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第二章 中級編開始
第335話 魔術師リアムの中級編五日目、いざ宿へ
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試食していいという塩辛やその他リアムが好きそうな塩っぽいものをあれこれと試した後、二人は駅に戻ると今度は登山鉄道なるものに乗り込んだ。狭い急な斜面に設置された線路をどんどん登っていく。
リアムにとっては、何もかもが初めて見るものだ。迫りくる様な木立ちに花々。始めは興奮しながら窓の外を眺めていたが、不意にくらっとしたので正面に向き直った。車内は空調が効いているが、湿気が多くむっとしている。この湿気の所為であろうか。祐介が、駅の乗り場で貰ってきていた路線のパンフレットで祐介とリアムをパタパタと仰いでいて、少し身体が重く感じていたリアムにはこれは正直ありがたかった。
移動で疲れたのだろうか。朝から色々とあったから、それもあり普段よりも疲れてもいるのかもしれなかった。
ふう、とリアムが息を吐くと、祐介がリアムの顔を覗き込み、少し心配そうな顔をしてきた。祐介の手がリアムのおでこに触れると、思ったよりも温かいそれにリアムは安堵を隠せなかった。知らない間に身体が冷えていた様だった。
「冷たい。顔色もちょっと白くなってるよ、大丈夫?」
「うん……少々疲れたのかもしれない。少し休めば治るだろう」
「ちょっと見せて」
「うん?」
祐介がリアムの下まぶたをべ、と軽く引っ張った。これは一体何をやられているのだろうか。祐介は何を見たのか、顔を顰めている。
「何だ? 意味が分からないのだが」
「べーってした時にここ、目の下の皮膚見えるでしょ?」
「ああ」
「ここが元気だとピンク色してるんだけど、白くなってると貧血気味って聞いたことがあるんだよ」
「貧血……血が足りないということか?」
「うん。さっきからちょっと顔色悪いから見てみたら、やっぱり白くなってる」
「何故だろう? 祐介は知っているか?」
「うーん? 寝不足とか?」
「どちらかというと血が出たのは祐介の方であろう」
鼻血を大量に出したのはまだ今朝の話だ。同じ日の出来事だとは思えない位今の気分は穏やかだったが、あれは確かに僅か数時間前に起きたことだ。
「寄っかかってていいよ。着いたら起こしてあげるから、ちょっと寝てたら?」
祐介がそう言うと腕を上げてリアムの肩に手を回し、祐介の肩にもたれかからせた。
「済まない、そうさせてもらう」
「目、閉じてて」
「うむ」
リアムは素直に目を閉じた。正直、視界が薄い白いモヤがかかっている様だったので、祐介の申し出は有り難かった。それに祐介の身体は温かい。祐介にくっついている内にこれは治るだろう、そんな気がしたリアムだった。
リアムにとっては、何もかもが初めて見るものだ。迫りくる様な木立ちに花々。始めは興奮しながら窓の外を眺めていたが、不意にくらっとしたので正面に向き直った。車内は空調が効いているが、湿気が多くむっとしている。この湿気の所為であろうか。祐介が、駅の乗り場で貰ってきていた路線のパンフレットで祐介とリアムをパタパタと仰いでいて、少し身体が重く感じていたリアムにはこれは正直ありがたかった。
移動で疲れたのだろうか。朝から色々とあったから、それもあり普段よりも疲れてもいるのかもしれなかった。
ふう、とリアムが息を吐くと、祐介がリアムの顔を覗き込み、少し心配そうな顔をしてきた。祐介の手がリアムのおでこに触れると、思ったよりも温かいそれにリアムは安堵を隠せなかった。知らない間に身体が冷えていた様だった。
「冷たい。顔色もちょっと白くなってるよ、大丈夫?」
「うん……少々疲れたのかもしれない。少し休めば治るだろう」
「ちょっと見せて」
「うん?」
祐介がリアムの下まぶたをべ、と軽く引っ張った。これは一体何をやられているのだろうか。祐介は何を見たのか、顔を顰めている。
「何だ? 意味が分からないのだが」
「べーってした時にここ、目の下の皮膚見えるでしょ?」
「ああ」
「ここが元気だとピンク色してるんだけど、白くなってると貧血気味って聞いたことがあるんだよ」
「貧血……血が足りないということか?」
「うん。さっきからちょっと顔色悪いから見てみたら、やっぱり白くなってる」
「何故だろう? 祐介は知っているか?」
「うーん? 寝不足とか?」
「どちらかというと血が出たのは祐介の方であろう」
鼻血を大量に出したのはまだ今朝の話だ。同じ日の出来事だとは思えない位今の気分は穏やかだったが、あれは確かに僅か数時間前に起きたことだ。
「寄っかかってていいよ。着いたら起こしてあげるから、ちょっと寝てたら?」
祐介がそう言うと腕を上げてリアムの肩に手を回し、祐介の肩にもたれかからせた。
「済まない、そうさせてもらう」
「目、閉じてて」
「うむ」
リアムは素直に目を閉じた。正直、視界が薄い白いモヤがかかっている様だったので、祐介の申し出は有り難かった。それに祐介の身体は温かい。祐介にくっついている内にこれは治るだろう、そんな気がしたリアムだった。
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