320 / 731
第二章 中級編開始
第319話 魔術師リアムの中級編五日目の朝食開始
しおりを挟む
例の笑顔に圧がある店に入ると、今回も祐介が注文をしてくれた。
「コーラ頼む?」
「頼まない」
「だよね。じゃあアイスコーヒー?」
「そうだな、こうも暑いとさすがにもうホットコーヒーはきついものがある」
「はいはい」
祐介がにこやかに注文を終わらせると、横に避けて暫し待機する。しかしそろそろ注文も自分で出来る様にならねばと思うのだが、四六時中祐介といるので皆祐介がやってしまう。あまりにも甘やかされている気がして仕方ないが、かといって羽田の件が片付くまでは祐介とは離れられないし離れる気もない。今や危険はリアムにだけではなく、祐介にも迫っていた。
食べ物が乗せられたトレーを受け取ると、リアムを先頭に階段を登って行く。二階を見回すと、いた。にこやかな笑顔の木佐ちゃんと同じくにこにこと人の良さそうな笑みを浮かべた潮崎が四人掛けの席に隣り合わせに座っていた。
「お待たせしました」
祐介が二人に挨拶をすると、潮崎が笑顔で応えた。
「全然大丈夫だよ、まだ来たばかりだったし。逆にごめんね、何か急かしちゃったみたいで。血を落とすのって大変だったんじゃない?」
潮崎はそう言うと、向かいに座った祐介の顔をまじまじと見た。
「あ、でも特に痕は残ってないみたいだね。凄い出血量だったからびっくりしたけど」
「そうですね、僕も血でびっくりしましたけど、思ったよりも平気です」
リアムが見た時は、鼻は青く腫れていた。もしかしたら折れていたかもしれないが、二回のヒールライトで鼻に関してはしっかりと治った様だ。頭もかなり強く打っていた様だが、一回目のヒールライトで回復した感じを見るとあれは軽い脳震盪だったのだと思う。
「あ、食べて食べて。僕達はもう食べ終わったから、僕が勝手に喋ってるから」
「分かりました、すみません。じゃあいただきますね」
「いただきます」
リアムも付け足す様に言ってみた。食べ始めると、身体に力が湧いてくるのが分かった。
潮崎が今回のことを話し始めた。
「野原さん、君はこんなことを聞くとショックを受けちゃうかもしれないけど、羽田さんは君を社長に充てがうつもりだったみたいだね。あの人さっきはっきりとそう言ってたよね?」
リアムはしっかりと頷いた。
「私については心配いらないから大丈夫だ。羽田は確かにそう言っていた。その為に私を犯すつもりだったのもあれではっきりとした」
ゴホッと木佐ちゃんがむせた。顔が赤くなっている。祐介が耳打ちをした。
「サツキちゃん、表現が直接的すぎ」
成程、確かにあまり女子が口に出す様な単語ではなかったかもしれない。だが他の適切な言葉も特に思いつかないので、リアムはそのまま進めることにした。
「写真を撮ったり、映像を撮るとも言っていたな。それを使って脅すと」
「酷いね……」
潮崎が顔を顰めた。リアムは更に続ける。
「だがそれが何の脅しになるのだ? その写真や映像をばら撒いた時点で、あいつの犯罪が証明されるだけではないか」
リアムがそう言うと、潮崎が驚いた顔をした。
「コーラ頼む?」
「頼まない」
「だよね。じゃあアイスコーヒー?」
「そうだな、こうも暑いとさすがにもうホットコーヒーはきついものがある」
「はいはい」
祐介がにこやかに注文を終わらせると、横に避けて暫し待機する。しかしそろそろ注文も自分で出来る様にならねばと思うのだが、四六時中祐介といるので皆祐介がやってしまう。あまりにも甘やかされている気がして仕方ないが、かといって羽田の件が片付くまでは祐介とは離れられないし離れる気もない。今や危険はリアムにだけではなく、祐介にも迫っていた。
食べ物が乗せられたトレーを受け取ると、リアムを先頭に階段を登って行く。二階を見回すと、いた。にこやかな笑顔の木佐ちゃんと同じくにこにこと人の良さそうな笑みを浮かべた潮崎が四人掛けの席に隣り合わせに座っていた。
「お待たせしました」
祐介が二人に挨拶をすると、潮崎が笑顔で応えた。
「全然大丈夫だよ、まだ来たばかりだったし。逆にごめんね、何か急かしちゃったみたいで。血を落とすのって大変だったんじゃない?」
潮崎はそう言うと、向かいに座った祐介の顔をまじまじと見た。
「あ、でも特に痕は残ってないみたいだね。凄い出血量だったからびっくりしたけど」
「そうですね、僕も血でびっくりしましたけど、思ったよりも平気です」
リアムが見た時は、鼻は青く腫れていた。もしかしたら折れていたかもしれないが、二回のヒールライトで鼻に関してはしっかりと治った様だ。頭もかなり強く打っていた様だが、一回目のヒールライトで回復した感じを見るとあれは軽い脳震盪だったのだと思う。
「あ、食べて食べて。僕達はもう食べ終わったから、僕が勝手に喋ってるから」
「分かりました、すみません。じゃあいただきますね」
「いただきます」
リアムも付け足す様に言ってみた。食べ始めると、身体に力が湧いてくるのが分かった。
潮崎が今回のことを話し始めた。
「野原さん、君はこんなことを聞くとショックを受けちゃうかもしれないけど、羽田さんは君を社長に充てがうつもりだったみたいだね。あの人さっきはっきりとそう言ってたよね?」
リアムはしっかりと頷いた。
「私については心配いらないから大丈夫だ。羽田は確かにそう言っていた。その為に私を犯すつもりだったのもあれではっきりとした」
ゴホッと木佐ちゃんがむせた。顔が赤くなっている。祐介が耳打ちをした。
「サツキちゃん、表現が直接的すぎ」
成程、確かにあまり女子が口に出す様な単語ではなかったかもしれない。だが他の適切な言葉も特に思いつかないので、リアムはそのまま進めることにした。
「写真を撮ったり、映像を撮るとも言っていたな。それを使って脅すと」
「酷いね……」
潮崎が顔を顰めた。リアムは更に続ける。
「だがそれが何の脅しになるのだ? その写真や映像をばら撒いた時点で、あいつの犯罪が証明されるだけではないか」
リアムがそう言うと、潮崎が驚いた顔をした。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる