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第二章 中級編開始
第206話 OLサツキの中級編二日目、春祭りの薬酒の意味
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何だかユラの様子がおかしい。というか近い。いや待て、ダンジョンでも肩組んだり怖い時は腕にしがみついたりはしてた。でもあれはリアムの姿の時だ。
何だ、変わらないじゃない。
サツキは酒を飲みながら、美味しそうにごくごく飲むユラを見つめた。サツキもつられて同じペースで飲んでいく。グラスはもうほぼ空だ。
この人は、サツキがリアムだろうがサツキだろうが変わっていない。サツキが勝手に意識を切り替えてしまっているだけだ。
それにそうだ、この人が好きなのはアールだから、サツキなんて眼中にないのは分かり切っている。残念ながら。……ん? 今何を思った?
サツキは違和感を感じた。多分これはサツキの男が苦手という部分に基づく違和感だ。
これまでの話を繋ぎ合わせてみる。男女の出会いを後押しする祭り。そこで提供されるただの飲み物。一杯までよと言われたこと。やたらと露出の多いドレス。やたらと絡みつく男の視線。
もしや。
やたらと近い位置でサツキを楽しそうに見下ろすユラの顔。ギラギラした女は嫌だというユラの発言。
そしてやはりこの距離。
「ユラ……このお酒、何か入ってる?」
「お、気が付いた? 凄い凄い」
少し紅潮した顔でユラが褒めた。でもちっとも褒められている気はしない。
ユラがニヤリと笑った。
「ラーメニアっていうのは媚薬の原料になる花なんだよな」
媚薬。つまりは……ほれ薬だ。
「え……」
サツキが呆然とすると、ユラは安心させる様に言った。
「一杯目は大したことないよ。男嫌いが、まあ男と話をしてみようかなって程度だ」
「……二杯目は?」
「男嫌いが、男を求め始める」
「……さ、三杯目は」
「やりたくなる」
「ブフォッ!」
「汚ねえな」
咳き込んだサツキの背中をユラがさする。その手つきはちょっとあれじゃないだろうか? そもそもが女嫌いなんかじゃなさそうなユラは、一杯目を飲むとどうなるんだろうか?
「味は美味いんだけどなー、効果がな」
そんなことを言いながら笑っている。いやいやいや。笑ってる場合か、これ。
「まあ一杯なら大丈夫だって。て……」
言いかけたユラの顔が、瞬時に真剣なものに変わった。小声で指示される。
「ラムをスカートの中に隠せ」
「! 分かった」
急いでラムをスカートの中に入れると、まあ変な感じはするがこれで隠せた。
「アン・ビンデル!」
即座にユラが唱えた。静かにサツキを壁際へと誘導すると、唇に人差し指を当てる仕草をする。これまでのふざけた様な馬鹿にしている様な雰囲気は一切なく、空気が一瞬で張り詰めた様に感じた。
サツキが様子を窺っていると、酒を配る列に近い所を、昨日の黒い服の男が彷徨いていた。何かを探している様な雰囲気だ。
「ユラ! あの人他の人を!」
「サツキ、喋るな。騒ぐと効果が薄れる」
「でも!」
他の人が被害に遭ってしまったら。すると男がこちらに目を向けた気がした。
「ひ……!」
「口を開くなって言ってんだろ!」
ユラがそう言うと。
サツキの口が、ユラの口に塞がれた。
何だ、変わらないじゃない。
サツキは酒を飲みながら、美味しそうにごくごく飲むユラを見つめた。サツキもつられて同じペースで飲んでいく。グラスはもうほぼ空だ。
この人は、サツキがリアムだろうがサツキだろうが変わっていない。サツキが勝手に意識を切り替えてしまっているだけだ。
それにそうだ、この人が好きなのはアールだから、サツキなんて眼中にないのは分かり切っている。残念ながら。……ん? 今何を思った?
サツキは違和感を感じた。多分これはサツキの男が苦手という部分に基づく違和感だ。
これまでの話を繋ぎ合わせてみる。男女の出会いを後押しする祭り。そこで提供されるただの飲み物。一杯までよと言われたこと。やたらと露出の多いドレス。やたらと絡みつく男の視線。
もしや。
やたらと近い位置でサツキを楽しそうに見下ろすユラの顔。ギラギラした女は嫌だというユラの発言。
そしてやはりこの距離。
「ユラ……このお酒、何か入ってる?」
「お、気が付いた? 凄い凄い」
少し紅潮した顔でユラが褒めた。でもちっとも褒められている気はしない。
ユラがニヤリと笑った。
「ラーメニアっていうのは媚薬の原料になる花なんだよな」
媚薬。つまりは……ほれ薬だ。
「え……」
サツキが呆然とすると、ユラは安心させる様に言った。
「一杯目は大したことないよ。男嫌いが、まあ男と話をしてみようかなって程度だ」
「……二杯目は?」
「男嫌いが、男を求め始める」
「……さ、三杯目は」
「やりたくなる」
「ブフォッ!」
「汚ねえな」
咳き込んだサツキの背中をユラがさする。その手つきはちょっとあれじゃないだろうか? そもそもが女嫌いなんかじゃなさそうなユラは、一杯目を飲むとどうなるんだろうか?
「味は美味いんだけどなー、効果がな」
そんなことを言いながら笑っている。いやいやいや。笑ってる場合か、これ。
「まあ一杯なら大丈夫だって。て……」
言いかけたユラの顔が、瞬時に真剣なものに変わった。小声で指示される。
「ラムをスカートの中に隠せ」
「! 分かった」
急いでラムをスカートの中に入れると、まあ変な感じはするがこれで隠せた。
「アン・ビンデル!」
即座にユラが唱えた。静かにサツキを壁際へと誘導すると、唇に人差し指を当てる仕草をする。これまでのふざけた様な馬鹿にしている様な雰囲気は一切なく、空気が一瞬で張り詰めた様に感じた。
サツキが様子を窺っていると、酒を配る列に近い所を、昨日の黒い服の男が彷徨いていた。何かを探している様な雰囲気だ。
「ユラ! あの人他の人を!」
「サツキ、喋るな。騒ぐと効果が薄れる」
「でも!」
他の人が被害に遭ってしまったら。すると男がこちらに目を向けた気がした。
「ひ……!」
「口を開くなって言ってんだろ!」
ユラがそう言うと。
サツキの口が、ユラの口に塞がれた。
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