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第三章 上級編開始
第370話 OLサツキの上級編はいきなりのハードモード
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サツキからユラにキスをする。どう考えても無理難題だ。サツキにはハードルが高過ぎる。
「いや、無理」
なので、断った。例え今、手を掴まれユラの上に乗った状態で、気付けばいつの間にか腰に手を回され逃げられない様に拘束されてしまっているとしても。
「じゃあ離さないし起きない」
ユラの口が尖る。
「ユラ、駄々っ子じゃないんだから」
「寝起きだから駄々っ子でいいんだよ」
「何その自由過ぎる発想は」
「俺らしいだろ?」
そう言いながら、サツキを上へと引き寄せる。顔が目の前に来てしまった。早くしろ、ということらしいが、まず無理だ。無理無理。
だがユラは諦める気はないらしかった。
「ほら、俺の腹が減ってきた」
とんでもない理由を口にした。
「別に今、安定してると思うんだけど」
「じゃあ胸触っていいか?」
「やります、やらせて下さい」
ユラは相手は誰でもいいのだろう。そして多分、キスは好きなのに違いない。どうも見た感じ、嫌でやっている感は一切感じられないから、単純にキスが好きだから丁度いい理由を持っているサツキが横にいて、しまくっている。それだけだ。きっと。
「ほら、俺の腹がもう限界だ」
「分かった、分かったけど、勇気が」
「頑張れ」
何故励まされながらこんなことをしなければならないのか。違和感を全身で感じながらも、サツキはもう半ばやけっぱちで勢い任せにユラの口に軽く触れた。もうこれでいいだろう、解放して欲しい、そう思って起き上がろうとすると。
ユラが、両手でサツキの頬をガッと押さえた。いや、何してるんだこの人。
「やったな、サツキ。出来たじゃないか」
「褒められることかな?」
「自信をつける第一歩は羞恥からの脱却だぞ」
「ごめん言ってる意味分かんない」
「つまり、俺は今最高に嬉しいってことだ」
「何でユラが嬉しい……むぐ」
ユラがサツキの顔を押さえたまま、貪る様にサツキの唇を奪った。繰り返し、何度も何度も。
もう半ば溶けそうになってしまい、気付けばひっくり返されユラが上に乗っていた。さり気なくサツキの足の間に足を入れてきてるのに気付いた。いやいやいや、さすがにこの体勢は拙くないか。そして何か固いものが当たってる気がするんですが、嘘ですよねユラさん。
サツキを、焦りの感情が襲った。このままでは、さすがに拙い。というか、朝から何やってんだこの人。夜ならいいという訳でもないが、それにしたってこれからダンジョンに潜るというのに。
ユラが物欲しそうな、実に色っぽい顔をして聞いた。
「襲っていい?」
「いや駄目に決まってるでしょ」
「さっきのサツキの勇気があればきっといけると思うんだよな」
「もうあれは売り切れです」
「じゃあ胸触っていい?」
それじゃ、胸を触るか襲われるかの二択じゃないか。
「いや、無理」
「ちっ騙されねえか」
危なかった。やっぱりそのつもりだったみたいだ。
「お腹空いたんでしょ、朝ご飯食べよう」
平静を装って、言った。すると、ユラがくしゃ、と笑った。ああもう、この顔は卑怯だ。
ユラが名残惜しそうに起き上がると、サツキに手を貸して起こしてくれた。
「そうだな、続きはまた今度にしような」
やっぱりこいつは危険だ。サツキは頭が痛くなった。
「いや、無理」
なので、断った。例え今、手を掴まれユラの上に乗った状態で、気付けばいつの間にか腰に手を回され逃げられない様に拘束されてしまっているとしても。
「じゃあ離さないし起きない」
ユラの口が尖る。
「ユラ、駄々っ子じゃないんだから」
「寝起きだから駄々っ子でいいんだよ」
「何その自由過ぎる発想は」
「俺らしいだろ?」
そう言いながら、サツキを上へと引き寄せる。顔が目の前に来てしまった。早くしろ、ということらしいが、まず無理だ。無理無理。
だがユラは諦める気はないらしかった。
「ほら、俺の腹が減ってきた」
とんでもない理由を口にした。
「別に今、安定してると思うんだけど」
「じゃあ胸触っていいか?」
「やります、やらせて下さい」
ユラは相手は誰でもいいのだろう。そして多分、キスは好きなのに違いない。どうも見た感じ、嫌でやっている感は一切感じられないから、単純にキスが好きだから丁度いい理由を持っているサツキが横にいて、しまくっている。それだけだ。きっと。
「ほら、俺の腹がもう限界だ」
「分かった、分かったけど、勇気が」
「頑張れ」
何故励まされながらこんなことをしなければならないのか。違和感を全身で感じながらも、サツキはもう半ばやけっぱちで勢い任せにユラの口に軽く触れた。もうこれでいいだろう、解放して欲しい、そう思って起き上がろうとすると。
ユラが、両手でサツキの頬をガッと押さえた。いや、何してるんだこの人。
「やったな、サツキ。出来たじゃないか」
「褒められることかな?」
「自信をつける第一歩は羞恥からの脱却だぞ」
「ごめん言ってる意味分かんない」
「つまり、俺は今最高に嬉しいってことだ」
「何でユラが嬉しい……むぐ」
ユラがサツキの顔を押さえたまま、貪る様にサツキの唇を奪った。繰り返し、何度も何度も。
もう半ば溶けそうになってしまい、気付けばひっくり返されユラが上に乗っていた。さり気なくサツキの足の間に足を入れてきてるのに気付いた。いやいやいや、さすがにこの体勢は拙くないか。そして何か固いものが当たってる気がするんですが、嘘ですよねユラさん。
サツキを、焦りの感情が襲った。このままでは、さすがに拙い。というか、朝から何やってんだこの人。夜ならいいという訳でもないが、それにしたってこれからダンジョンに潜るというのに。
ユラが物欲しそうな、実に色っぽい顔をして聞いた。
「襲っていい?」
「いや駄目に決まってるでしょ」
「さっきのサツキの勇気があればきっといけると思うんだよな」
「もうあれは売り切れです」
「じゃあ胸触っていい?」
それじゃ、胸を触るか襲われるかの二択じゃないか。
「いや、無理」
「ちっ騙されねえか」
危なかった。やっぱりそのつもりだったみたいだ。
「お腹空いたんでしょ、朝ご飯食べよう」
平静を装って、言った。すると、ユラがくしゃ、と笑った。ああもう、この顔は卑怯だ。
ユラが名残惜しそうに起き上がると、サツキに手を貸して起こしてくれた。
「そうだな、続きはまた今度にしような」
やっぱりこいつは危険だ。サツキは頭が痛くなった。
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