは、期待してしまうではないか。早く祐介から顔を隠したかった。どんな感情が顔に出てしまうか分からなかったから。
祐介が乳液を付け、手のひらでしっかりと押さえてきた。もう目を開けていいだろうか。もうそろそろ限界だった。リアムが様子を窺いながら目を開けようとした、その時。
祐介の、これは親指だろうか。それが、リアムの下唇をなぞった。途端、ぞわりとした感覚がリアムを襲う。何故唇に触れているのだ。どうしてそんなに優しく触っているのだ。これはあれだ、目を開けていいものなのか? それとも止めた方がいいのだろうか?
リアムは悩んだ。悩んだ結果、目を開けずに祐介の名を呼ぶことにした。
「祐介、終わったか?」
「……うん」
「もう目は開けていいか?」
「うーん、どうしようかな」
「それはどういう意味だ」
「まだ夕飯の時間までは少しあるし、温めてあげるよ。お腹を温めるといいんだって」
「え?」
リアムは思わず目を開けた。すると、思わぬ近距離に祐介の顔があった為、心臓がどくん! と飛び跳ねた。サツキの心臓は頑丈なのだろうか。このままこういった使い方をしてもつのだろうか、と少し不安になった。
祐介が、リアムのすぐ目の前でにっこりした。
「その内薬も効くと思うから」
祐介はそう言うと、立ち上がりリアムを跨いでベッドの壁際に行ったかと思うと、毛布を剥いで横になってしまった。
「え?」
「ほら頭上げて、腕に乗って」
「え? あ、ああ」
訳も分からぬまま祐介の腕に頭を乗せると、ふわりと毛布が掛けられ、祐介が背後から身体をぴったりとくっつけてきた。そして。
「どっどこを触っておる!」
祐介の温かい手が、リアムの下腹部に伸びてきたのだ。これはいくらなんでも拙いだろう。
「ここ冷たいよ。言ったでしょ、温めてあげるって。人肌が一番いいみたいだし。木佐さん情報」
祐介はそう言うと、上側の腕もリアムに巻きつけたのだった。
「顔を洗うのも辛いと思って、化粧落としのシートも買ってきたよ」
確かに顔には化粧が張り付いている感覚はあった。ファンデーションは塗っていないが、日焼け止めとパウダーなるものは塗っているので、皮膚に蓋をされた感じである。
「それはどうやって使うのだ?」
リアムが起き上がろうとすると、祐介がリアムの肩を押さえ戻した。
「僕がやる」
そう言うと、少し硬そうな袋の中から濡れたティッシュの様な物を取り出してリアムの顔に近付けた。
「目を瞑ってて」
「いや、しかしだな、これ位は」
「具合悪いでしょ。いいから大人しくしてて」
ピシャ、と言われてしまい、リアムは黙って目を瞑ることにした。祐介がこう言い出したらもうやらせるまで譲らないのは、分かっていた。
シートと祐介が呼んだ物がリアムの肌に触れると、思ったよりも冷たくてビクッとなってしまった。
「すぐ終わるから」
そう言うと、丁寧に拭き始める。特に目の辺りはしっかり目に対処していた様だ。
「あと化粧水と乳液を塗ります」
今度はコットンパフを持ってくると、トントンと塗り始める。気持ちはいい。気持ちはいいが、何故祐介はここまで奉仕してくれているのだろうか。どうしてリアムをここまで気にかけてくれるのだろう。これでは、期待してしまうではないか。早く祐介から顔を隠したかった。どんな感情が顔に出てしまうか分からなかったから。
祐介が乳液を付け、手のひらでしっかりと押さえてきた。もう目を開けていいだろうか。もうそろそろ限界だった。リアムが様子を窺いながら目を開けようとした、その時。
祐介の、これは親指だろうか。それが、リアムの下唇をなぞった。途端、ぞわりとした感覚がリアムを襲う。何故唇に触れているのだ。どうしてそんなに優しく触っているのだ。これはあれだ、目を開けていいものなのか? それとも止めた方がいいのだろうか?
リアムは悩んだ。悩んだ結果、目を開けずに祐介の名を呼ぶことにした。
「祐介、終わったか?」
「……うん」
「もう目は開けていいか?」
「うーん、どうしようかな」
「それはどういう意味だ」
「まだ夕飯の時間までは少しあるし、温めてあげるよ。お腹を温めるといいんだって」
「え?」
リアムは思わず目を開けた。すると、思わぬ近距離に祐介の顔があった為、心臓がどくん! と飛び跳ねた。サツキの心臓は頑丈なのだろうか。このままこういった使い方をしてもつのだろうか、と少し不安になった。
祐介が、リアムのすぐ目の前でにっこりした。
「その内薬も効くと思うから」
祐介はそう言うと、立ち上がりリアムを跨いでベッドの壁際に行ったかと思うと、毛布を剥いで横になってしまった。
「え?」
「ほら頭上げて、腕に乗って」
「え? あ、ああ」
訳も分からぬまま祐介の腕に頭を乗せると、ふわりと毛布が掛けられ、祐介が背後から身体をぴったりとくっつけてきた。そして。
「どっどこを触っておる!」
祐介の温かい手が、リアムの下腹部に伸びてきたのだ。これはいくらなんでも拙いだろう。
「ここ冷たいよ。言ったでしょ、温めてあげるって。人肌が一番いいみたいだし。木佐さん情報」
祐介はそう言うと、上側の腕もリアムに巻きつけたのだった。
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