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第二章 中級編開始
第155話 魔術師リアム、中級編スタート
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三日ぶりにサツキのベッドでひとり広々と寝たリアムは、顔を洗い化粧水をし、髪をバレッタなる道具でとめ、歯磨きをした。
ここまでは順調だが、問題はこの後だ。
ブラウス、スカートも問題ない。だが。
「あ、上がらない……!」
動画で見たやり方でたぐり寄せながらストッキングを履いてみるのだが、何度やっても股の下に情けない空間が出来上がるのだ。
「祐介……!」
だが祐介はまだ来ない。あいつも自分の支度がある。仕方がないが、何度か祐介の家から目覚まし時計の音がした後ドタドタ音がし始めたので、少し寝坊したのだろう。
しかし驚くほどの壁の薄さだ。
リアムはストッキングは後回しにすることにした。出来ることから先にやろう。
化粧道具を取り出す。下地にもなるという日焼け止めを塗り、教わった通りに目尻と眉に色をつけていく。
アイライナーなるものは手が震えてプルプルしたが、何とかなった、と思いたい。眉毛は左右が合わず苦労したが、まあ前髪で隠せば何とかなるだろう。
問題はマスカラなる代物だ。目に刺さりそうでなかなか上手くいかない。スカッと空振りするのだ。
「ああ、苛々する!」
それでも何とか化粧を済ませ片付けていたところ、ノックの後に祐介が入ってきた。
「おはようサツキちゃん。支度は順調?」
「化粧はしてみたのだが、どうだ?」
「見せて。……うん、まあ、頑張りましたって感じだね。眉毛が歪んでるからそこだけ直してあげるよ」
「朝から済まないな」
「いえいえ」
くすりと笑うと、リアムの前髪を押さえて眉毛を直す。髪に何か付けているのか、休みの間は垂れ下がっていた祐介の前髪が後ろに流されている。
そういえば初日はこんな頭だったかもしれない。
よく見るときっちりと首が詰まったシャツに背広も着ており、何だか別人の様でやや気恥ずかしい。
「後は何が残ってる?」
「……ストッキングが、どうしても途中で足りなくなってしまうのだ」
祐介の笑顔が固まった。
「やっぱ動画だけじゃ駄目だったか……」
「あまり引っ張っても破れそうでな」
「一度やって見せて」
「分かった」
リアムはスカートの中身が祐介に見えない様角度を考えつつ、ストッキングを履いていく。
「あー、そこがまだ引っ張り足りないんだろうな。だってほら色が他と違うもん」
「色?」
リアムは泣きそうだ。焦りが押し寄せてくる。
「そんな困った顔されても……ああ! もう!」
祐介がベッドに腰掛け、膝をパン! と叩いた。
「僕がやる! 一度で感覚を覚えて!」
「た、頼む」
「膝に座る!」
「はい!」
リアムは祐介の膝の上に座った。祐介が腕を伸ばし、ストッキングを手に取りたくし上げる。
密着度が半端ない。我ながら何をやっているのかと猛省するも、だからといってストッキングが上手く履ける筈もなく、任せるしか他ない。
膝まで履かせ、反対も同じ様に引っ張りつつ履かせる。爪先に余裕がなくなった。成程、この位引っ張っていいのか。
ふうー、と、祐介長く息を吐くと、膝から上に向けて引っ張り出した。
ここまでは順調だが、問題はこの後だ。
ブラウス、スカートも問題ない。だが。
「あ、上がらない……!」
動画で見たやり方でたぐり寄せながらストッキングを履いてみるのだが、何度やっても股の下に情けない空間が出来上がるのだ。
「祐介……!」
だが祐介はまだ来ない。あいつも自分の支度がある。仕方がないが、何度か祐介の家から目覚まし時計の音がした後ドタドタ音がし始めたので、少し寝坊したのだろう。
しかし驚くほどの壁の薄さだ。
リアムはストッキングは後回しにすることにした。出来ることから先にやろう。
化粧道具を取り出す。下地にもなるという日焼け止めを塗り、教わった通りに目尻と眉に色をつけていく。
アイライナーなるものは手が震えてプルプルしたが、何とかなった、と思いたい。眉毛は左右が合わず苦労したが、まあ前髪で隠せば何とかなるだろう。
問題はマスカラなる代物だ。目に刺さりそうでなかなか上手くいかない。スカッと空振りするのだ。
「ああ、苛々する!」
それでも何とか化粧を済ませ片付けていたところ、ノックの後に祐介が入ってきた。
「おはようサツキちゃん。支度は順調?」
「化粧はしてみたのだが、どうだ?」
「見せて。……うん、まあ、頑張りましたって感じだね。眉毛が歪んでるからそこだけ直してあげるよ」
「朝から済まないな」
「いえいえ」
くすりと笑うと、リアムの前髪を押さえて眉毛を直す。髪に何か付けているのか、休みの間は垂れ下がっていた祐介の前髪が後ろに流されている。
そういえば初日はこんな頭だったかもしれない。
よく見るときっちりと首が詰まったシャツに背広も着ており、何だか別人の様でやや気恥ずかしい。
「後は何が残ってる?」
「……ストッキングが、どうしても途中で足りなくなってしまうのだ」
祐介の笑顔が固まった。
「やっぱ動画だけじゃ駄目だったか……」
「あまり引っ張っても破れそうでな」
「一度やって見せて」
「分かった」
リアムはスカートの中身が祐介に見えない様角度を考えつつ、ストッキングを履いていく。
「あー、そこがまだ引っ張り足りないんだろうな。だってほら色が他と違うもん」
「色?」
リアムは泣きそうだ。焦りが押し寄せてくる。
「そんな困った顔されても……ああ! もう!」
祐介がベッドに腰掛け、膝をパン! と叩いた。
「僕がやる! 一度で感覚を覚えて!」
「た、頼む」
「膝に座る!」
「はい!」
リアムは祐介の膝の上に座った。祐介が腕を伸ばし、ストッキングを手に取りたくし上げる。
密着度が半端ない。我ながら何をやっているのかと猛省するも、だからといってストッキングが上手く履ける筈もなく、任せるしか他ない。
膝まで履かせ、反対も同じ様に引っ張りつつ履かせる。爪先に余裕がなくなった。成程、この位引っ張っていいのか。
ふうー、と、祐介長く息を吐くと、膝から上に向けて引っ張り出した。
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