284 / 731
第二章 中級編開始
第283話 魔術師リアムの中級編四日目の飲み会で社長白状を更にする
しおりを挟む
場がシン、となった。
沈黙に耐えられなくなったのだろう、久住社長が堰を切ったように話し始めた。
「早川さんは、羽田が紹介してくれたんだよ。僕は別に元々は愛人なんて囲うつもりはなかったし、だけど羽田がいい子がいるから紹介するって言ってきてしつこいから一回会ったら、ホテル……あ、ラブホじゃないよ? 普通の食事が出来るホテルだからな、そこで会って、部屋で羽田も入れて飲んでる内にいつの間にか羽田がいなくなって、どんどん飲まされて。早川さん話し上手でさ、僕は丁度その頃麗子さんとちょっとなかなかうまくいかなくなってた時期で」
そこまで一気に語ると、ちらっと周りを見渡した。橋本が頷いて言った。
「どうぞ続きを」
顔を引き攣らせたまま、久住社長は先を続けた。
「気が付いたら、その、事後でさ。しかも写真取られてて」
「それは羽田さんにですか? それとも早川さんにですか?」
潮崎が尋ねた。
「早川さんだよ。自分の裸は羽田には見せたくないって言ってたけど、自分に何かあったら羽田にデータを送る様にしてあるからって笑われたんだ」
そう言うと、頭を抱えた。リアムは手をポン、と叩いた。
「成程、美人局か」
「サツキちゃん、しっ」
祐介がリアムの腕を引っ張って引き寄せた。余計な一言だったらしい。確かに久住社長の周りを覆う雰囲気が更に重苦しいものとなっている。
「失礼した。では続きを」
リアムは先を促した。
「は、ははは……。麗子さんにバラすぞって脅されて、僕はようやく羽田が全然僕のことを許してなんかいなかったことに気付いたんだ。馬鹿だよなあ……」
「おっ何か昔の因縁でもあったんすか?」
ツンツン頭の佐川が実に楽しそうに聞いた。
「因縁というか……羽田は僕の大学の先輩だったんだよ。麗子さんもね」
リアムはこそっと祐介に尋ねた。
「祐介、大学とは何だ」
「あーその説明してなかったね。大分大きくなった子供が通う学校のこと」
「成程」
ということはある程度大人になっている状態で出会ったとしても、大分昔の話だ。その頃から尾を引いている恨みとは何だろうか。
「僕が一年の時は向こうは就職浪人してて、あ、麗子さんはもう卒業してたけどね、僕は羽田と結構仲がよくてさ。可愛がってもらっている内に、羽田とよく一緒にいた麗子さんがその、僕のことを好きになったらしくて」
もごもごと喋るので聞き取りにくい。すると、田端が挙手した。
「社長、聞き取りにくいです! もっとはっきりお願いします! ――あ、すみませんビール人数分追加で!」
祐介がえっ!? という顔をした。気付いたらしい。いつの間にかリアムのジョッキが空になっていることに。
「羽田はその、麗子さんのことが好きだったらしいんだ。でも麗子さんはそこそこな資産家の娘で、羽田の家は借金があるとかで、釣り合わないからって告白もしたことがなかったみたいだった」
久住社長はそこまで言うと、明らかにぬるくなっているであろうビールの残りを飲み干した。
沈黙に耐えられなくなったのだろう、久住社長が堰を切ったように話し始めた。
「早川さんは、羽田が紹介してくれたんだよ。僕は別に元々は愛人なんて囲うつもりはなかったし、だけど羽田がいい子がいるから紹介するって言ってきてしつこいから一回会ったら、ホテル……あ、ラブホじゃないよ? 普通の食事が出来るホテルだからな、そこで会って、部屋で羽田も入れて飲んでる内にいつの間にか羽田がいなくなって、どんどん飲まされて。早川さん話し上手でさ、僕は丁度その頃麗子さんとちょっとなかなかうまくいかなくなってた時期で」
そこまで一気に語ると、ちらっと周りを見渡した。橋本が頷いて言った。
「どうぞ続きを」
顔を引き攣らせたまま、久住社長は先を続けた。
「気が付いたら、その、事後でさ。しかも写真取られてて」
「それは羽田さんにですか? それとも早川さんにですか?」
潮崎が尋ねた。
「早川さんだよ。自分の裸は羽田には見せたくないって言ってたけど、自分に何かあったら羽田にデータを送る様にしてあるからって笑われたんだ」
そう言うと、頭を抱えた。リアムは手をポン、と叩いた。
「成程、美人局か」
「サツキちゃん、しっ」
祐介がリアムの腕を引っ張って引き寄せた。余計な一言だったらしい。確かに久住社長の周りを覆う雰囲気が更に重苦しいものとなっている。
「失礼した。では続きを」
リアムは先を促した。
「は、ははは……。麗子さんにバラすぞって脅されて、僕はようやく羽田が全然僕のことを許してなんかいなかったことに気付いたんだ。馬鹿だよなあ……」
「おっ何か昔の因縁でもあったんすか?」
ツンツン頭の佐川が実に楽しそうに聞いた。
「因縁というか……羽田は僕の大学の先輩だったんだよ。麗子さんもね」
リアムはこそっと祐介に尋ねた。
「祐介、大学とは何だ」
「あーその説明してなかったね。大分大きくなった子供が通う学校のこと」
「成程」
ということはある程度大人になっている状態で出会ったとしても、大分昔の話だ。その頃から尾を引いている恨みとは何だろうか。
「僕が一年の時は向こうは就職浪人してて、あ、麗子さんはもう卒業してたけどね、僕は羽田と結構仲がよくてさ。可愛がってもらっている内に、羽田とよく一緒にいた麗子さんがその、僕のことを好きになったらしくて」
もごもごと喋るので聞き取りにくい。すると、田端が挙手した。
「社長、聞き取りにくいです! もっとはっきりお願いします! ――あ、すみませんビール人数分追加で!」
祐介がえっ!? という顔をした。気付いたらしい。いつの間にかリアムのジョッキが空になっていることに。
「羽田はその、麗子さんのことが好きだったらしいんだ。でも麗子さんはそこそこな資産家の娘で、羽田の家は借金があるとかで、釣り合わないからって告白もしたことがなかったみたいだった」
久住社長はそこまで言うと、明らかにぬるくなっているであろうビールの残りを飲み干した。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
世界よ優しく微笑んで
えくれあ
恋愛
世界一の魔力を持つといわれた少女は自分が生まれた世界に絶望し、自らの意思で異世界転移を決意します。
転移先の世界で出会ったのは、1人の侯爵様。
思わぬ形で侯爵様の恩人かのようになってしまった少女は、侯爵様のところでまるで貴族令嬢かのような生活を送ることに。転移先では思うように魔法は使えず、また、今まで貴族社会とは無縁の生活を送っていたので、少女には戸惑うことも多々あるけれど、新しい世界でちょっとずつ幸せを見つけていきます。
少女が願うのはただ1つ。この世界が自分に優しい世界であることだけ。
※はじめて書いた小説です。生暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
罪状は【零】
毒の徒華
ファンタジー
魔女が人間や魔族を支配している世界の物語。
主人公の少女ノエルは、強大な破壊の魔力を宿した魔女であることを隠し、人間として生活していた。
しかし、普通の人間として暮らしていた訳ではない。
ある男の奴隷としてその男を『ご主人様』として慕い、魔女だという事をけして悟られないように共に生活をしていた。
傲慢な態度とは裏腹にノエルの主は身体が弱く、度々体調を崩す為ノエルは胸を痛めた。
そして、ある日ついに主は倒れてしまう。
強大な魔力があっても治癒魔術が使えないノエルはどうしたらいいか解らずに途方に暮れる。
そこに、魔女の手を逃れて負傷している魔族と出逢う。
吸血鬼であるガーネットが死にかけていた為、ノエルは迷った末に自身の血液を与え『契約』を取り交わし、吸血鬼は一命をとりとめた。
その吸血鬼から、最高位の治癒魔術を使える魔女の話を聞く。
ノエルは主から離れる覚悟ができずにいたが、衰弱する主を見て
ついに旅に出る決意を固める。
身代わり愛妾候補の逃亡顛末記
Dry_Socket
ファンタジー
ダリスカーナ大公国の南の端に位置するシエーラ。
領主館で働くクレメンティナは、名前こそ子爵令嬢だが、領主に搾取されて農民のように貧しかった。
暴君と噂の大公が、子供の望めない大公妃の代わりに継嗣を産む愛妾を国中から募るという通知が来た。
領主は駆け落ちしてしまった娘の代わりに、クレメンティナを無理やり都へ送るが、クレメンティナの乗った馬車は山賊に襲われて…
恋愛ファンタジーです。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる