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第二章 中級編開始
第223話 魔術師リアムの中級編三日目のカフェ
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昨日早川ユメと会ってしまったカフェは今日は避け、会社から少し離れた所にある別のカフェに入ることにした。
「店によって珈琲の味も香りも異なるものなのだな」
感心した様にリアムが言うと、祐介が説明してくれた。
「店もそうだけど、珈琲独自の風味からして種類が山の様にあるからね。酸味が強いのとか、苦味が強いのとか。産地も世界中あちこちのがあるし」
「そこまで種類があるのか……」
祐介が美味しそうに珈琲を口に含んだ。祐介は今日はアイスコーヒーなる冷やした珈琲を飲んでいる。ひと口貰ったが、これもなかなか美味であった。
「目の前で豆を選んで挽いてくれる所とかあるから、週末にコーヒーメーカー買う時に豆も何種類か選ぼうよ」
「おお! それは楽しみだ!」
リアムが目を輝かせると、祐介は満足そうににこにことする。本当に人を喜ばせることが好きなのだろう。リアムはこれまでの人生を顧みて、自分と祐介の違いを痛感した。だが悔やんでも後の祭りだ。リアムが出来るのは、これから出来得る限り祐介を喜ばせてやることだと思った。
「祐介」
「うん?」
「必ずや私が祐介を喜ばせてみせるからな」
「なに突然」
リアムはテーブルに少し身を乗り出す。
「いつも祐介にばかり喜ばされているからな、たまには私が祐介を喜ばせてみたいのだ」
「なんか色々語弊ありそうな発言だね」
「祐介は私に何を望む? 一緒の食事もいいが、結局はあれも祐介が私に作ってくれているし、味噌汁はこれから研究対象とするからすぐには提供出来なさそうであるし」
「またそれ?」
はは、と祐介が苦笑いした。
「と言ってもなあ。急に言われても」
「何かないか? 小さなことでもなんでもいいぞ」
「何でも? 本当に? じゃあ僕もおやすみなさいのキスしてもらおうかなー……とか」
「承知した!」
「え、いいの?」
祐介が驚いた顔をした。言っておいて驚くとはどういうことだろうか。祐介はされた記憶がないと言っていたので、きっと効果の素晴らしさを理解しないままでいるに違いない。
リアムは更に身を乗り出した。
「お陰で昨日は非常に気分良く寝れたのだ」
「本当? それはよかった」
「あれはなかなかに素晴らしいものだぞ、祐介」
「あ、うん。サツキちゃん胸乗ってるよ」
「いつもは寂しい夢もな、昨日は祐介が出て来た」
「……僕は何してたの?」
「よくぞ聞いてくれた!」
リアムは笑顔で答えた。
「祐介はな、私の隣にずっといたのだ」
「うん」
「それで、私がやることをにこにこと頷いて見守ってくれていたのだ!」
「あは。僕ってそういうイメージか」
祐介が少し呆れた様な笑みを見せている。
「私はだから幸せだと夢の中で思ったのだ!」
すると、祐介が手で目を覆ってしまった。
「どうした祐介? 具合でも悪いのか?」
「滅茶苦茶元気です」
「本当か?」
「喜ばされました」
「? 何にだ」
「うん、まあおいおいね」
「意味が分からぬぞ祐介」
「やっぱりそこはそうなんだ」
祐介が顔をようやく見せ、テーブルの上なリアムの手を上から押さえると、実に優しそうに微笑んだのだった。
「店によって珈琲の味も香りも異なるものなのだな」
感心した様にリアムが言うと、祐介が説明してくれた。
「店もそうだけど、珈琲独自の風味からして種類が山の様にあるからね。酸味が強いのとか、苦味が強いのとか。産地も世界中あちこちのがあるし」
「そこまで種類があるのか……」
祐介が美味しそうに珈琲を口に含んだ。祐介は今日はアイスコーヒーなる冷やした珈琲を飲んでいる。ひと口貰ったが、これもなかなか美味であった。
「目の前で豆を選んで挽いてくれる所とかあるから、週末にコーヒーメーカー買う時に豆も何種類か選ぼうよ」
「おお! それは楽しみだ!」
リアムが目を輝かせると、祐介は満足そうににこにことする。本当に人を喜ばせることが好きなのだろう。リアムはこれまでの人生を顧みて、自分と祐介の違いを痛感した。だが悔やんでも後の祭りだ。リアムが出来るのは、これから出来得る限り祐介を喜ばせてやることだと思った。
「祐介」
「うん?」
「必ずや私が祐介を喜ばせてみせるからな」
「なに突然」
リアムはテーブルに少し身を乗り出す。
「いつも祐介にばかり喜ばされているからな、たまには私が祐介を喜ばせてみたいのだ」
「なんか色々語弊ありそうな発言だね」
「祐介は私に何を望む? 一緒の食事もいいが、結局はあれも祐介が私に作ってくれているし、味噌汁はこれから研究対象とするからすぐには提供出来なさそうであるし」
「またそれ?」
はは、と祐介が苦笑いした。
「と言ってもなあ。急に言われても」
「何かないか? 小さなことでもなんでもいいぞ」
「何でも? 本当に? じゃあ僕もおやすみなさいのキスしてもらおうかなー……とか」
「承知した!」
「え、いいの?」
祐介が驚いた顔をした。言っておいて驚くとはどういうことだろうか。祐介はされた記憶がないと言っていたので、きっと効果の素晴らしさを理解しないままでいるに違いない。
リアムは更に身を乗り出した。
「お陰で昨日は非常に気分良く寝れたのだ」
「本当? それはよかった」
「あれはなかなかに素晴らしいものだぞ、祐介」
「あ、うん。サツキちゃん胸乗ってるよ」
「いつもは寂しい夢もな、昨日は祐介が出て来た」
「……僕は何してたの?」
「よくぞ聞いてくれた!」
リアムは笑顔で答えた。
「祐介はな、私の隣にずっといたのだ」
「うん」
「それで、私がやることをにこにこと頷いて見守ってくれていたのだ!」
「あは。僕ってそういうイメージか」
祐介が少し呆れた様な笑みを見せている。
「私はだから幸せだと夢の中で思ったのだ!」
すると、祐介が手で目を覆ってしまった。
「どうした祐介? 具合でも悪いのか?」
「滅茶苦茶元気です」
「本当か?」
「喜ばされました」
「? 何にだ」
「うん、まあおいおいね」
「意味が分からぬぞ祐介」
「やっぱりそこはそうなんだ」
祐介が顔をようやく見せ、テーブルの上なリアムの手を上から押さえると、実に優しそうに微笑んだのだった。
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