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第二章 中級編開始
第246話 OLサツキの中級編三日目の午後
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リュシカは暫く楽しそうに笑った後、ゆっくりと真顔に戻るとサツキに向き直り、告げた。
「サツキ、これは余計なことかもしれないが」
「はい」
「どうしても迷った時は、リアムの意思を確認してみるのもいいと思うぞ」
「え?」
「私の口からはこれ以上言えないが、方法はある」
リアムとコンタクトを取ることが出来る? 方法があるのなら、それは是非確認したい。
「それとユラ」
「ん? 俺?」
リュシカがユラに向き直った。
「目に見えるものだけを信じるのはある意味潔く正しい」
「そりゃどうも」
「だがな、目に見えなくとも信じねばならないものもある」
「え?」
リュシカがユラに言った。
「ユラの心だよ」
ユラは驚いた顔をした。
「ユラの心は目には見えない。だが、なによりユラが信じて進まねばならないものだ」
「俺の……心?」
リュシカは深く頷く。
「そうだ。誰よりもユラが信じる必要のあるものだ。時に疑うこともあるかもしれない。だが、信じてやるんだ。分かったね?」
「……なんかよく分かんねえけど、分かった」
「うん、今はそれでいい。肝心な時がやってきたら、その時に思い出してくれればいいから」
そう伝えて微笑むリュシカの顔は慈愛に満ちている様に見えた。彼には一体何がどこまで見えているのだろうか。サツキは先程感じた疑問を再び感じた。
本当に困った時、行き詰まってしまってもうどうしようもない時、そんな時がもし訪れたら、その時はまた再びこの人の元に来てみようか。サツキはそう思えた。何故かウルスラと来ると言ったら反対されてしまったので、次来るとしたら一人でこっそりと来ないとまた怒られそうだ。ユラはもしかして、ユラの追加能力の件を喋られてしまうかも、と不安なのかもしれない。この人も仕事だから、個人の能力をそうぺらぺらと他人に話してしまうことはないと思うのだが。
「じゃあ、そろそろお会計といこうか」
唐突にリュシカが切り出した。紙を取り出し、そこにサラサラと金額を書いていく。おお、安い、あれ……桁が一つ違った……おお、そこそこする。
「これに追加の助言代も足すと」
「おいリュシカ、助言はリュシカが勝手にやったことだろ?」
「でも役に立つ助言だろう?」
リュシカは紙に追加料金を足していく。え、鑑定料の半分? 頼んでもいない助言に、鑑定料の半分も取っていくのかこの人。
サツキが唖然としてただ金額が足されていくのを眺めるしか出来ないでいると、ユラが諦めた様にふっと笑いかけてきた。
「リュシカは鑑定の腕はいいんだけど、がめついところが玉に瑕なんだよ」
「私は盲いた人間だからね、ここで客が来た時に取れるだけ取ることをモットーにしているんだよ」
「はっ! その客だっていつ来るか位は事前に分かってんじゃねえの?」
「ユラ、それは神のみぞ知るだ」
「……こいつ絶対分かってんな」
「ははは」
リュシカが紙をサツキに向け、ペンを渡した。
「ここの下部にサインを。リアムの名前で宜しく。そうしたら銀行から引き落とさせてもらうから」
「は、はい」
先程までの神がかった迫力はどこへやら。今目の前でにっこりと笑っているのはただの守銭奴だった。
「サツキ、これは余計なことかもしれないが」
「はい」
「どうしても迷った時は、リアムの意思を確認してみるのもいいと思うぞ」
「え?」
「私の口からはこれ以上言えないが、方法はある」
リアムとコンタクトを取ることが出来る? 方法があるのなら、それは是非確認したい。
「それとユラ」
「ん? 俺?」
リュシカがユラに向き直った。
「目に見えるものだけを信じるのはある意味潔く正しい」
「そりゃどうも」
「だがな、目に見えなくとも信じねばならないものもある」
「え?」
リュシカがユラに言った。
「ユラの心だよ」
ユラは驚いた顔をした。
「ユラの心は目には見えない。だが、なによりユラが信じて進まねばならないものだ」
「俺の……心?」
リュシカは深く頷く。
「そうだ。誰よりもユラが信じる必要のあるものだ。時に疑うこともあるかもしれない。だが、信じてやるんだ。分かったね?」
「……なんかよく分かんねえけど、分かった」
「うん、今はそれでいい。肝心な時がやってきたら、その時に思い出してくれればいいから」
そう伝えて微笑むリュシカの顔は慈愛に満ちている様に見えた。彼には一体何がどこまで見えているのだろうか。サツキは先程感じた疑問を再び感じた。
本当に困った時、行き詰まってしまってもうどうしようもない時、そんな時がもし訪れたら、その時はまた再びこの人の元に来てみようか。サツキはそう思えた。何故かウルスラと来ると言ったら反対されてしまったので、次来るとしたら一人でこっそりと来ないとまた怒られそうだ。ユラはもしかして、ユラの追加能力の件を喋られてしまうかも、と不安なのかもしれない。この人も仕事だから、個人の能力をそうぺらぺらと他人に話してしまうことはないと思うのだが。
「じゃあ、そろそろお会計といこうか」
唐突にリュシカが切り出した。紙を取り出し、そこにサラサラと金額を書いていく。おお、安い、あれ……桁が一つ違った……おお、そこそこする。
「これに追加の助言代も足すと」
「おいリュシカ、助言はリュシカが勝手にやったことだろ?」
「でも役に立つ助言だろう?」
リュシカは紙に追加料金を足していく。え、鑑定料の半分? 頼んでもいない助言に、鑑定料の半分も取っていくのかこの人。
サツキが唖然としてただ金額が足されていくのを眺めるしか出来ないでいると、ユラが諦めた様にふっと笑いかけてきた。
「リュシカは鑑定の腕はいいんだけど、がめついところが玉に瑕なんだよ」
「私は盲いた人間だからね、ここで客が来た時に取れるだけ取ることをモットーにしているんだよ」
「はっ! その客だっていつ来るか位は事前に分かってんじゃねえの?」
「ユラ、それは神のみぞ知るだ」
「……こいつ絶対分かってんな」
「ははは」
リュシカが紙をサツキに向け、ペンを渡した。
「ここの下部にサインを。リアムの名前で宜しく。そうしたら銀行から引き落とさせてもらうから」
「は、はい」
先程までの神がかった迫力はどこへやら。今目の前でにっこりと笑っているのはただの守銭奴だった。
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