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第二章 中級編開始
第317話 魔術師リアムの中級編五日目の朝食へ
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祐介が落ち着きを取り戻しリアムを離したところで、二人は家を出て駅前に向かうことにした。
祐介がリアムの手を握る手には力が籠もっていた。辺りを見る目つきも、普段よりも厳しいものだ。羽田のことを警戒しているのだろう。昨日までの祐介を警戒し過ぎではないかと思っていたリアムの考えが如何に甘かったか、それが証明された気がした。祐介が正しかった。
今朝とて、何も考えず警戒せずにリアムがサツキの家から出たとしたらどうなっていただろうか。サツキの身体は非力だ。祐介すらも押しのける力を持つ羽田である、あのままサツキの家に連れ戻され、羽田が言っていた通り犯すつもりであったのなら、騒音に祐介が気付いたとしてももう遅かっただろう。結果はどちらかしかない。リアムが羽田に犯されたか、それか羽田がリアムに殺されたか。
恐らくサツキのこの魔力でも、羽田を殺傷出来るだけの効力は出る筈だ。ウィルウィンディーンの効力は思ったよりも小さく羽田のベルトを切るだけに収まったが、あれを本体に向けていたらきっと怪我どころでは済まなかっただろう。だが全体的に効力は皆小さいは小さい。本来は人に向けてはならないと言われている呪文も試しておくのがいいと思われた。
一日五回まで使える魔法。だとすると、一日に二つ位まで試しておくか。リアムはそう決めた。
「祐介、この辺りに魔法の試し打ちをしても問題がないような場所はないか?」
「え? 試し打ち?」
リアムは頷いた。
「自衛の為にも、それぞれがどれ程の効力を持つのか知っておきたいのだ」
「サツキちゃん……」
リアムは隣の祐介を見上げて笑いかけた。
「勿論もう絶対一人で何かしようとかはしない。だから悪いが祐介、一緒に付き合ってくれないか?」
「……危ないよって言ってもどうせ聞かないんでしょ」
ふ、と笑うと、祐介が頷いてみせた。
「公園があるよ。早朝なら誰もいないと思うし、夕方も子供が帰った後なら大丈夫だと思う」
「ありがとう、祐介」
「うん。……何だか大変なことになってきちゃったね」
「確かに。あそこまで荒れる理由が分からんのだが、早川ユメと何かあったのだろうか」
「若しくは麗子さんと何かあったとかかもよ。荒れ方が危ないもんね。とにかく何かこれまでにないことが起こったのは確かかもね」
先週末に羽田がサツキの家を尋ねて来たのも、きっと目的は同じだったのだろう。酒の力を借りて、大人しいサツキを襲おうとしたのだ。最低だ。最低だが。
「これが私でなかったら、サツキは今頃どうなっていたのだろうか。そう考えると、私達は入れ替わってよかったのだと思う」
祐介は暫く無言だった。やがて、ぽつりと言った。
「多分、無事じゃ済まなかっただろうね」
リアムでなければ祐介の家にはいなかった。あれはリアムだったからだ。サツキでは起こり得なかった。
「でも、僕はリアムなサツキちゃんが無事で良かったと本当に思う」
祐介の手に、更に力が入った。
祐介がリアムの手を握る手には力が籠もっていた。辺りを見る目つきも、普段よりも厳しいものだ。羽田のことを警戒しているのだろう。昨日までの祐介を警戒し過ぎではないかと思っていたリアムの考えが如何に甘かったか、それが証明された気がした。祐介が正しかった。
今朝とて、何も考えず警戒せずにリアムがサツキの家から出たとしたらどうなっていただろうか。サツキの身体は非力だ。祐介すらも押しのける力を持つ羽田である、あのままサツキの家に連れ戻され、羽田が言っていた通り犯すつもりであったのなら、騒音に祐介が気付いたとしてももう遅かっただろう。結果はどちらかしかない。リアムが羽田に犯されたか、それか羽田がリアムに殺されたか。
恐らくサツキのこの魔力でも、羽田を殺傷出来るだけの効力は出る筈だ。ウィルウィンディーンの効力は思ったよりも小さく羽田のベルトを切るだけに収まったが、あれを本体に向けていたらきっと怪我どころでは済まなかっただろう。だが全体的に効力は皆小さいは小さい。本来は人に向けてはならないと言われている呪文も試しておくのがいいと思われた。
一日五回まで使える魔法。だとすると、一日に二つ位まで試しておくか。リアムはそう決めた。
「祐介、この辺りに魔法の試し打ちをしても問題がないような場所はないか?」
「え? 試し打ち?」
リアムは頷いた。
「自衛の為にも、それぞれがどれ程の効力を持つのか知っておきたいのだ」
「サツキちゃん……」
リアムは隣の祐介を見上げて笑いかけた。
「勿論もう絶対一人で何かしようとかはしない。だから悪いが祐介、一緒に付き合ってくれないか?」
「……危ないよって言ってもどうせ聞かないんでしょ」
ふ、と笑うと、祐介が頷いてみせた。
「公園があるよ。早朝なら誰もいないと思うし、夕方も子供が帰った後なら大丈夫だと思う」
「ありがとう、祐介」
「うん。……何だか大変なことになってきちゃったね」
「確かに。あそこまで荒れる理由が分からんのだが、早川ユメと何かあったのだろうか」
「若しくは麗子さんと何かあったとかかもよ。荒れ方が危ないもんね。とにかく何かこれまでにないことが起こったのは確かかもね」
先週末に羽田がサツキの家を尋ねて来たのも、きっと目的は同じだったのだろう。酒の力を借りて、大人しいサツキを襲おうとしたのだ。最低だ。最低だが。
「これが私でなかったら、サツキは今頃どうなっていたのだろうか。そう考えると、私達は入れ替わってよかったのだと思う」
祐介は暫く無言だった。やがて、ぽつりと言った。
「多分、無事じゃ済まなかっただろうね」
リアムでなければ祐介の家にはいなかった。あれはリアムだったからだ。サツキでは起こり得なかった。
「でも、僕はリアムなサツキちゃんが無事で良かったと本当に思う」
祐介の手に、更に力が入った。
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