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第二章 中級編開始
第266話 OLサツキの中級編三日目の酒盛りへ
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食事は終わり、ユラが新たな酒瓶をパントリーから取り出してきた。それともう一つの瓶も取り出す。中身はどう見ても黄色い液体だ。
「あ、パチパチスライムワイン!」
「正解」
食器を流しに運ぶと、ユラが待ちきれない様にサツキの肩を掴み書斎へと押していく。
「ほら早く早く」
「だって洗い物」
「後ででいいよ、どうせグラスも洗わないとだしさ」
まあ確かにそれはそうか。それにしてもこのはしゃぎっぷり。ラムもにこにこと書斎に向かっている。スライムの前でスライムを呑んでもいいんだろうか、とちょっと思ったが、怖くて聞けなかった。
ユラはいそいそとローテーブルにグラスを置くと、絨毯の上に胡座をかいて座り、グラスに酒を注ぎ始めた。半分位入れたところで、今度は黄色いスライムを入れる。入れた瞬間、シュワッと表面が弾けた。
「はい改めて乾杯!」
「乾杯。本当よく飲むね、ユラ」
「今日は特別だよ。マグノリア邸潜入記念日だからな」
クールビューティーな顔を微笑ませてそんな子供みたいなことを言われてしまって、キュンとこない方がおかしい。サツキは素直に胸をキュンとさせながらはしゃぐユラを眺めた。まあサツキが可愛いと思うアイドル達よりは大分年齢は上の様だが、まだぎりぎり許容範囲ではある。
「そういえば、ユラって年は幾つ?」
「俺? 二十三」
「まさかの年下」
「え? サツキ俺より年上なの?」
「二十四、もうすぐ二十五だったよ。リアムの年齢は分からないけど」
「リアムは四十過ぎだったかな?」
四十過ぎ。つまりサツキは一気に二十歳近く歳を取ってしまった訳か。
「ねえユラ、歳を取ってからアルテラで若い子に変身したら長生き出来るのかな?」
ユラは首を傾げる。
「どうなんだろう? 例のリュス王国国王入れ替え事件の時は、ばれた後は処刑されたみたいだけど年齢までは書いてなかったかな」
アルテラの呪文が禁忌魔法となった原因の事件だ。
「そっかあ……」
「どうしたんだよ急に」
ユラが実に美味そうにパチパチスライムワインをくいっと飲む。
「だって、一気に倍近く年取っちゃった訳でしょ? リアムは健康そうだし身体も出来上がってるからそこまで年には見えないけど、でも寿命は短くなっちゃうんだな、と」
「サツキ」
「ん?」
「電車とやらに殺されたと思ったんだろ?」
書斎の壁から発光される魔法の光が、ユラの顔に陰影を作っている。書斎の明かりの仕組みは一体どうなっているのか、本を読もうとすると明るく照らしてくれ、そうでない時は穏やかにほんのり暗くなる。まるでこちらの心を読み取っているかの様だ。
「……うん」
「だったらさ、その時点でサツキは一旦死んだんだ」
「そう、かもね」
「身体の寿命は縮んだかもしれないけどさ、サツキはこっちの世界の方がいいんだろ?」
ユラが顔を覗き込んだ。どうなんだ? と問われている様な顔に、サツキは目を逸したくなった。でも、これはサツキの問題だ。逃げてはいけない。
「こっちに、いたい」
「じゃあ、この先を一瞬一瞬一所懸命生きればいいじゃねえか。元はなかった命だと思ってさ」
ユラはそう言うと、サツキの膝をポン、と叩いた。
「あ、パチパチスライムワイン!」
「正解」
食器を流しに運ぶと、ユラが待ちきれない様にサツキの肩を掴み書斎へと押していく。
「ほら早く早く」
「だって洗い物」
「後ででいいよ、どうせグラスも洗わないとだしさ」
まあ確かにそれはそうか。それにしてもこのはしゃぎっぷり。ラムもにこにこと書斎に向かっている。スライムの前でスライムを呑んでもいいんだろうか、とちょっと思ったが、怖くて聞けなかった。
ユラはいそいそとローテーブルにグラスを置くと、絨毯の上に胡座をかいて座り、グラスに酒を注ぎ始めた。半分位入れたところで、今度は黄色いスライムを入れる。入れた瞬間、シュワッと表面が弾けた。
「はい改めて乾杯!」
「乾杯。本当よく飲むね、ユラ」
「今日は特別だよ。マグノリア邸潜入記念日だからな」
クールビューティーな顔を微笑ませてそんな子供みたいなことを言われてしまって、キュンとこない方がおかしい。サツキは素直に胸をキュンとさせながらはしゃぐユラを眺めた。まあサツキが可愛いと思うアイドル達よりは大分年齢は上の様だが、まだぎりぎり許容範囲ではある。
「そういえば、ユラって年は幾つ?」
「俺? 二十三」
「まさかの年下」
「え? サツキ俺より年上なの?」
「二十四、もうすぐ二十五だったよ。リアムの年齢は分からないけど」
「リアムは四十過ぎだったかな?」
四十過ぎ。つまりサツキは一気に二十歳近く歳を取ってしまった訳か。
「ねえユラ、歳を取ってからアルテラで若い子に変身したら長生き出来るのかな?」
ユラは首を傾げる。
「どうなんだろう? 例のリュス王国国王入れ替え事件の時は、ばれた後は処刑されたみたいだけど年齢までは書いてなかったかな」
アルテラの呪文が禁忌魔法となった原因の事件だ。
「そっかあ……」
「どうしたんだよ急に」
ユラが実に美味そうにパチパチスライムワインをくいっと飲む。
「だって、一気に倍近く年取っちゃった訳でしょ? リアムは健康そうだし身体も出来上がってるからそこまで年には見えないけど、でも寿命は短くなっちゃうんだな、と」
「サツキ」
「ん?」
「電車とやらに殺されたと思ったんだろ?」
書斎の壁から発光される魔法の光が、ユラの顔に陰影を作っている。書斎の明かりの仕組みは一体どうなっているのか、本を読もうとすると明るく照らしてくれ、そうでない時は穏やかにほんのり暗くなる。まるでこちらの心を読み取っているかの様だ。
「……うん」
「だったらさ、その時点でサツキは一旦死んだんだ」
「そう、かもね」
「身体の寿命は縮んだかもしれないけどさ、サツキはこっちの世界の方がいいんだろ?」
ユラが顔を覗き込んだ。どうなんだ? と問われている様な顔に、サツキは目を逸したくなった。でも、これはサツキの問題だ。逃げてはいけない。
「こっちに、いたい」
「じゃあ、この先を一瞬一瞬一所懸命生きればいいじゃねえか。元はなかった命だと思ってさ」
ユラはそう言うと、サツキの膝をポン、と叩いた。
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