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第二章 中級編開始
第216話 OLサツキの中級編三日目開始
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昨日のユラの不可解な行動に悶々としていたサツキだったが、やはり一旦空になった魔力の回復には時間を要すらしく、風呂に入った後はすぐに寝れてしまった。昨日の段階で全回復といった感覚はなかったので、年齢が年齢だけにリアムはユラに比べ魔力の回復に時間がかかるのかもしれなかった。
ふ、と目を覚ますと、外はやや明るい。そして身体の中に魔力が満ちているのが分かった。これが全回復の感覚なのだろう。日を追うごとに、魔力に対する感覚が研ぎ澄まされていっていた。
リアムの姿にいつ戻ってもいいように、今日は予めリアムの服を着ることにした。中にタンクトップを着ていれば、まあ胸もそこまで問題ないだろう。しかしこんな格好を、サツキの世界ですることなど絶対に考えられなかったことを思うと、サツキも随分とこちらの世界に順応したみたいだ。
サツキが顔を洗いに井戸に行くと、ラムが付いてきた。にこ、と朝の挨拶をしてくれる。うう、可愛い。
「ラムちゃんおはよう!」
する、と手を取るラムの手を握り返した。そういえばスライムってお風呂に入らなくていいんだろうか。これまで一度も入れてあげてない。後でユラが来たら聞いてみよう。それにご飯も食べてないが、一体どういう原理なんだろうか。
顔を洗いさっぱりしたところで、パンを食べた。これで食材はほぼ尽きたので、今日は食材も買い込まないとだろう。
「さてと」
ユラが来るまでの間、『これであなたも変幻自在! 目指せ変化マスター!』のすっ飛ばした前半を読むことにした。思えば一昨日の失敗はここをすっ飛ばしたが故に起きたことだ。今後はかったるそうな自伝紛いの文章でも読んでいかねばならない、それを今回は学んだ。
読みながら、つい昨日のユラのことを思い出す。黙らせる為だったのは理解している。その後のも、まあ酒の所為だと本人が言っていたからそうなんだろう。だけど最後のあの挨拶の様にしたキスは何だったんだろう? 酒の効果が残っていたと思えばそうなのかもしれないけど、アールのことが好きなのに、アールじゃない人とああいうことをしても満足するものなんだろうか?
そして思い出す。これまで、大してよく知らない男達にされてきたことを。あの人達は別にサツキのことを好きだとか思ってなどいないだろう。ということは、別に誰でもいい、そういうことだ。
「つまり、欲求不満……」
それが薬酒を摂取したことで抑えきれなくなったに違いない。
サツキは自分の今は女の身体を見下ろす。この身体の時はそういった思いなんて起こらなかった。でも、リアムは男性だ。溜まる、そういうことも時折耳にする。ほら、アダルトビデオとか聞くし。
「え……ムリムリムリムリ!」
裸を見るのは抵抗がなくなったが、さすがにそれは無理だ。絶対無理だが、でも絶対そんなこと聞けない。ウルスラに聞く? いやでも彼女はリアムに興味があるし、いやいやいやいや。
「どうしよう……」
いずれ訪れるであろうその可能性に、サツキは愕然とした。
ふ、と目を覚ますと、外はやや明るい。そして身体の中に魔力が満ちているのが分かった。これが全回復の感覚なのだろう。日を追うごとに、魔力に対する感覚が研ぎ澄まされていっていた。
リアムの姿にいつ戻ってもいいように、今日は予めリアムの服を着ることにした。中にタンクトップを着ていれば、まあ胸もそこまで問題ないだろう。しかしこんな格好を、サツキの世界ですることなど絶対に考えられなかったことを思うと、サツキも随分とこちらの世界に順応したみたいだ。
サツキが顔を洗いに井戸に行くと、ラムが付いてきた。にこ、と朝の挨拶をしてくれる。うう、可愛い。
「ラムちゃんおはよう!」
する、と手を取るラムの手を握り返した。そういえばスライムってお風呂に入らなくていいんだろうか。これまで一度も入れてあげてない。後でユラが来たら聞いてみよう。それにご飯も食べてないが、一体どういう原理なんだろうか。
顔を洗いさっぱりしたところで、パンを食べた。これで食材はほぼ尽きたので、今日は食材も買い込まないとだろう。
「さてと」
ユラが来るまでの間、『これであなたも変幻自在! 目指せ変化マスター!』のすっ飛ばした前半を読むことにした。思えば一昨日の失敗はここをすっ飛ばしたが故に起きたことだ。今後はかったるそうな自伝紛いの文章でも読んでいかねばならない、それを今回は学んだ。
読みながら、つい昨日のユラのことを思い出す。黙らせる為だったのは理解している。その後のも、まあ酒の所為だと本人が言っていたからそうなんだろう。だけど最後のあの挨拶の様にしたキスは何だったんだろう? 酒の効果が残っていたと思えばそうなのかもしれないけど、アールのことが好きなのに、アールじゃない人とああいうことをしても満足するものなんだろうか?
そして思い出す。これまで、大してよく知らない男達にされてきたことを。あの人達は別にサツキのことを好きだとか思ってなどいないだろう。ということは、別に誰でもいい、そういうことだ。
「つまり、欲求不満……」
それが薬酒を摂取したことで抑えきれなくなったに違いない。
サツキは自分の今は女の身体を見下ろす。この身体の時はそういった思いなんて起こらなかった。でも、リアムは男性だ。溜まる、そういうことも時折耳にする。ほら、アダルトビデオとか聞くし。
「え……ムリムリムリムリ!」
裸を見るのは抵抗がなくなったが、さすがにそれは無理だ。絶対無理だが、でも絶対そんなこと聞けない。ウルスラに聞く? いやでも彼女はリアムに興味があるし、いやいやいやいや。
「どうしよう……」
いずれ訪れるであろうその可能性に、サツキは愕然とした。
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