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第二章 中級編開始

第290話 OLサツキの中級編四日目開始

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 いつの間にか眠ってしまっていたらしい。ふと目を開けると、隣のユラは少し頭をサツキの方に傾けながら、小さく口を開けてすうすう寝ていた。

 カーテンからは朝日がほんのり滲んでいる。朝が来たのだ。

 サツキはユラをぼんやりと眺めた。この人とこうやって同じベッドで寝るのも二回目だが、段々と慣れてきたかもしれない。少なくとも、変なことはしてこない。サツキが女のサツキで素っ裸だった時もそうだったから、そう考えるとユラは紳士の部類に入るんだろう。まあ、やたらとキスだけはしてくるが、あれはどうも何か目的がある様だし、別にユラだって本当はおっさんの口にキスなんかしたくないだろうし。

 一晩寝て頭もしゃっきりしたことで、そもそもイケメンがおっさんにキスはしない、したのならそこには何かしら明確な理由がある筈だ、そしてその理由をサツキがいくら聞いても理解出来ていないだけなのだ、という三段論法が組み上がった。

 サツキがゆっくりと身を起こすと、足元のラムも合わせた様に身を起こした。するすると這ってサツキの前まで来ると、にっこりと笑った。うん、今日も可愛いです。

「おはようラムちゃん。よく寝れた?」

 ラムはこくこくと頷いた。

 そういえば星空はもう見えない。いつ消えたんだろう、そう思ってカーテンをよく見ると、ほんの少しカーテンが開いていた。カーテンを全て閉めることで発動するらしいので、となるとサツキが寝てしまった後にユラが開けたのだろう。

 そういえば、タオルケットが殆どサツキの方に掛かっていた。ユラはと見ると、少し寒そうに縮こまっている。

「……馬鹿だなあ」

 思わず苦笑した。そういえばユラの家でも、サツキに布団を掛けて、ユラはその上に寝ていた。優しいんだかただ単に上に掛けるのが嫌いなのかは分からないが。

 サツキはベッドの足元から降りると、自分に掛けられていたタオルケットをユラに掛けてやった。それからクローゼットから着替えを取り出すと、まあ寝てるし男だし、と思いその場で着替え始めた。

「……どこで着替えてんの」

 ユラの声がした。一応背中を向けていたサツキがユラを振り返ると、サツキを見ていたユラが目を逸した。何なんだろう。

「この世界って男の人も上半身裸にならないの?」
「いや、なるけど」
「ここで着替えちゃ駄目?」
「いや、まあサツキんちだしいいんだけどさ」

 意味が分からない。はあ、と溜息を突かれたが全くの意味不明だ。

「じゃあ何?」
「いいから早く着てくれ」
「あ、うん」

 サツキは着替えをちゃっちゃと済ますことにした。薄手の生成りのシャツを着、下は少しぴったりめのカーキ色のズボンだ。リアムは少しワイルドな感じだから、少し肌を見せるとなかなかの色気なのを最近発見したのだ。

 着替えをまとめ、ユラを振り返った。照れくさそうな顔をしたユラと、目が合った。
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