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第二章 中級編開始
第344話 OLサツキの中級編四日目、帰宅
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ドラちゃんにただいまを言うと、カチ、と鍵が開いた音がした。
「じゃあちょっと急いで着替えつつ変身してくる!」
「おお。早めにな。あ、昼は外で食うか」
「あ、そうだねそうしようか」
「じゃあ夕飯の仕込みしておく」
「え?」
「何だよ文句あるか? ほら、早く行け」
「あ、は、はい」
サツキは急いで寝室のクローゼットに向かうと、買っておいた女物の服と下着を取り出した。
「メタモラ! 野原サツキ!」
ぐぐ、と魔力が減る感覚と共に、身体が変わっていったのが分かった。ぶかぶかになったリアムの服を脱いで畳むと、用意しておいた女物の服を着用する。これが自由自在に想像だけで着用出来る筈なのだろうけど、どうもその想像が出来ない。結局今も裸の変身だった。これでは、へっぽこ僧侶ならぬへっぽこ魔術師だ。変化の魔術師なんていう格好いい二つ名だってあるのに、その変化が裸オンリーじゃあ。
それにしても、とサツキは思う。今日は帰らせるつもりだったのに、あれはもう普通にこの家にいる気でいる。夕飯の仕込みって何してるんだろうか。まあユラのご飯は美味しいから有り難いは有り難いけど、その後ちゃんと帰ってくれるだろうか。
そして胸に引っかかった服を下にぴん! と引っ張って、とんでもないことに気が付いた。これから二十四時間、サツキは女じゃないか。これって拙くないか? あ、でもユラは現在進行系で男が好きかもと言っていたから、じゃあ大丈夫か。
考えても分からない。とりあえずユラだって法衣を取りに行ったりしないといけないだろうし、一度はとにかく家に帰らないといけないのだ。夕飯を食べたら帰ってもらおう、そうしよう。
サツキはその方向で何とかユラに納得させようと考え、さてどう切り出すべきか分からなくなってしまった。
ユラがこの家にいたがる理由は簡単だ。ここがマグノリアの家だからだ。単純明快である。だからそこに他意はない筈なのに、何だってあの人は事あるごとに至近距離まで近づいてきたりキスしたりするんだろうか。
サツキは女だけど身体はリアムというおっさんだ。ユラが男が好きかもと言っていた男ではあるが、中身は女だ。
だから分かっている、ユラはそういうつもりでしているんじゃないってことは。何故か聞いても教えてくれないけど、何か理由があってやっている様なのも。
でも、辛かった。ドキドキするのは、正直アイドルと過ごしているみたいで楽しい。でもその後に襲ってくる虚しさに、心を抉られそうになるのだ。
夢を見るなと。これはお前の物ではない、期待するなという現実が、サツキを突き刺す。
好きになってはいけない。そこにお前の場所はないと、現実が指し示しているから、だから辛い。
つい期待しようとする自分を戒めなければならない現実が、辛かった。
「じゃあちょっと急いで着替えつつ変身してくる!」
「おお。早めにな。あ、昼は外で食うか」
「あ、そうだねそうしようか」
「じゃあ夕飯の仕込みしておく」
「え?」
「何だよ文句あるか? ほら、早く行け」
「あ、は、はい」
サツキは急いで寝室のクローゼットに向かうと、買っておいた女物の服と下着を取り出した。
「メタモラ! 野原サツキ!」
ぐぐ、と魔力が減る感覚と共に、身体が変わっていったのが分かった。ぶかぶかになったリアムの服を脱いで畳むと、用意しておいた女物の服を着用する。これが自由自在に想像だけで着用出来る筈なのだろうけど、どうもその想像が出来ない。結局今も裸の変身だった。これでは、へっぽこ僧侶ならぬへっぽこ魔術師だ。変化の魔術師なんていう格好いい二つ名だってあるのに、その変化が裸オンリーじゃあ。
それにしても、とサツキは思う。今日は帰らせるつもりだったのに、あれはもう普通にこの家にいる気でいる。夕飯の仕込みって何してるんだろうか。まあユラのご飯は美味しいから有り難いは有り難いけど、その後ちゃんと帰ってくれるだろうか。
そして胸に引っかかった服を下にぴん! と引っ張って、とんでもないことに気が付いた。これから二十四時間、サツキは女じゃないか。これって拙くないか? あ、でもユラは現在進行系で男が好きかもと言っていたから、じゃあ大丈夫か。
考えても分からない。とりあえずユラだって法衣を取りに行ったりしないといけないだろうし、一度はとにかく家に帰らないといけないのだ。夕飯を食べたら帰ってもらおう、そうしよう。
サツキはその方向で何とかユラに納得させようと考え、さてどう切り出すべきか分からなくなってしまった。
ユラがこの家にいたがる理由は簡単だ。ここがマグノリアの家だからだ。単純明快である。だからそこに他意はない筈なのに、何だってあの人は事あるごとに至近距離まで近づいてきたりキスしたりするんだろうか。
サツキは女だけど身体はリアムというおっさんだ。ユラが男が好きかもと言っていた男ではあるが、中身は女だ。
だから分かっている、ユラはそういうつもりでしているんじゃないってことは。何故か聞いても教えてくれないけど、何か理由があってやっている様なのも。
でも、辛かった。ドキドキするのは、正直アイドルと過ごしているみたいで楽しい。でもその後に襲ってくる虚しさに、心を抉られそうになるのだ。
夢を見るなと。これはお前の物ではない、期待するなという現実が、サツキを突き刺す。
好きになってはいけない。そこにお前の場所はないと、現実が指し示しているから、だから辛い。
つい期待しようとする自分を戒めなければならない現実が、辛かった。
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