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第二章 中級編開始
第358話 OLサツキの中級編四日目、ユラの家へ
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以前ユラがやってみせた様な、身体の大きさを変える魔法を使う人用の防護服を買うことになった。なんでユラは平気だったのかと聞くと、「想像力の違い」と返ってきた。
伸縮性があり、やや身体にぴったりと張り付く感じがするが、魔術師っぽいシンプルな黒のワンピースだ。膝下までの長さがあり、なんとスライムを糸状に練った物を編み合わせた生地で出来ているとのことだった。スライムの汎用性、恐るべしである。
こちらも伸縮性のある黒いブーツと、更には下着も伸縮性のある物を購入した。余程小さいものに変身しない限りは落ちることはないという吸着性があるそうだが、水に弱いので洗濯は軽く絞ったタオルで拭いて下さいとのことだった。
「水に浸けるとどうなるの?」
「溶ける」
ユラの答えはシンプルだった。
「……汗かいても大丈夫?」
「その程度は大丈夫って書いてあったぞ」
ならよかった。とりあえず間違って水の中に落ちない限りは、まあ大丈夫ということだ。
サツキ、ユラとラムの三人は、今度はユラの家に向かっていた。相変わらずユラとラムは仲直りする気がないらしく、サツキは二人に手を繋がれ挟まれて、まるで連行されている犯人みたいだな、と思ってしまった。
「あのー、そろそろ仲直りしてくれると有り難いんだけど」
「別に喧嘩はしてねえよ」
ユラがそう言うと、ラムもこくこくと頷いた。
「じゃあこの状態は何?」
「俺達は分け合うことにしたんだ」
「は?」
ユラの言葉に、またラムがこくこくと頷いた。何だこの二人。いつの間に仲直りして、いつの間に何かの協定を結んだんだろう。
「だからサツキは安心して自信を持て」
「は?」
「分かんねえか?」
「ごめん、だからの意味がさっぱり分からない」
「……はあ」
「溜息つかないでくれる?」
「いや、道のりは長いな、と思っただけだ、心配するな」
「別に心配はしてない」
「つれねえなあ」
そう言うと、ユラが小さく笑った。そうこう言っている間に、ユラの家に辿り着き、ユラが鍵を開ける。別に手は離してくれていいんだけど、と思って引っ張ったが、抜けなかった。
先日一晩素っ裸で寝かせてもらったベッドの前まで来ると、ようやくユラが手を離した。やれやれだ。離れてしまって少しがっかり、なんてしてない。してないしてない。
「座って待ってて」
「うん」
すると、ユラが何とも言えない嬉しそうな顔をして人を見下ろした。
「……なにその顔」
「俺が離れて寂しいか?」
「いえ、全然」
「嘘つけ」
勿論、嘘です、なんて言える訳はない。そんな勇気があったら、今まできっと一人や二人は彼氏という存在が出来ていたかもしれない。もしかしたらだが。
「……押し倒していい?」
物欲しそうな顔で言われた。誰でもいいのか。
「駄目に決まってるでしょ」
「ちっ流されねえか」
「人を何だと思ってるの。ほら、支度してよ」
「本当つれねえの」
内心どっきどきだったが、ポーカーフェィスで乗り切った。なんかこの人、どんどんエスカレートしてきている気がするのは気の所為、ではないだろう。
平然とした顔を作って座るサツキを暫く眺めていたユラが、残念そうに言った。
「気が変わったら了承してくれていいんだぞ」
「変わらないから。ほら、支度」
「へいへい」
ユラがようやく支度をしに、奥の部屋へと消えていった。
伸縮性があり、やや身体にぴったりと張り付く感じがするが、魔術師っぽいシンプルな黒のワンピースだ。膝下までの長さがあり、なんとスライムを糸状に練った物を編み合わせた生地で出来ているとのことだった。スライムの汎用性、恐るべしである。
こちらも伸縮性のある黒いブーツと、更には下着も伸縮性のある物を購入した。余程小さいものに変身しない限りは落ちることはないという吸着性があるそうだが、水に弱いので洗濯は軽く絞ったタオルで拭いて下さいとのことだった。
「水に浸けるとどうなるの?」
「溶ける」
ユラの答えはシンプルだった。
「……汗かいても大丈夫?」
「その程度は大丈夫って書いてあったぞ」
ならよかった。とりあえず間違って水の中に落ちない限りは、まあ大丈夫ということだ。
サツキ、ユラとラムの三人は、今度はユラの家に向かっていた。相変わらずユラとラムは仲直りする気がないらしく、サツキは二人に手を繋がれ挟まれて、まるで連行されている犯人みたいだな、と思ってしまった。
「あのー、そろそろ仲直りしてくれると有り難いんだけど」
「別に喧嘩はしてねえよ」
ユラがそう言うと、ラムもこくこくと頷いた。
「じゃあこの状態は何?」
「俺達は分け合うことにしたんだ」
「は?」
ユラの言葉に、またラムがこくこくと頷いた。何だこの二人。いつの間に仲直りして、いつの間に何かの協定を結んだんだろう。
「だからサツキは安心して自信を持て」
「は?」
「分かんねえか?」
「ごめん、だからの意味がさっぱり分からない」
「……はあ」
「溜息つかないでくれる?」
「いや、道のりは長いな、と思っただけだ、心配するな」
「別に心配はしてない」
「つれねえなあ」
そう言うと、ユラが小さく笑った。そうこう言っている間に、ユラの家に辿り着き、ユラが鍵を開ける。別に手は離してくれていいんだけど、と思って引っ張ったが、抜けなかった。
先日一晩素っ裸で寝かせてもらったベッドの前まで来ると、ようやくユラが手を離した。やれやれだ。離れてしまって少しがっかり、なんてしてない。してないしてない。
「座って待ってて」
「うん」
すると、ユラが何とも言えない嬉しそうな顔をして人を見下ろした。
「……なにその顔」
「俺が離れて寂しいか?」
「いえ、全然」
「嘘つけ」
勿論、嘘です、なんて言える訳はない。そんな勇気があったら、今まできっと一人や二人は彼氏という存在が出来ていたかもしれない。もしかしたらだが。
「……押し倒していい?」
物欲しそうな顔で言われた。誰でもいいのか。
「駄目に決まってるでしょ」
「ちっ流されねえか」
「人を何だと思ってるの。ほら、支度してよ」
「本当つれねえの」
内心どっきどきだったが、ポーカーフェィスで乗り切った。なんかこの人、どんどんエスカレートしてきている気がするのは気の所為、ではないだろう。
平然とした顔を作って座るサツキを暫く眺めていたユラが、残念そうに言った。
「気が変わったら了承してくれていいんだぞ」
「変わらないから。ほら、支度」
「へいへい」
ユラがようやく支度をしに、奥の部屋へと消えていった。
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