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第二章 中級編開始
第287話 魔術師リアムの中級編四日目の飲み会で社長の白状完了
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久住社長が続けた。
「そうしたら、羽田が早川さんを紹介してくれて、脅されるまま会社に雇い入れて、総務人事秘書の三役ってことで給料もたっぷり渡して、でどうもその金は一部羽田にも渡っているみたいで」
久住社長はとうとうがっくりと項垂れてしまった。
「早川さんは我が物顔で会社にいるし、麗子さんは具合よくなくてあまり来ないし、何かこれまで頑張っていたのがどうでもよくなって、いい人でいるのも疲れて、それで」
「欲望の赴くまま会社の女性社員を触ったということか」
「……申し訳ないです。何かもう虚勢を張るしか出来ないと思ってて、まさか皆がこんなに親身になって話を聞いてくれるとは思ってもいなくって」
多分誰も親身には思っていない。だがそこは大人だ、皆各々頷いてみせた。
「羽田が野原さんにつきまとっているのは知ってたよ。あいつのああいう顔が堪らないとか、よく社長室に来ては言ってたから。諌めようとすると、麗子さんに話すぞ、社員にバラすぞで……その、すまなかった。山岸くんも、大切な彼女なのに、本当に申し訳なかった」
祐介の顔に笑顔はない。冷たい程の無表情で、久住社長の謝罪に答えた。
「僕はまだ許してませんし許す気もありませんよ」
「おい、山岸」
隣の佐川がつつくが、祐介はじっと久住社長を見たまま目を逸らさなかった。
「許せるようになるのは、久住社長がきちんと全てに対応し終わった時ですから」
「は、ははは……そうだよね、そうしないとね」
「ですから、協力はさせていただきます。僕の大切な彼女のことなので、人任せにはしたくありませんから」
「山岸くん……」
そこまで言うと、ようやく祐介の顔に笑みが戻った。
「では作戦会議といきますか?」
「ありがとう……ありがとう、皆……!」
久住社長が涙を零した。だが、左右のリアムと木佐ちゃんは、それを慰めてやろうなどという気は勿論のことながら起こらない。自分で蒔いた種の所為で追い詰められ、手を伸ばされ泣いていても、その間手を出された木佐ちゃんは許せる筈もなく、サツキのことを考えるとリアムも簡単には許したくはなかった。
思い起こされるのは、祐介から説明を受けた時にみた集合写真の中のサツキの暗い顔だった。あの顔をさせたのは、元を辿れば全てこいつが起こした物事の所為だ。その為にサツキがどれだけ嫌な思いをしたか。
リアムは告げた。
「私も全てが終わるまでは、今までのことは一切許す気はない」
久住社長が涙目でリアムを見た。
「貴方が引き起こした短慮の所為で、どれだけの人が傷ついたか。どれだけの人に長きに渡る困難を与えたか、考えていただきたい」
「は、はい……!」
久住社長の目からボロボロと次から次へと涙が溢れ始め。
橋本が深いいい声で少し大きめな声で言った。
「では改めて、乾杯!」
ジョッキとジョッキがぶつかり、いい音が鳴り響いた。
「そうしたら、羽田が早川さんを紹介してくれて、脅されるまま会社に雇い入れて、総務人事秘書の三役ってことで給料もたっぷり渡して、でどうもその金は一部羽田にも渡っているみたいで」
久住社長はとうとうがっくりと項垂れてしまった。
「早川さんは我が物顔で会社にいるし、麗子さんは具合よくなくてあまり来ないし、何かこれまで頑張っていたのがどうでもよくなって、いい人でいるのも疲れて、それで」
「欲望の赴くまま会社の女性社員を触ったということか」
「……申し訳ないです。何かもう虚勢を張るしか出来ないと思ってて、まさか皆がこんなに親身になって話を聞いてくれるとは思ってもいなくって」
多分誰も親身には思っていない。だがそこは大人だ、皆各々頷いてみせた。
「羽田が野原さんにつきまとっているのは知ってたよ。あいつのああいう顔が堪らないとか、よく社長室に来ては言ってたから。諌めようとすると、麗子さんに話すぞ、社員にバラすぞで……その、すまなかった。山岸くんも、大切な彼女なのに、本当に申し訳なかった」
祐介の顔に笑顔はない。冷たい程の無表情で、久住社長の謝罪に答えた。
「僕はまだ許してませんし許す気もありませんよ」
「おい、山岸」
隣の佐川がつつくが、祐介はじっと久住社長を見たまま目を逸らさなかった。
「許せるようになるのは、久住社長がきちんと全てに対応し終わった時ですから」
「は、ははは……そうだよね、そうしないとね」
「ですから、協力はさせていただきます。僕の大切な彼女のことなので、人任せにはしたくありませんから」
「山岸くん……」
そこまで言うと、ようやく祐介の顔に笑みが戻った。
「では作戦会議といきますか?」
「ありがとう……ありがとう、皆……!」
久住社長が涙を零した。だが、左右のリアムと木佐ちゃんは、それを慰めてやろうなどという気は勿論のことながら起こらない。自分で蒔いた種の所為で追い詰められ、手を伸ばされ泣いていても、その間手を出された木佐ちゃんは許せる筈もなく、サツキのことを考えるとリアムも簡単には許したくはなかった。
思い起こされるのは、祐介から説明を受けた時にみた集合写真の中のサツキの暗い顔だった。あの顔をさせたのは、元を辿れば全てこいつが起こした物事の所為だ。その為にサツキがどれだけ嫌な思いをしたか。
リアムは告げた。
「私も全てが終わるまでは、今までのことは一切許す気はない」
久住社長が涙目でリアムを見た。
「貴方が引き起こした短慮の所為で、どれだけの人が傷ついたか。どれだけの人に長きに渡る困難を与えたか、考えていただきたい」
「は、はい……!」
久住社長の目からボロボロと次から次へと涙が溢れ始め。
橋本が深いいい声で少し大きめな声で言った。
「では改めて、乾杯!」
ジョッキとジョッキがぶつかり、いい音が鳴り響いた。
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