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第二章 中級編開始
第186話 OLサツキの中級編二日目、羞恥で泣く
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恥ずかし過ぎて、穴を掘って埋まりたい。
でも、素っ裸だからその穴すら掘れない。ならいっそのこと、メテオを降らせようか。
「なあサツキ、そう泣くなよ」
サツキを巻いていたが落ちてしまった法衣を改めて前から掛けてくれたユラが、少し困った様に笑った。
「まさか男に裸見られるの初めてって訳じゃないだろうしさ」
こいつは絶対発言の内容に問題があると思う。サツキが何も返せずにえぐっえぐっと嗚咽していると、ユラが驚いた表情をしてみせた。
「え? まさか……俺が初めての男?」
「えぐっ言い方って、えぐっあるでしょ!」
「いやーまさかそうだったとは。あはは、初めての男ユラ」
「言い方!」
「怒るなよ、冗談だって」
絶対冗談で言ってない。割と本気で喜んでいる風だ。
相手にしていてものらりくらりやられるだけだ。サツキは法衣で涙を拭くと、ユラにお願いした。
「リアムに戻るから、服貸して」
すると、ユラが思い切り顔を顰めた。
「え、やだよ。他人に下着とか絶対貸したくないし。ていうか、なんでサツキは自分が変身する時は素っ裸なんだよ。昨日ラムにイルミナ唱えた時はちゃんと俺の服着てたぞ。もしかして自分の時は裸を思い浮かべてんのか? いやらしいの」
こいつ、普通に断りやがった上に言いたい放題だ。でも確かに、自分の時は裸を想像していた。まさかそんなこととは。
サツキが唖然としていると。
「そもそもメタモラは二十四時間以内に他の姿になれて、同じ人を時間内に重ねることは出来るけど、自分の姿には最後唱えてから二十四時間経たないと戻れないし」
「え? リアムって唱えたらいけるかと思ってたんだけど」
「出来ないよ。サツキ、あの本ちゃんと前半読んだか?」
「あの本?」
「『これであなたも変幻自在! 目指せ変化マスター!』マグノリア・カッセ著」
何故魔術師でもないユラが魔術師向けの本を読んでいるんだろう。しかも我が半生みたいなかったるい前半まで全て。
「……その顔、前半すっ飛ばしたな?」
「いやだって正直つまらない自伝かと」
「かーっ分かってないな!」
思い切り馬鹿にする様な顔をして、ユラは続けた。腹は立つが、悔しいけど言い返せない。
「あれは、あの呪文をあれこれ試してみたマグノリアの実験結果とか注意喚起が書いてある最重要部分だぞ」
「あれのどこが?」
「ふん、まだまだだな」
とてつもなく偉そうで、普通に蹴飛ばしたくなった。素っ裸だから出来ないけど。
「でも納得だ。だから昨日は猫になっちまったんだな。人間以外になると、段々そっちの種族に引っ張られて戻れなくなる。マグノリアが自分で実験して大事になりそうだった、あの本の中でもかなりいい場面なんだけど」
読んでないんじゃなあ、と鼻で笑われた。
「ラムちゃん、杖頂戴。ちょっとユラを燃や……」
「ごめん調子乗った」
ユラが真顔に戻った。
「服を着たら送ってやろうか? フルールアレで帰ってもいいと思うけど」
「そうね、とにかく帰りたいな。ラムちゃ……」
足元にいるラムは、ピンクのドレスを持って懇願の表情を浮かべていた。
でも、素っ裸だからその穴すら掘れない。ならいっそのこと、メテオを降らせようか。
「なあサツキ、そう泣くなよ」
サツキを巻いていたが落ちてしまった法衣を改めて前から掛けてくれたユラが、少し困った様に笑った。
「まさか男に裸見られるの初めてって訳じゃないだろうしさ」
こいつは絶対発言の内容に問題があると思う。サツキが何も返せずにえぐっえぐっと嗚咽していると、ユラが驚いた表情をしてみせた。
「え? まさか……俺が初めての男?」
「えぐっ言い方って、えぐっあるでしょ!」
「いやーまさかそうだったとは。あはは、初めての男ユラ」
「言い方!」
「怒るなよ、冗談だって」
絶対冗談で言ってない。割と本気で喜んでいる風だ。
相手にしていてものらりくらりやられるだけだ。サツキは法衣で涙を拭くと、ユラにお願いした。
「リアムに戻るから、服貸して」
すると、ユラが思い切り顔を顰めた。
「え、やだよ。他人に下着とか絶対貸したくないし。ていうか、なんでサツキは自分が変身する時は素っ裸なんだよ。昨日ラムにイルミナ唱えた時はちゃんと俺の服着てたぞ。もしかして自分の時は裸を思い浮かべてんのか? いやらしいの」
こいつ、普通に断りやがった上に言いたい放題だ。でも確かに、自分の時は裸を想像していた。まさかそんなこととは。
サツキが唖然としていると。
「そもそもメタモラは二十四時間以内に他の姿になれて、同じ人を時間内に重ねることは出来るけど、自分の姿には最後唱えてから二十四時間経たないと戻れないし」
「え? リアムって唱えたらいけるかと思ってたんだけど」
「出来ないよ。サツキ、あの本ちゃんと前半読んだか?」
「あの本?」
「『これであなたも変幻自在! 目指せ変化マスター!』マグノリア・カッセ著」
何故魔術師でもないユラが魔術師向けの本を読んでいるんだろう。しかも我が半生みたいなかったるい前半まで全て。
「……その顔、前半すっ飛ばしたな?」
「いやだって正直つまらない自伝かと」
「かーっ分かってないな!」
思い切り馬鹿にする様な顔をして、ユラは続けた。腹は立つが、悔しいけど言い返せない。
「あれは、あの呪文をあれこれ試してみたマグノリアの実験結果とか注意喚起が書いてある最重要部分だぞ」
「あれのどこが?」
「ふん、まだまだだな」
とてつもなく偉そうで、普通に蹴飛ばしたくなった。素っ裸だから出来ないけど。
「でも納得だ。だから昨日は猫になっちまったんだな。人間以外になると、段々そっちの種族に引っ張られて戻れなくなる。マグノリアが自分で実験して大事になりそうだった、あの本の中でもかなりいい場面なんだけど」
読んでないんじゃなあ、と鼻で笑われた。
「ラムちゃん、杖頂戴。ちょっとユラを燃や……」
「ごめん調子乗った」
ユラが真顔に戻った。
「服を着たら送ってやろうか? フルールアレで帰ってもいいと思うけど」
「そうね、とにかく帰りたいな。ラムちゃ……」
足元にいるラムは、ピンクのドレスを持って懇願の表情を浮かべていた。
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