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第二章 中級編開始
第236話 OLサツキの中級編三日目の午後リアムへ
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昼食の片付けはさすがにやらせてくれと名乗りをあげたサツキは、ゴシゴシと皿洗いをしていた。
その時、不意に目線が上に上がり、ウエストがぎゅっと詰まった。
「おえっ」
慌ててタオルで手を拭くと、ウエストの紐を緩めた。リアムの身体に戻ったのだ。
随分と長いことサツキの身体でいた様に思えたが、数えてみるとほぼ二日間。たったこれだけだったけど、色んなことがあった。
「サツキー? お、戻ったか」
手に何やら大量の魔術書を抱えたユラが、台所を覗いてサツキを見て言った。
「これ、借りていいか?」
「うん、好きに読んでいいよ」
どうせまだサツキには何が何だか分からない。魔術書も、放っておかれるよりはユラに読んでもらった方がいいに違いなかった。
「じゃあそれ終わったら鑑定士の所に行こうか。洗濯は帰ってからでいいだろ?」
「分かった」
そういえば、ユラの追加能力って何だったんだろうか。一昨日はそれを見に行くと言っていたが、その後何も言ってこない。
予想していたものよりもしょぼい能力だったとか? だから言いたくない、という可能性はユラに関しては十分あり得そうだった。
鑑定士の所に行きがてら聞いてみよう。
そうと決まれば早く片付けてしまいたい。サツキは残りを手早く片付けると、ユラの待つ書斎に向かった。
書斎には暖かな日の光が差し込んでいる。それがソファーに座り足を組んで膝の上に魔導書を真剣な顔で読んでいるユラを優しく照らしており、サツキは思わず言葉を失った。金色のまつ毛が目の下に影を作り、まるで一枚の完成された絵画の様だ。
そこにいるだけで様になる人っているんだな、そう思ったら動けなくなった。動いたり声を掛けたりしたら、この完璧な絵が壊れてしまいそうで。
どれ位そうして見ていたのだろうか。もしかしたら一瞬だったかもしれない。ユラがふと視線を上にあげると、書斎の入り口に立ち尽くしていたサツキと目が合った。
「何だ、いたのか」
「あ、うん。集中してるみたいだったから」
嘘だ。ただ見惚れていただけだ。
するとユラがまたあの少し意地の悪そうな笑みを浮かべて、言った。
「本当か? 俺に見惚れてたりとかじゃなくて?」
どれだけ自分に自信があったらそんな発言が出るんだろうか。サツキには一生理解出来そうにないが、でもリアムはかなりのイケメンだからその内そう思ったりすることももしかしたらあるんだろうか。他人の褌で相撲を取る様なものだが。
それにしても少し腹が立った。容姿に恵まれ、それが賛辞の対象となることに違和感を持たない人種に。
だから少し驚かせてみたくなった。ただそれだけだ。
「見惚れてたよ」
「……え」
ほら、驚いた。少しざまあみろだ。サツキだってたまには悪戯してみたいのだ。
「さ、行こうよ」
「あ、おう」
目をこしこし擦りながら、ユラが立ち上がった。
その時、不意に目線が上に上がり、ウエストがぎゅっと詰まった。
「おえっ」
慌ててタオルで手を拭くと、ウエストの紐を緩めた。リアムの身体に戻ったのだ。
随分と長いことサツキの身体でいた様に思えたが、数えてみるとほぼ二日間。たったこれだけだったけど、色んなことがあった。
「サツキー? お、戻ったか」
手に何やら大量の魔術書を抱えたユラが、台所を覗いてサツキを見て言った。
「これ、借りていいか?」
「うん、好きに読んでいいよ」
どうせまだサツキには何が何だか分からない。魔術書も、放っておかれるよりはユラに読んでもらった方がいいに違いなかった。
「じゃあそれ終わったら鑑定士の所に行こうか。洗濯は帰ってからでいいだろ?」
「分かった」
そういえば、ユラの追加能力って何だったんだろうか。一昨日はそれを見に行くと言っていたが、その後何も言ってこない。
予想していたものよりもしょぼい能力だったとか? だから言いたくない、という可能性はユラに関しては十分あり得そうだった。
鑑定士の所に行きがてら聞いてみよう。
そうと決まれば早く片付けてしまいたい。サツキは残りを手早く片付けると、ユラの待つ書斎に向かった。
書斎には暖かな日の光が差し込んでいる。それがソファーに座り足を組んで膝の上に魔導書を真剣な顔で読んでいるユラを優しく照らしており、サツキは思わず言葉を失った。金色のまつ毛が目の下に影を作り、まるで一枚の完成された絵画の様だ。
そこにいるだけで様になる人っているんだな、そう思ったら動けなくなった。動いたり声を掛けたりしたら、この完璧な絵が壊れてしまいそうで。
どれ位そうして見ていたのだろうか。もしかしたら一瞬だったかもしれない。ユラがふと視線を上にあげると、書斎の入り口に立ち尽くしていたサツキと目が合った。
「何だ、いたのか」
「あ、うん。集中してるみたいだったから」
嘘だ。ただ見惚れていただけだ。
するとユラがまたあの少し意地の悪そうな笑みを浮かべて、言った。
「本当か? 俺に見惚れてたりとかじゃなくて?」
どれだけ自分に自信があったらそんな発言が出るんだろうか。サツキには一生理解出来そうにないが、でもリアムはかなりのイケメンだからその内そう思ったりすることももしかしたらあるんだろうか。他人の褌で相撲を取る様なものだが。
それにしても少し腹が立った。容姿に恵まれ、それが賛辞の対象となることに違和感を持たない人種に。
だから少し驚かせてみたくなった。ただそれだけだ。
「見惚れてたよ」
「……え」
ほら、驚いた。少しざまあみろだ。サツキだってたまには悪戯してみたいのだ。
「さ、行こうよ」
「あ、おう」
目をこしこし擦りながら、ユラが立ち上がった。
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