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第二章 中級編開始
第233話 魔術師リアムの中級編三日目の波乱・社員乱入
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賑やかに話しながら山口達三人が執務エリアに入っていくと、それまで興奮気味に怒鳴っていた羽田が怒鳴るのを止めた。
「羽田さん、外まで声が聞こえてましたよ」
筋肉隆々の橋本が、身体に見合う野太い声でそう言うと、羽田が返答した。
「お? おお、悪いな」
なんと羽田は橋本には弱いらしい。祐介が小声で教えてくれた。
「羽田さん、前に飲みの場で店員の女の子に絡んだことがあってさ、それを橋本さんが腰を掴んで外に放り出しちゃったことがあってね。それ以来近寄らないんだ」
「なんと。つまりサツキの様に弱々しい雰囲気の人間には強く出るが、逆に負けたことのある人間には逆らわぬということか」
「そ。分かり易いよね」
そう言った祐介の目には、あからさまな蔑みの色があった。そして今度は急に目を輝かせた。
「なのにさ、潮崎さんはそうじゃないでしょ? 格好いいよね、憧れるなあ、ああいう強さ」
なんとも可愛らしい姿を見せる祐介。この祐介の素に近い姿を見れる者は果たしてどれ位いるのだろうか。
「何を言っている祐介。始めに羽田を見かけた時に咄嗟に私を背中に庇ってくれたのは祐介だろう? それに昨日だって私を守る為に怪我を」
「え、いやそれ、はは、褒められてる?」
祐介が頭を掻いている。これは照れだろうか。つまりは肉体を褒めるよりも内面を褒めた方が祐介は嬉しい、そういうことであろうか。
リアムはこくこくと頷いた。
「祐介は立派だ。それに比べ私は情けないものだ」
「サツキちゃん……」
祐介が艶っぽい目でリアムを見つめ返した。この目は、少々苦手だ。
すると、横から咳払いが聞こえてきた。少し赤い顔をして居心地が悪そうにもじもじしているのは、祐介と同期入社のツンツン頭の佐川だった。
「会社の受付前で何やってんの」
「あ」
さすがに拙いと思ったのだろう、祐介が照れ隠しなのかあははは、と笑った。
「羽田……さんが、また騒いでいたのだ」
リアムが、中に聞こえない様な小さな声で伝えると、昨日の様子を知る佐川がああ、と頷いた。
「あの人、もういい加減に何とかならないのかなあ」
「でもなんか社長と特別な繋がりがあるみたいだよね」
「そうしたらさ、社長を飲みに誘って酔わせて吐かせるとか?」
佐川という男は意外と策士らしい。
「うーん? 喋るかなあ」
「俺ちょっと社長誘ってみるよ!」
「早川さんは駄目だよ」
「分かってるって。でもその代わり……」
佐川が済まなさそうにリアムを見た。
「山岸の彼女だから、多分もう大っぴらなことはしないと思うんだけど」
「駄目却下絶対無理」
祐介が瞬足で断った。リアムは意味が分からず、きょとんとして祐介を見る。
「意味が分からん」
「サツキちゃんは駄目、気にしなくていいの」
祐介がリアムの肩を掴んで移動させようとする。
「山岸、お前ってそういうキャラだったの? 意外……」
「意外でも何でもいいよ、サツキちゃんは駄目」
「祐介、意味が」
「社長を飲み会に誘う餌だよ。女の子大好きだから」
「……餌……致し方ない、引き受けよう」
「サツキちゃん!」
祐介が何とも言えない情けない顔になった。
「羽田さん、外まで声が聞こえてましたよ」
筋肉隆々の橋本が、身体に見合う野太い声でそう言うと、羽田が返答した。
「お? おお、悪いな」
なんと羽田は橋本には弱いらしい。祐介が小声で教えてくれた。
「羽田さん、前に飲みの場で店員の女の子に絡んだことがあってさ、それを橋本さんが腰を掴んで外に放り出しちゃったことがあってね。それ以来近寄らないんだ」
「なんと。つまりサツキの様に弱々しい雰囲気の人間には強く出るが、逆に負けたことのある人間には逆らわぬということか」
「そ。分かり易いよね」
そう言った祐介の目には、あからさまな蔑みの色があった。そして今度は急に目を輝かせた。
「なのにさ、潮崎さんはそうじゃないでしょ? 格好いいよね、憧れるなあ、ああいう強さ」
なんとも可愛らしい姿を見せる祐介。この祐介の素に近い姿を見れる者は果たしてどれ位いるのだろうか。
「何を言っている祐介。始めに羽田を見かけた時に咄嗟に私を背中に庇ってくれたのは祐介だろう? それに昨日だって私を守る為に怪我を」
「え、いやそれ、はは、褒められてる?」
祐介が頭を掻いている。これは照れだろうか。つまりは肉体を褒めるよりも内面を褒めた方が祐介は嬉しい、そういうことであろうか。
リアムはこくこくと頷いた。
「祐介は立派だ。それに比べ私は情けないものだ」
「サツキちゃん……」
祐介が艶っぽい目でリアムを見つめ返した。この目は、少々苦手だ。
すると、横から咳払いが聞こえてきた。少し赤い顔をして居心地が悪そうにもじもじしているのは、祐介と同期入社のツンツン頭の佐川だった。
「会社の受付前で何やってんの」
「あ」
さすがに拙いと思ったのだろう、祐介が照れ隠しなのかあははは、と笑った。
「羽田……さんが、また騒いでいたのだ」
リアムが、中に聞こえない様な小さな声で伝えると、昨日の様子を知る佐川がああ、と頷いた。
「あの人、もういい加減に何とかならないのかなあ」
「でもなんか社長と特別な繋がりがあるみたいだよね」
「そうしたらさ、社長を飲みに誘って酔わせて吐かせるとか?」
佐川という男は意外と策士らしい。
「うーん? 喋るかなあ」
「俺ちょっと社長誘ってみるよ!」
「早川さんは駄目だよ」
「分かってるって。でもその代わり……」
佐川が済まなさそうにリアムを見た。
「山岸の彼女だから、多分もう大っぴらなことはしないと思うんだけど」
「駄目却下絶対無理」
祐介が瞬足で断った。リアムは意味が分からず、きょとんとして祐介を見る。
「意味が分からん」
「サツキちゃんは駄目、気にしなくていいの」
祐介がリアムの肩を掴んで移動させようとする。
「山岸、お前ってそういうキャラだったの? 意外……」
「意外でも何でもいいよ、サツキちゃんは駄目」
「祐介、意味が」
「社長を飲み会に誘う餌だよ。女の子大好きだから」
「……餌……致し方ない、引き受けよう」
「サツキちゃん!」
祐介が何とも言えない情けない顔になった。
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