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第二章 中級編開始
第309話 魔術師リアムの中級編五日目の事実
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潮崎が地面に転がった消火器をひょいと拾うと、少し照れくさそうに頭を掻いた。
「僕達、お付き合いすることになりました」
その潮崎の横で、木佐ちゃんが真っ赤になって俯いている。何とも繊細な人だ。やはりこの人は仕草一つ一つが女性らしく大変美しい。
リアムはそこまで考えた後、はた、と気が付いた。慌てて祐介を振り返る。
「それでは、祐介としていた勝負の勝者は潮崎さんということになってしまうではないか!」
「あれまだやってたの?」
「当然だ! 私は止めたつもりは一度もない!」
「僕は始めたつもりは一度もなかったんだけど」
「なに!? 今更そんなことを言って狡いぞ祐介!」
「あは」
すると、それまで顔を赤くしながら黙っていた木佐ちゃんが不可解そうな表情を浮かべ尋ねてきた。
「あの、二人して一体何の勝負をしてたの?」
「よくぞ聞いてくれた! 祐介が自分は木佐ちゃんに好かれているといい気になっていたからな、私としては自分の上役に一番好かれるべきなのは自分でなければならないだろうとの信念の元、祐介と私とどちらかが木佐ちゃんにより好かれるかを勝負していたのだ!」
「いい気になってないし、勝負してたのサツキちゃんだけだし」
「まだ言うか、祐介!」
すると、ぷっと木佐ちゃんが笑い出した。今のどこにそんな笑う部分があったのだろうか。
「山岸くん、勝負なんてする気なかったと思うわよ」
「木佐ちゃん殿まで!」
「だって山岸くん、私をはっきりと脅してきたわよ。野原さんにしっかりと教えないとどうなっても知らないぞみたいなことを」
すると祐介が笑いながら言った。
「嫌だなあ木佐さん、僕そんな言い方してないじゃないですか。お願いしますねって言っただけですってば」
「目は口ほどに物を言うって知ってる? 山岸くん」
「あはは、もしかしたら目では言ってたかもしれないですね」
「ほらね」
いつの間にそんな話をしていたのだろうか? リアムに記憶がないところをみると、リアムのいないところで二人だけで話をしていたのかもしれない。
「だからこの勝負は始めから無効ね。残念だったわね、野原さん」
「くっ! 知らない間に勝負の相手が変わっていたとは!」
リアムが悔しがると、木佐ちゃんがふ、と優しげに微笑んだ。
「……野原さん、貴方が背中を押したのよ」
「へ?」
いつそんなことをしただろうか。リアムが首を傾げていると。
「謝罪じゃなくてお礼を言ったらどうって言ったのは野原さんでしょ? だから私はそうさせてもらったの」
「あ……あの時の……!」
「てことは、サツキちゃんが恋のキューピッドになったってことか」
祐介はそう言うと、にこにこしながらリアムの頭を撫でた。キューピッドとは何だろうか。リアムの顔に出ていたのだろう、祐介が口の動きで「あとで」と言った。
「それにしても」
潮崎が、羽田が消えていった方向を見ながら続けた。
「羽田さんについてちょっと話したい。この後少し時間ある?」
祐介とリアムに向かって、聞いた。
「僕達、お付き合いすることになりました」
その潮崎の横で、木佐ちゃんが真っ赤になって俯いている。何とも繊細な人だ。やはりこの人は仕草一つ一つが女性らしく大変美しい。
リアムはそこまで考えた後、はた、と気が付いた。慌てて祐介を振り返る。
「それでは、祐介としていた勝負の勝者は潮崎さんということになってしまうではないか!」
「あれまだやってたの?」
「当然だ! 私は止めたつもりは一度もない!」
「僕は始めたつもりは一度もなかったんだけど」
「なに!? 今更そんなことを言って狡いぞ祐介!」
「あは」
すると、それまで顔を赤くしながら黙っていた木佐ちゃんが不可解そうな表情を浮かべ尋ねてきた。
「あの、二人して一体何の勝負をしてたの?」
「よくぞ聞いてくれた! 祐介が自分は木佐ちゃんに好かれているといい気になっていたからな、私としては自分の上役に一番好かれるべきなのは自分でなければならないだろうとの信念の元、祐介と私とどちらかが木佐ちゃんにより好かれるかを勝負していたのだ!」
「いい気になってないし、勝負してたのサツキちゃんだけだし」
「まだ言うか、祐介!」
すると、ぷっと木佐ちゃんが笑い出した。今のどこにそんな笑う部分があったのだろうか。
「山岸くん、勝負なんてする気なかったと思うわよ」
「木佐ちゃん殿まで!」
「だって山岸くん、私をはっきりと脅してきたわよ。野原さんにしっかりと教えないとどうなっても知らないぞみたいなことを」
すると祐介が笑いながら言った。
「嫌だなあ木佐さん、僕そんな言い方してないじゃないですか。お願いしますねって言っただけですってば」
「目は口ほどに物を言うって知ってる? 山岸くん」
「あはは、もしかしたら目では言ってたかもしれないですね」
「ほらね」
いつの間にそんな話をしていたのだろうか? リアムに記憶がないところをみると、リアムのいないところで二人だけで話をしていたのかもしれない。
「だからこの勝負は始めから無効ね。残念だったわね、野原さん」
「くっ! 知らない間に勝負の相手が変わっていたとは!」
リアムが悔しがると、木佐ちゃんがふ、と優しげに微笑んだ。
「……野原さん、貴方が背中を押したのよ」
「へ?」
いつそんなことをしただろうか。リアムが首を傾げていると。
「謝罪じゃなくてお礼を言ったらどうって言ったのは野原さんでしょ? だから私はそうさせてもらったの」
「あ……あの時の……!」
「てことは、サツキちゃんが恋のキューピッドになったってことか」
祐介はそう言うと、にこにこしながらリアムの頭を撫でた。キューピッドとは何だろうか。リアムの顔に出ていたのだろう、祐介が口の動きで「あとで」と言った。
「それにしても」
潮崎が、羽田が消えていった方向を見ながら続けた。
「羽田さんについてちょっと話したい。この後少し時間ある?」
祐介とリアムに向かって、聞いた。
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